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求人票や資格の本で『通関士』という言葉を見かけて、どんな仕事なのか気になっている方も多いはずです。
結論から言うと、通関士は輸出入の申告書類を審査して記名する、通関業法で役割が決められた国家資格の専門職です。
この記事を読めば、通関士の仕事の中身と、資格を取ってから通関士として働くまでの流れが分かります。
通関士とは?国家資格としての定義
通関士とは、国家試験である通関士試験に合格した人のうち、勤務先の通関業者の申請にもとづく財務大臣の確認を受けて、通関業務に従事する人のことです。試験に合格しただけでは、まだ通関士とは名乗れません。
『通関士って、試験に受かればなれるんじゃないの?』と思いますよね。
実は、ここが通関士という国家資格の少し変わったところなんです。
税関のカスタムスアンサー8001では、次のように説明されています。
通関士とは、国家試験である通関士試験に合格した者のうち、勤務先の通関業者の申請に基づく財務大臣の確認を受け、通関業務に従事する者をいいます。
出典:税関 カスタムスアンサー8001
つまり、通関士は「試験に合格した人」であり、かつ「通関業者に勤めて確認を受けた人」でもあります。
合格から確認までの流れは、あとの章でくわしく見ていきます。
そもそも通関とは
通関士を知るには、まず「通関」が何かをつかんでおくと話が早いです。
輸出入をする時は、貨物の品名や数量、価格などを税関長に申告し、必要な検査を経て許可を受けなければなりません(関税法第67条)。
この申告から許可までの手続を、ふだん「通関」と呼んでいます。
通関の流れの全体は通関とは?でまとめています。
通関業と通関業者
輸出入をする会社が、自分で申告することもできます。
ただ、多くの場合は、通関を専門にする会社に手続を任せています。
税関のカスタムスアンサー9103によると、他人の依頼を受けて輸出入の申告などを代理・代行することを業として行うのが「通関業」です。
通関業を営むには財務大臣の許可が必要で、この許可を受けた会社が通関業者です。
通関士は、この通関業者の中で働く専門職なんです。
税関の案内によると、通関業者は令和7年4月1日現在で988社、通関業務を行っている営業所は2,042か所です(カスタムスアンサー9104)。全国の通関士数は令和8年4月1日現在で8,372人とされています(カスタムスアンサー8101)。
通関業者の役割は通関業者とは?で詳しく説明しています。
通関士にしかできないこと・ほかの人も担うこと
『通関業者で働いている人は、みんな通関士なの?』という疑問もよく聞きます。
結論から言うと、そうではありません。
税関の案内では、令和8年4月1日現在、通関士は8,372人、通関士以外の通関業務従業者は8,573人で、合計16,945人とされています。
通関業者の中には、通関士と、通関士ではない従業者の両方が働いているんです。
法律で決まっている通関士の役割
通関業法では、通関士について次のことが決められています。
| 決まり | 中身 | 根拠 |
|---|---|---|
| 通関士の設置 | 通関業者は、通関業務を行う営業所ごとに通関士を置かなければならない | 通関業法第13条 |
| 審査と記名 | 通関業者は、通関書類などを通関士に審査させ、記名させなければならない | 通関業法第14条 |
| 財務大臣の確認 | 合格者を通関士として働かせる時は、財務大臣に届け出て確認を受ける | 通関業法第31条 |
一定の種類の貨物だけに限って許可を受けた通関業者など、設置の例外もあります。
ここで大事なのは、第14条の「審査と記名」です。
通関業者が税関に出す申告書などは、通関士が中身を審査し、記名してから出す仕組みになっています。
業務ごとに見た通関士の関わり
通関ドットコム編集部で、通関業者の業務を「通関士が法律上受け持つ部分」と「会社の中で分担されることがある部分」に分けて表にしました。
| 業務 | 中身の例 | 通関士の関わり |
|---|---|---|
| 依頼の受付と書類の受け取り | 荷主からインボイスなどを受け取る | 会社によって分担はさまざま |
| 品目の分類と税率の確認 | 何に当たる品目か、税率はいくつか調べる | 審査の時に通関士が見直す前提になる |
| 申告書の作成 | 申告の内容をまとめる | 会社によって分担はさまざま |
| 申告書の審査と記名 | 内容が正しいか確かめて記名する | 通関士が受け持つ(通関業法第14条) |
