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『この製品、海外に送っても大丈夫なのかな。規制に引っかかったらどうしよう』と不安になっている方も多いはずです。
結論から言うと、輸出規制と通関の関係は、3つの振り分けで考えると整理しやすくなります。
輸出する物を「輸出してはならない貨物」「許可や承認が要る貨物」「そのまま輸出できる貨物」のどれに当たるかを、順に確かめていくやり方です。
この記事では、その振り分けの手順表と、外為法の該非判定の考え方、税関に出す書類の確かめ方を紹介します。
輸出規制と通関はどう関係する?
輸出する時は、税関への輸出申告とは別に、法律で輸出が禁止されていないか、他の法律の許可や承認が要らないかを確かめる必要があります。許可や承認が要る貨物は、輸出申告や審査・検査の際にその旨を税関に証明して確認を受けないと、輸出は許可されません(カスタムスアンサー5501)。
関税法でいう「輸出」は、内国貨物を外国に向けて送り出すことです。
輸出しようとする人は、品名や数量、価格などを税関長に申告し、必要な検査を経て許可を受けなければなりません(関税法第67条)。
輸出申告の書類には、輸出申告書と仕入書のほか、場合によって「他法令の許可・承認証等」が入ります(カスタムスアンサー5009)。
『他法令って、何のこと?』と思いますよね。
関税法以外の法律で、輸出や輸入に許可や承認が要ると決められているもののことです。外為法(外国為替及び外国貿易法)は、その代表的な法律の一つなんです。
輸出通関の流れ全体は、輸出通関の流れ|保税地域への搬入から輸出許可までの手順で紹介しています。
輸出の許可は保税地域に入れてから
輸出の申告は、貨物を保税地域に入れる前でもできますが、輸出の許可は原則として保税地域に入れた後に出ます(カスタムスアンサー5001)。
保税地域は、輸出しようとする貨物や外国から着いた貨物を置く場所として、財務大臣が指定したり、税関長が許可したりした場所です。
なお、AEO制度の特定輸出者は、保税地域に貨物を入れずに輸出申告をして許可を受けることができます(カスタムスアンサー5601)。ただ、規制の確認が要ることは変わりません。
関税法第70条では、他法令の許可や承認を受けている証明がない貨物は、輸出を許可しないとされています。規制の確認が遅れると、貨物を保税地域に入れたのに許可が出ない、ということも起こりえます。
確認は出荷の段取りより先に済ませておきましょう。通関の流れ全体は、通関とは?輸出入で税関の許可を受けるまでの流れで紹介しています。
輸出する物を3つに振り分ける手順表
ここが大事なところです。
輸出する物が決まったら、まず次の3つのどれに当たるかを確かめます。通関ドットコム編集部で、振り分けの表にしました。
| 振り分け | どういう物か | 通関でどうなるか | どこで確かめるか |
|---|---|---|---|
| 輸出してはならない貨物 | 関税法第69条の2の物(麻薬や覚醒剤、児童ポルノ、知的財産権を侵害する物など) | 輸出できない | 関税法・税関 |
| 許可・承認が要る貨物 | 外為法などの他法令で、輸出に許可や承認が要る物 | 許可・承認を受け、その旨を税関に証明する | カスタムスアンサー5501の一覧・所管する省庁 |
| そのまま輸出できる貨物 | 上の2つに当たらない物 | 通常の輸出申告で進める | 税関・通関業者 |
上から順に確かめていくのがポイントです。
1段目の「輸出してはならない貨物」は、関税法第69条の2に並んでいます。麻薬・向精神薬・大麻・あへん・覚醒剤、児童ポルノ、特許権や商標権・著作権などを侵害する物品、不正競争防止法の一部の行為を組成する物品です(関税法)。
2段目の他法令は、税関の一覧(カスタムスアンサー5501)で法令名と主な品目、所管の省庁を見られます。外為法のほか、文化財保護法や植物防疫法、家畜伝染病予防法、中古自動車の道路運送車両法なども載っています。
いきなり「たぶん大丈夫」と決めず、1段目と2段目に当たらないことを確かめてから、3段目に進みましょう。

- 輸出する物の品名、材料、用途、仕様を書き出す
- 輸出してはならない貨物に当たらないかを、税関の案内で確かめる
- 外為法などの他法令で、許可や承認が要る物に当たらないかを確かめる
- 輸出先の国と、受け取る相手、最終的な使い道を確かめる
- 許可や承認が要る物なら、所管する省庁で手続をしてから輸出申告をする
- どれにも当たらなければ、通常の輸出申告で進める
例えばこんな場面
例えば、工場で使う機械の部品を海外の取引先に送る場合です。
部品の仕様によっては、外為法の規制の対象に当たるかどうかを確かめる必要が出てきます。
社内では、こんなやり取りになることが多いでしょう。
「この部品、来週には船に載せたいんだけど」
「その前に、規制に当たるかどうかの確認を終わらせましょう。仕様書をもらえますか」
取引先から「すぐ送ってほしい」と言われても、確かめる前に出荷を進めないようにしましょう。
外為法の該非判定とは?
