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初めて輸入する商品について『通関業者から他法令はありますかと聞かれたけど、何のこと?』と戸惑っている方も多いはずです。
結論から言うと、他法令の通関とは、関税法以外の法律で許可や届出が要る貨物について、その手続を済ませたことを税関に示すことです。
この記事を読めば、自分の商品が他法令に当たるかを調べる順番と、どこに相談すればいいかが分かります。
他法令とは?通関で「別の法律の確認」が要る理由
他法令で許可や承認などが必要な貨物は、その許可などを受けて、輸入申告や審査・検査の時に税関に証明しないと、輸入が許可されません。関税を払う手続とは別に、もう一つの関門があるイメージです。
通関というと、関税や消費税を払う手続を思い浮かべますよね。
実は、税関が確かめているのは税金だけではないんです。
食品の安全や、医薬品や化粧品の品質などは、関税法とは別の法律で決まりがあります。
こうした関税法以外の法律をまとめて、通関の現場では「他法令」と呼んでいます。
税関の案内ではどう書かれているか
税関のカスタムスアンサー1801では、次のように説明されています。
許可、承認等を受けて、輸入申告又は当該申告に係る審査又は検査の際にその旨を税関に証明して確認を受けなければ輸入は許可されません。
出典:税関 カスタムスアンサー1801
根拠は関税法第70条です。
つまり、他法令の手続が終わっていないと、税金を払う準備ができていても貨物は引き取れません。
通関そのものの流れをまだつかめていない方は、先に通関とは?を読んでおくと、この先の話が入りやすくなります。
税関は「当たるかどうか」は答えてくれない
ここが大事なところです。
同じ1801には、「税関では、他法令の該非に係る照会について、お答えできません」とも書かれています。
『税関に聞けば全部わかるはず』と思いがちですが、他法令に当たるかどうかは、その法律を担当する役所に確かめる必要があるんです。
通関業者が行う業務には、通関手続に関連する業務として他法令の許可・承認の申請なども含まれています(カスタムスアンサー9105)。通関業者に頼む場合も、品目の中身と使い道を正確に伝えておくと話が早く進みます。
品目から引く「他法令」逆引き表
『結局、うちの商品はどの法律に当たるの?』というのが一番知りたいところですよね。
そこで通関ドットコム編集部で、税関や厚生労働省の案内をもとに、品目から確認先を引ける表を作りました。
ポイントは、品目だけでなく「販売するか・自分で使うか」の使い道でも手続が変わることです。
| 品目の例 | 主に関わる決まり | 販売・営業で使う場合 | 自分で使う場合 | 確認・相談先 |
|---|---|---|---|---|
| 食品、添加物 | 食品衛生法 | そのつど届出が要る | 届出は不要とされる(検疫所に照会) | 通関場所を担当する検疫所 |
| 食器、容器包装、乳幼児用おもちゃ | 食品衛生法 | そのつど届出が要る | 届出は不要とされる(検疫所に照会) | 通関場所を担当する検疫所 |
| 酒類(ワインなど) | 食品衛生法、酒税法 | 届出に加え販売業免許が要る | 総量10kg以下など個人使用と認められれば届出は不要 | 検疫所、酒税法の担当窓口 |
| 化粧品、医薬品など | 医薬品等を規制する法律 | 製造販売業などの許可を受けた者でないと輸入できない | 一定の数量までは輸入確認証が不要 | 地方厚生局 |
| 医療機器、動植物、電気製品、化学物質など | 品目ごとに別の法律 | 品目と用途で異なる | 品目と用途で異なる | その法律を担当する役所、通関業者 |
出典は、税関のカスタムスアンサー1802、3105、1805、1806です。

表の一番下の行がいちばん要注意
医療機器や動植物、電気製品、化学物質などは、品目ごとに関わる法律が分かれています。
この記事で中身まで書けるのは、税関や厚生労働省の案内で確かめられた食品・酒類・化粧品の部分だけです。
それ以外の品目は、自己判断で「たぶん大丈夫」と決めず、担当の役所や通関業者に確かめてみてください。
食品に当たる物は思ったより広い
食品衛生法の届出は、食べ物だけの話ではありません。
1802の原文では、販売や営業で使う「全ての食品、添加物、器具、容器包装又は乳幼児用おもちゃ」の輸入が届出の対象とされています。
例えば、こんな場面です。
- 雑貨として仕入れたマグカップやお皿
- 商品を詰めるための容器や包装
- 乳幼児向けのおもちゃ
『食器は雑貨だから関係ないよね』と思っていると、ここでつまずくことがあるんです。
他法令の確認は通関のどこで行う?流れと書類
『他法令の手続って、通関のどのタイミングでやるの?』と迷う方も多いですよね。
結論から言うと、他法令の手続は輸入申告の前に済ませておき、申告や審査・検査の時にその証明を税関に見せる、という順番です。
- 商品の品目と使い道(販売か、自分で使うか)を決める
- 関わりそうな法律と担当の役所を調べる
- 担当の役所で許可・承認・届出の手続をする