| 税関とのやりとり | 審査や検査の連絡に対応する | 会社によって分担はさまざま |
| 関連業務 | 他法令の申請、保税運送の申告など | 会社によって分担はさまざま |

『審査と記名だけなら、仕事は少ないのでは?』と思うかもしれません。
ただ、審査をするには、分類や税率、他法令の確認まで全体が分かっていないとできません。
そのため、通関士は申告の流れ全体に目を配る立場になるんです。
例えば、こんな場面です。
「この品目の分類、前回と同じで大丈夫ですか」
「材料が変わったと聞いているので、分類と他法令をもう一度確かめましょう」
申告書が形式上そろっていても、中身が変わっていないかを確かめるのが審査の役目です。
具体的な1日の動きは通関士の仕事内容で紹介しています。
- 申告書などの審査
- 審査した書類への記名
- 申告全体の正しさへの目配り
- 書類の受付や整理
- 申告書の作成の手伝い
- 関連業務の段取り
通関士になるまでの流れ
ここが、資格を目指す人がいちばん知っておきたいところですよね。
通関士になるまでの道のりは、大きく3つの段階に分かれます。
- 通関士試験に合格する(通関業法第23条で、通関士になろうとする人は試験に合格しなければならないとされています)
- 合格証書を受け取る
- 通関業者に勤める
- 勤務先の通関業者が財務大臣に届け出て、確認を受ける(通関業法第31条)
- 通関士として通関業務に従事する

「確認」は勤務先が申請する
第60回通関士試験の受験案内には、合格者が通関士として働くための決まりが書かれています。
通関業法第31条により、勤務先の通関業者の申請にもとづく財務大臣の「確認」が必要なんです。
ポイントは、確認を申請するのが本人ではなく勤務先だという点です。
『合格したら自分で手続すればいい』と思っていると、ここで戸惑うことがあります。
確認の仕組みは通関士になるまでで詳しく説明しています。
合格証書が届くまでのスケジュール
第60回(令和8年)の受験案内では、合格発表から合格証書までの予定は次のとおりです。
| 時期(予定) | できごと |
|---|---|
| 11月10日(火) | 税関ホームページに合格者の受験番号を掲載 |
| 11月20日(金) | 官報に合格者の受験番号を掲載 |
| 官報の掲載後 | 受験地を管轄する税関から合格証書を郵送 |
| 12月4日(金)まで | 届かない場合は受験地の税関の通関業監督官に問い合わせ |
税関の各官署での掲示はしないとされているので、ホームページで確かめてみてください。
「試験に合格した=通関士」ではありません。合格者が通関士として働けるのは、通関業者に勤めて財務大臣の確認を受けてからです。通関業者以外の会社に勤めている場合は、この確認の仕組みに乗りません。
通関士試験の概要
通関士試験は、財務大臣が決定する問題により各税関長が行う試験で、昭和42年から毎年1回行われています(カスタムスアンサー8002)。
受験案内には「学歴、年齢、経歴、国籍等についての制限はありません」とあり、どなたでも受験できます。
試験科目と時間
第60回(令和8年)の受験案内では、試験科目と時間は次のとおりです。
| 科目 | 時間 | 配点 |
|---|---|---|
| 通関業法 | 9:30〜10:20(50分) | 45点 |
| 関税法、関税定率法その他関税に関する法律及び外国為替及び外国貿易法(同法第6章に係る部分に限る) | 11:00〜12:40(100分) | 60点 |
| 通関書類の作成要領その他通関手続の実務 | 13:50〜15:30(100分) | 45点 |
各科目とも、マークシート方式の筆記試験です。
出題範囲は、法律・政令・省令・告示・通達で、第60回は令和8年7月1日現在で施行されているものとされていました。
毎年の法改正が試験に反映されるので、古い年度の教材だけで勉強するのは避けておきましょう。
通関実務の科目では、NACCSを使って行う輸出申告と輸入申告の書類作成の問題や、計算の問題も出ます。
電卓が使えるのは、この通関実務の時間だけです。
合格するには、3科目すべてで合格基準を満たす必要があります。
第60回は令和8年10月4日(日)に行われ、合格発表は11月10日(火)の予定です。
次の回の日程は、受ける年の受験案内で確かめてみてください。

合格率の推移
財務省(税関)の公表値では、最近の合格率は次のとおりです。
| 回(年) | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