輸出の実務でよく聞くのが「該非判定」という言葉です。
経済産業省の近畿経済産業局の案内では、輸出しようとする貨物や提供しようとする技術が、法令で規制されているものかどうかを判定することと説明されています(安全保障貿易管理(近畿経済産業局))。
外為法による安全保障貿易管理は、武器や軍事転用できる貨物・技術が、懸念のある相手に渡ることを防ぐための仕組みです(経済産業省 安全保障貿易管理)。
リスト規制は、輸出貿易管理令の別表第1の1〜15項に当たる貨物を輸出する時に、経済産業大臣の許可が要る仕組みです。キャッチオール規制(16項)は、リストに当たらない物でも、大量破壊兵器や通常兵器の開発などに使われるおそれがある時や、経済産業省から通知を受けた時に許可が要る仕組みです。輸出管理を厳しく行っている国・地域(輸出貿易管理令の別表第3)向けは対象外です。
『該非判定って、税関に聞けば教えてもらえるの?』と思う方もいますよね。
実は、税関は他法令の該非に関する照会には答えられないとしているんです(カスタムスアンサー5501)。
さらに、経済産業省も該非判定そのものは行っていないと案内しています。判定するのは輸出する側で、基本的には輸出者が外為法上の責任を負います。
- 製品の正式な品名と型番
- 材料や成分、性能を示す仕様書
- 輸出先の国と、受け取る相手の名前
- 相手がその物を何に使うか
- メーカーから受け取った該非判定書があるか
社外から買った製品や部品を輸出する時で、自社での判定が難しい時は、メーカーなどから該非判定書を入手するよう案内されています。ただ、受け取った判定書をそのまま信じず、自社でも確かめ直すことが求められています。
リスト規制の対象かどうかは、経済産業省の「貨物・技術のマトリクス表」で項番ごとに確かめられます。通称と法令上の品目名が一致しないこともあるので、型番だけで判断しないようにしましょう。

「前にも同じ物を送ったから大丈夫」と考えて、確かめ直さずに出荷してしまうケースです。規制の内容は国際的な合意に基づく法令改正で変わることがあるので、法令が改正された時や、型番・仕様・輸出先が変わった時は確かめ直しましょう。
通関士試験でも外為法の一部が出る
通関士試験の科目「関税法等」の範囲には、外為法のうち同法第6章に係る部分が入っています。
輸出入の手続と外為法は、それだけ近い関係にあるんです。
税関に出す書類と、相手国の規制
許可や承認が要る貨物の場合は、その許可や承認を受けたことを税関に示して、確認を受ける流れになります。
| 確かめること | 見る資料 | 迷った時の相談先 |
|---|---|---|
| 輸出申告に要る書類 | カスタムスアンサー5009 | 税関・通関業者 |
| 他法令の許可や承認 | カスタムスアンサー5501の一覧 | 所管する省庁 |
| 外為法の輸出許可 | 経済産業省 安全保障貿易管理 | 経済産業省 安全保障貿易審査課 |
| 輸出先の国の輸入規制 | 輸出先の国の制度 | ジェトロ(日本貿易振興機構)などの情報 |
| 郵便で送る場合 | カスタムスアンサー6201 | 税関・郵便局 |
外為法の輸出許可の申請は電子申請だけで、事前にNACCSの利用申込みと経済産業省への届出が要ると案内されています。許可証が出るまで時間がかかるので、余裕をもって申請するよう呼びかけられています。
書類の全体像は、通関に必要な書類|インボイス・パッキングリストと他法令の書類で紹介しています。
他法令の調べ方は、他法令と通関|輸入前に許可や届出が要る品目の調べ方でも紹介しています。
日本からの輸出に問題がなくても、輸出先の国で輸入が制限されている物もあります。日本側の確認と、相手国側の確認は別のものと考えておきましょう。
郵便や手荷物で送る時も同じ
郵便で送る場合、価格が20万円以下の郵便物は税関への輸出申告は要らず、税関告知書を貼る形です(カスタムスアンサー6201)。
ただ、申告が要らないことと、規制の対象にならないことは別の話です。規制に当たる物かどうかは、送り方に関係なく確かめておきましょう。
商業貨物や高額な物を手荷物で持ち出す場合も、一般の貿易貨物と同じ輸出手続が必要になることがあります(カスタムスアンサー7203)。
出国の時に100万円相当額を超える現金などを持ち出す場合は、「支払手段等の携帯輸出・輸入申告書」を出す決まりもあります(カスタムスアンサー7201)。
手荷物での持ち出しは、ハンドキャリーの通関で紹介しています。
輸出許可書は大切に保管する
輸出の許可を受けると、輸出許可書が出ます。
輸出取引で消費税の免除を受けるには、証明書類が要ります。国税庁のタックスアンサーでは、輸出許可書などを納税地等に7年間保存する必要があるとされています(タックスアンサーNo.6551)。
規制の確認で使った書類と一緒に、輸出ごとにまとめて保管しておくと、あとで見返す時に困りません。
よくある相談:輸出規制の悩みに答えます
Yahoo!知恵袋で読まれている相談を、要約して答えます。
非該当証明書って何?