- 届出済みの書類や許可証などを受け取る
- 輸入申告の時に、その書類を他の通関書類と一緒に税関に出す
- 審査・必要な検査を経て、税金を納めて輸入許可を受ける

通関書類の中での位置づけ
税関のカスタムスアンサー1107では、輸入申告に必要な書類として仕入書(インボイス)や包装明細書などが挙げられています。
そのうえで、貨物によっては他法令の許可・承認証なども必要になると書かれています。
通関書類の全体は通関に必要な書類で確かめられます。
| 書類のグループ | 中身の例 | 誰が用意するか |
|---|---|---|
| 基本の書類 | 仕入書、包装明細書、船荷証券など | 輸入者、取引先 |
| 他法令の書類 | 許可・承認証、届出済みの書類など | 輸入者(担当の役所で手続) |
| 税率に関わる書類 | 原産地証明書など | 輸入者、取引先 |
到着前に審査を進めておく方法もある
『許可が下りるのを待っていたら、貨物が港に着いてしまう』という心配もありますよね。
税関のカスタムスアンサー1108によると、予備審査制という仕組みがあります。
貨物が日本に着く前や、輸入承認などの手続が終わる前でも、輸入申告書類を税関に出して、審査や検査の扱いについて事前に通知を受けられる制度です。
ただし、他法令の手続そのものが不要になるわけではありません。
最終的な輸入許可の前には、他法令の確認を受ける必要があります。
貨物が着いてから他法令に当たると分かり、届出や許可の準備を始める失敗です。その間、貨物は保税地域に置かれたままになり、引取りが遅れます。発注の前に品目と使い道を確かめておきましょう。
荷物が止まる理由の全体は通関が遅いのはなぜ?でまとめています。
食品・酒類・化粧品の手続のポイント
ここからは、逆引き表のうち税関などの案内で中身を確かめられる3つの品目を、もう少し詳しく見ていきます。
食品:検疫所への届出が中心
食品を販売や営業で使うために輸入する場合、通関場所を担当する検疫所に「食品等輸入届出書」を出します。
厚生労働省の食品等輸入手続についてでは、流れが次のように案内されています。
- 届出書、原材料や製造工程の説明書などを準備する(必要に応じて衛生証明書や試験成績書も)
- 通関場所を担当する検疫所に届け出る
- 食品衛生監視員が審査し、検査が必要かを判断する
- 「食品等輸入届出済証」の交付を受ける
- 届出済みの書類を税関に出して輸入申告する
厚生労働省の案内には、「輸入する量や輸送形態により、その取扱いが変わるものではありません」とも書かれています。
郵便物で届く場合でも、販売や営業で使うなら届出が必要なんです。
『少しだけだから』『郵便だから』は理由にならない、と覚えておきましょう。
違反が見つかった場合は、輸入者が廃棄や積戻しなどの対応をすることになります。
酒類:届出と免許の2つを見る
ワインなどの酒類は、食品衛生法の届出に加えて、販売するなら酒税法の免許も関わります。
| 目的 | 食品衛生法の届出 | 酒類の販売業免許 |
|---|---|---|
| 個人で飲む(総量10kg以下など) | 不要 | 不要 |
| 自分の店で飲ませる | 検疫所に届出 | 自分の営業場内で飲ませるなら不要 |
| 販売する | 検疫所に届出 | 酒税法に基づく免許が要る |
出典は税関のカスタムスアンサー3105です。
保税地域から引き取る時の容器の表示(品目やアルコール分など)の決まりもあります。
詳しくはワインの輸入通関で取り上げています。
化粧品:業として輸入するなら許可が前提
化粧品や医薬品などは、厚生労働大臣の製造販売業や製造業の許可・登録を受けた者でないと、業として輸入できません(カスタムスアンサー1805)。
輸入申告の時には、製造販売業許可証の写しなどを出して確認を受けます。
自分で使う分なら、カスタムスアンサー1806で、化粧品は標準サイズで一品目につき24個以内なら輸入確認証は不要とされています。
それを超える場合は、地方厚生局に申請して輸入確認証を受けます。
販売目的と個人使用の違いは化粧品の輸入通関で比べています。
自分の貨物が他法令に当たるか調べる手順
『表を見ても、うちの商品がどれに当たるのか自信がない』という方もいますよね。
ここでは、輸入を決める前にやっておきたい調べ方を順番にまとめます。
- 商品の中身(材料・成分・機能)を取引先から資料でもらう
- 販売するのか、自分や自社で使うのかを決める
- 食べ物に触れる物か、子どもが口にする物かを見る
- 逆引き表で関わりそうな法律と役所の見当をつける
- 担当の役所の案内ページや窓口で、手続の要否を確かめる
- 通関業者に頼む場合は、品目と使い道を伝えて相談する
担当の役所に聞く時のコツ
他法令に当たるかどうかは、税関ではなく担当の役所が判断します。
問い合わせる時は、商品名だけでなく材料や成分、使い道まで伝えると答えが返ってきやすくなります。
例えばこんな聞き方です。
「ステンレス製の水筒を、販売目的で輸入する予定です。食品衛生法の届出は必要でしょうか」
『何をどう聞けばいいか分からない』という時は、この形をまねしてみてください。