|---|---|---|---|
| 第55回(令和3年) | 6,961人 | 1,097人 | 15.8% |
| 第56回(令和4年) | 6,336人 | 1,212人 | 19.1% |
| 第57回(令和5年) | 6,332人 | 1,534人 | 24.2% |
| 第58回(令和6年) | 6,135人 | 759人 | 12.4% |
| 第59回(令和7年) | 6,322人 | 954人 | 15.1% |
年によって合格率に幅があるので、1年分の数字だけで判断しないのがおすすめです。
合格基準は事前には公表されず、合格発表の時に公表されます。
| 回 | 通関業法 | 関税法等 | 通関実務 |
|---|---|---|---|
| 第59回 | 満点の60%以上 | 満点の60%以上 | 満点の60%以上 |
| 第58回 | 満点の60%以上 | 満点の55%以上 | 満点の60%以上 |
試験の全体像は通関士試験とは?でまとめています。
通関業者の通関業務などに通算5年以上従事した人は通関実務の科目が、通算15年以上の人は関税法等と通関実務の2科目が免除されます。単なる入力事務などは期間に含まれないので、詳しくは受験案内で確かめてみてください。
通関士が働く場所と目指し方
通関士は、通関業者の営業所で働くのが基本です。
『通関の知識は通関業者でしか使えないの?』と気になる方もいますよね。
通関士として名乗れるのは通関業者で確認を受けた場合ですが、通関の知識そのものは、メーカーや商社の貿易の部署でも役立ちます。
働き方や求人の探し方は通関士の転職・求人の探し方で紹介しています。
通関士の仕事で求められる力
通関士の仕事は、審査と記名という役割から考えると、求められる力が見えてきます。
| 求められる力 | 仕事のどこで使うか |
|---|---|
| 法律や通達を読む力 | 申告の根拠や、他法令に当たるかを確かめる時 |
| 細かい数字を確かめる力 | 価格や数量、税額の計算を見直す時 |
| 品目の中身を想像する力 | 材料や用途から分類を考える時 |
| 人に確かめる力 | 荷主や税関に、足りない情報を聞く時 |
『細かい作業が続くのは苦手かも』と感じる方もいるかもしれません。
ただ、最初から全部できる人はいないので、実務の中で少しずつ身につけていく人がほとんどです。
向いている人の特徴は通関士に向いている人でセルフチェックできます。
こんな人が目指している
通関士を目指す人の状況はさまざまです。
| 状況 | 通関士を目指す理由の例 |
|---|---|
| 物流会社や通関業者で働き始めた人 | 申告書の審査を任されるようになりたい |
| 貿易事務をしている人 | 通関の流れを根拠から理解したい |
| 学生 | 物流や貿易の仕事に就くための知識をつけたい |
| 転職を考えている社会人 | 国家資格を足がかりに新しい分野に進みたい |
独学で進めるか、講座を使うか
ここで多くの人が迷うのが、勉強の進め方です。
通関士試験は3科目あり、法律の暗記だけでなく、申告書の作成や計算の問題も出ます。
『独学で大丈夫かな』と不安になるのは自然なことです。
独学なら、自分のペースで進められて、教材を自分で選べます。
税関のホームページでは過去の試験問題や正答も確かめられるので、独学で合格を目指す人もいます。
一方で、次のような場面では講座を使うと楽になることがあります。
- 通関実務の申告書問題や計算問題の解き方を、解説つきで学びたい
- 毎年の法改正の情報を自分で追うのが大変
- 働きながらで、勉強時間が限られている
- 分からないところを質問できる相手がいない
独学の進め方は通関士は独学で合格できる?、講座の比べ方は通関士の講座・スクールの選び方で詳しく紹介しています。
勉強の進め方に迷ったら、いくつかの講座の資料を取り寄せて、同じ目線で比べてみるのも一つの方法です。
通関ドットコム
通関士を目指すなら、講座を比べてみませんか
実務の申告書問題や計算問題の解説、法改正への対応など、独学では用意しにくい部分だけでも講座を使うと準備が進めやすくなります。学び方の比べ方と、資料請求で講座を選ぶ時のチェックポイントをまとめました。
講座の選び方通関士の講座の選び方を見る当サイト内の解説ページに移動します。講座の内容・料金・受講期間は各講座の公式案内でご確認ください。
通関士についてよくある相談
Yahoo!知恵袋などで見かける相談の中から、通関士という資格についてのものを3つ選んで答えます。
通関士は国家資格ですか?