『輸出の時に「非該当証明書」を求められた。何の書類で、何に使うのかよく分からない』という相談が、とても多く読まれています。
近畿経済産業局の案内では、輸出申告の時に税関などから該非判定を適切に行っているか問われることがあるので、リスト規制に当たらないことを示す非該当証明書を用意するよう書かれています。経済産業省に出す書類ではありません。
判定書は各社が任意に出すもので、品名と型式、該当する項番、判定の結果と根拠、判定した日付と判定者を書くよう案内されています。経済産業省のサイトには、非該当証明書の参考様式も載っています。
なお、1〜15項に当たらなくても、木材や食料品などを除けばキャッチオール規制の対象にはなります。用途や使う相手の確認は別に必要です。
輸出先の国の規制はどこで調べる?
『仕事でベトナムに輸出することになった。相手国の規制の情報はどこで手に入る?』という質問も読まれています。
日本側の手続は税関や所管の省庁の案内で、相手国側の規制はジェトロなどの情報で確かめる、と分けて考えると探しやすくなります。
取引先に「そちらの国で輸入に必要な書類や許可はありますか」と聞いておくのも、一つの方法です。
日本の食材を海外で売りたい
『日本の食材を輸出して、海外で販売したい。通関や規制はどこから勉強すればいい?』という相談もあります。
まずは日本の輸出通関の流れをつかみ、そのうえで、輸出先の国で食品の輸入にどんな手続が要るかを調べる順番がおすすめです。
扱う食材によって、確かめる先が変わることもあります。最初の1回は、通関業者に相談しながら進めると安心です。
通関の知識を仕事にしたい人へ
どの貨物にどんな確認が要るかを見極めるのは、通関の現場で欠かせない知識です。
輸出規制や他法令の確認は、通関業者でも大切な仕事の一つです。通関の知識を仕事にしたい人は、国家資格の通関士という道もあります。
どんな資格かは、通関士とは?仕事内容と国家資格としての役割で紹介しています。
通関ドットコム
通関士を目指すなら、講座を比べてみませんか
実務の申告書問題や計算問題の解説、法改正への対応など、独学では用意しにくい部分だけでも講座を使うと準備が進めやすくなります。学び方の比べ方と、資料請求で講座を選ぶ時のチェックポイントをまとめました。
講座の選び方通関士の講座の選び方を見る当サイト内の解説ページに移動します。講座の内容・料金・受講期間は各講座の公式案内でご確認ください。
よくある質問
輸出規制に当たるかどうかは、税関に聞けば分かりますか?
いいえ。税関は他法令の該非に関する照会には答えられないとしていて、経済産業省も該非判定そのものは行っていません。輸出する側が、経済産業省のマトリクス表などで判定します。
輸出申告に許可書を添える必要がありますか?
他法令で許可や承認が要る貨物は、許可・承認証などを輸出申告の書類に入れて、税関の確認を受けます。証明がないと輸出は許可されません(関税法第70条)。
郵便で送るなら規制は関係ありませんか?
価格が20万円以下の郵便物は輸出申告が要りませんが、規制の対象かどうかは別に確かめる必要があります。
他法令の許可や承認の申請は、通関業者に頼めますか?
通関業法では、他法令の許可や承認の申請は、通関業務に関連する業務の例として挙げられています。頼めるかどうかや範囲は、依頼する通関業者に確かめてみてください。
相手国の規制も確かめた方がいいですか?
はい。日本からの輸出に問題がなくても、輸出先の国で輸入が制限されている物があります。取引先やジェトロなどの情報で確かめておきましょう。
まとめ
- 輸出する物は、輸出してはならない貨物・許可や承認が要る貨物・そのまま輸出できる貨物に振り分けて考える
- 許可や承認が要る貨物は、その証明を税関に出して確認を受ける
- 外為法の該非判定は輸出する側が行い、税関も経済産業省も判定はしてくれない
- 郵便や手荷物で送る場合も、規制の確認は別に必要
- 輸出先の国の輸入規制も、日本側とは別に確かめる





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