問い合わせの前に、次の情報を手元にそろえておくと話がスムーズです。
| 伝える情報 | 中身の例 | なぜ要るか |
|---|---|---|
| 品名と材料 | ステンレス製、プラスチック製など | 食品に触れる物かを見るため |
| 成分 | 原材料の一覧、成分表 | 化粧品や食品の扱いを決めるため |
| 使い道 | 販売、自分の店で使う、自分で使う | 届出や許可の要否が変わるため |
| 数量と送り方 | 個数、重さ、郵便か貨物か | 個人使用と認められるかの目安になるため |
| 取引先の資料 | 仕様書、製造工程の説明 | 届出書の添付書類になることがあるため |
自分用と販売用が混ざる時
『自分で使う分と、売る分を一緒に送ってもらいたい』という相談もよくあります。
この場合、販売する分は販売・営業で使う物として扱われる前提で考えておくのが安全です。
使い道ごとに手続が分かれるので、迷ったら輸入の前に担当の役所に照会してみてください。
通関業者に相談する場合
通関業者に通関を頼む場合、他法令の申請も関連業務として相談できることがあります。
その時は、仕入書や商品の資料を早めに渡しておくと、到着後のやり取りが減ります。
通関業者の役割は通関業者とは?で詳しく説明しています。
- 手続の中身を自分で理解できる
- 次回以降の輸入で迷わなくなる
- 役所とのやり取りに時間がかかる
- 書類の作り方を相談できる
- 手間を減らせる
- 依頼する分の費用がかかる
通関の知識を仕事にする道もある
他法令の確認は、通関の現場で毎日のように出てくる仕事です。
こうした知識を仕事にしたい人には、国家資格の通関士という道もあります。
どんな資格かは通関士とは?でまとめています。
通関ドットコム
通関士を目指すなら、講座を比べてみませんか
実務の申告書問題や計算問題の解説、法改正への対応など、独学では用意しにくい部分だけでも講座を使うと準備が進めやすくなります。学び方の比べ方と、資料請求で講座を選ぶ時のチェックポイントをまとめました。
講座の選び方通関士の講座の選び方を見る当サイト内の解説ページに移動します。講座の内容・料金・受講期間は各講座の公式案内でご確認ください。
他法令でよくある相談
Yahoo!知恵袋などでよく見かける相談の中から、他法令に関するものを3つ選んで答えます。
食器や容器も食品衛生法の対象なの?
『食品衛生法が関わるのは食べ物だけだと思っていた』という相談です。
結論から言うと、販売や営業で使う器具や容器包装、乳幼児用おもちゃも届出の対象です(カスタムスアンサー1802)。
食器や保存容器を雑貨として仕入れる場合も、食べ物に触れる物かどうかを一度確かめてみてください。
他法令の許可は貨物が着いてから取ればいい?
『到着後に他法令の許可を取って、それから申告すればいいの?』という相談です。
他法令の確認は、輸入申告か、その審査・検査の時に税関に証明する必要があります。
到着を待ってから動くと、その分だけ引取りが遅れます。
到着前に審査を進める予備審査制もあるので、発注の段階から準備しておくのがおすすめです。
試験勉強で他法令の許可と承認がごちゃごちゃになる
通関士試験を勉強している人からの、『他法令の許可・承認の整理で混乱する』という相談です。
まずは、関税法第70条の「他法令の証明・確認」という大きな枠をつかむのが近道です。
そのうえで、食品・酒類・化粧品のように品目ごとに担当の役所が違う、という見取り図を自分で作ってみてください。
この記事の逆引き表のように、品目と確認先を並べた表を作ると頭に入りやすくなります。
他法令の手続は、輸入通関の流れの中の一部です。申告から引取りまでの全体は輸入通関の流れで確かめられます。
よくある質問
他法令に当たるかどうか、税関に聞けば教えてもらえますか?
税関の案内では、他法令の該非についての照会には答えられないとされています。その法律を担当する役所に確かめるか、通関業者に相談してみてください。
個人で使う食品も届出が必要ですか?
厚生労働省などの案内では、個人用や試験研究用は届出が不要とされています。迷う場合は通関場所を担当する検疫所に照会してみてください。
少量なら他法令の手続は省けますか?
食品の届出について厚生労働省は、輸入する量や輸送形態で取扱いは変わらないとしています。販売や営業で使うなら、少量や郵便物でも届出が必要です。
他法令の書類は通関のどの書類と一緒に出しますか?
仕入書や包装明細書などの通関書類と一緒に、輸入申告の時に出します。申告後の審査・検査の時に証明する場合もあります。
まとめ
- 他法令の通関とは、関税法以外の法律の許可や届出を済ませたことを税関に示す手続
- 他法令の確認がないと、税金の準備ができていても輸入は許可されない
- 税関は該非の照会に答えないので、担当の役所に確かめる
- 食品は器具や容器包装、乳幼児用おもちゃまで対象になる
- 酒類は届出と販売業免許、化粧品は業としての輸入に許可が要る
- 発注前に品目と使い道を決めて調べておくと、引取りが遅れにくい





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