『通関士って、国家資格で合っていますか?』という相談です。
結論から言うと、はい、国家資格です。
通関士試験は通関業法にもとづいて、財務大臣が決定する問題で各税関長が行う国家試験です。
ほかの資格との難しさ比べは、人によって得意分野が違うので一概には言えません。
合格率は財務省(税関)の公表値で確かめられるので、それを一つの目安にしてみてください。
知識ゼロから取得を目指せますか?
『貿易の知識がまったくないけれど、通関士の国家資格を取りたい』という相談です。
受験資格に学歴や経歴の制限はないので、知識ゼロからでも挑戦できます。
ただ、試験は年1回で、例年10月上旬に行われています。
次の受験案内が出たら試験日を確かめて、そこから逆算して勉強の計画を立ててみてください。
勉強時間の考え方は通関士の勉強時間の目安で紹介しています。
- 受験案内で3科目の名前と配点を確かめる
- 過去の試験問題を1回分ながめて、出題の形をつかむ
- 試験日から逆算して、科目ごとの期間を決める
- 法改正に対応した新しい年度の教材を用意する
これから勉強を始めるなら何から?
『通関士の資格取得に向けて勉強を始めたい。何から手をつければいい?』という相談です。
まずは3科目の中身と配点を知って、全体の地図をつかむのがおすすめです。
そのうえで、税関のホームページで過去の試験問題を1回分見てみると、どんな問題が出るかのイメージがわきます。
科目ごとの進め方は通関士の勉強法で詳しく説明しています。
よくある質問
通関士試験に合格すれば、すぐに通関士になれますか?
合格しただけでは通関士にはなれません。通関業者に勤めて、勤務先の申請で財務大臣の確認を受けてから、通関士として通関業務に従事できます。
通関士試験に受験資格はありますか?
受験案内では、学歴・年齢・経歴・国籍などの制限はないとされています。どなたでも受験できます。
通関士は通関業者のどこで働きますか?
通関業者は通関業務を行う営業所ごとに通関士を置くことになっています。営業所で申告書などの審査と記名を受け持ちます。
通関士の試験は年に何回ありますか?
毎年1回行われています。第60回は令和8年10月4日に行われました。次の回の日程は、受ける年の受験案内で確かめてみてください。
実務経験があると試験で有利になりますか?
通関業務などに通算5年以上従事すると通関実務、15年以上なら2科目が免除されます。単なる入力事務などは期間に含まれません。
まとめ
- 通関士とは、試験に合格し、財務大臣の確認を受けて通関業務に従事する国家資格の専門職
- 通関業者は営業所ごとに通関士を置き、申告書などの審査と記名をさせる
- 合格後に通関士として働くには、勤務先の通関業者の申請で確認を受ける
- 試験は3科目で、すべての科目で合格基準を満たす必要がある
- 受験資格の制限はなく、知識ゼロからでも挑戦できる





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