輸入申告を間違えたら?通関の修正申告と更正の請求の違い

輸入申告を間違えた時の修正申告と更正の請求の違いを扱う記事のアイキャッチ

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『輸入申告の数字を間違えていたかもしれない。どうすればいいの?』と焦っている方も多いはずです。

結論から言うと、通関の修正申告と更正の請求は、直すと税額が増えるか減るかで使い分けます。輸入の許可の前か後かで変わるのは、直し方と期限です。

この記事では、その考え方を4マスの判定表にして、間違いやすい所と、気づいた後の手順まで紹介します。

目次

修正申告と更正の請求は何が違う?

先に結論

修正申告は、納めた税金が少なすぎた時に、自分から正しい税額に直す手続です。更正の請求は、納めた税金が多すぎた時に、税関に直して還付してもらうよう求める手続です(カスタムスアンサー1305)。

輸入の手続では、輸入者が自分で税額を計算して申告する「申告納税方式」が基本です。

カスタムスアンサー1301では、一般の貨物や、課税価格が20万円を超える郵便物は、輸入者自ら申告するとされています。

自分で申告するからこそ、間違いに気づいた時も、自分から直す手続が用意されているんです。

比べる点修正申告更正の請求
使う場面申告した税額が少なすぎた申告した税額が多すぎた
誰が動くか輸入者が自分で申告し直す輸入者が税関に直すよう求める
出すもの修正申告関税更正請求書(税関様式C-1030)
いつまで税関が更正をするまで原則、輸入の許可の日から5年以内
結果足りない税額をその日のうちに納める税関が認めれば減額更正をして還付

『どっちも「間違いを直す」なのに、なぜ名前が違うの?』と思いますよね。

税額が増える直し方と、減る直し方で、手続の向きが違うと考えるとすっきりします。

修正申告の分の税金は、修正申告書を出した日が納期限です。延滞税もかかるので、一緒に納めます(カスタムスアンサー1305)。

更正の請求は、誤っていた申告と正しい申告の両方の内容を書いた請求書を、申告をした税関官署に出して行います。

郵便物で税関が税額を決めた場合

課税価格が20万円以下の郵便物などは、税関が税額を計算して決める仕組み(賦課課税方式)です。その税額に疑問がある時は、通知書に書かれた税関の窓口に問い合わせてみてください。

そもそも輸入申告では何を申告している?

関税法第67条では、輸入しようとする人は、貨物の品名や数量、価格などを税関長に申告し、必要な検査を経て許可を受けなければならないとされています。

税関は、申告があると書類の審査と必要な検査を行い、原則として関税などの税金が納められたことを確かめてから輸入を許可します(カスタムスアンサー1101)。

つまり、申告した価格や数量がずれていると、納める税額もずれてしまうんです。通関の流れ全体は、通関とは?輸出入で税関の許可を受けるまでの流れで紹介しています。

許可の前か後か、増えるか減るかで見る4マスの判定表

ここが大事なところです。

間違いに気づいた時は、まず2つのことを確かめると、使う手続の見当がつきます。

1つ目は、直すと税額が増えるのか減るのか。2つ目は、輸入の許可がもう出ているかどうかです。

関税法の条文をもとに、通関ドットコム編集部で4マスの判定表にしました。

税額が増える税額が減る
輸入の許可の前修正申告(出した申告書の税額などを補正する形でできる)更正の請求(許可があるまでの間もできる)
輸入の許可の後修正申告(税関の更正があるまで)更正の請求(原則、許可の日から5年以内)

実は、許可の前でも後でも、使う手続の名前は同じなんです。

関税法第7条の14では、許可の前にする修正申告は、先に出した申告書の税額などを補正して行えるとされています。第7条の15では、更正の請求は「輸入の許可があるまで」か、許可の日から5年以内にできるとされています(関税法)。

許可の前なら、まだ税関の審査の途中です。申告先の税関か通関業者に早めに連絡しましょう。

税額が増えるか減るかで修正申告と更正の請求を分け、許可の前と後で直し方と期限が変わることを示す4マスの図解
表はあくまで目安

この表は、手続の見当をつけるための目安です。特例申告の貨物や、許可の前に引き取る承認(BP)を受けた貨物は、期限の数え方が変わります。実際に直す時は、申告先の税関や依頼している通関業者に確かめてください。

例えばこんな場面

例えば、輸入の許可が出た後に、運賃を課税価格に入れ忘れていたと気づいた場合です。

課税価格が増えれば税額も増えるので、判定表では「許可の後・増える」のマスになり、修正申告を考える場面です。

反対に、許可の後で、インボイスの金額を為替で換算する時に計算を誤り、課税価格を大きくしていたと気づいた場合です。税額が減るので「許可の後・減る」のマス、つまり更正の請求を考える場面になります。

輸入申告で間違いやすい所はどこ?

修正申告や更正の請求が必要になるのは、たいてい課税価格か税率のどちらかがずれた時です。

税関の案内をもとに、ずれやすい所を表にしました。

間違いやすい所どうずれるか税関の案内
運賃・保険料輸入港に着くまでの運賃や保険料を入れ忘れるカスタムスアンサー1403(加算要素)
仲介手数料・ロイヤルティ支払った価格以外の費用を入れ忘れるカスタムスアンサー1403(加算要素)
為替の換算使う週の為替相場を取り違えるカスタムスアンサー1406
税率EPA税率を使える貨物で、一般の税率のまま申告するカスタムスアンサー1524
数量・品名インボイスの数量や品名を写し間違えるカスタムスアンサー1106

課税価格は、実際に支払った価格に、含まれていない運賃などの「加算要素」を加えて計算するのが原則です(カスタムスアンサー1403)。

為替相場は、輸入申告の日の属する週の前々週の実勢相場の平均をもとに、税関長が毎週公示しています(カスタムスアンサー1406)。

EPA税率を使う時は、原則として原産地証明書などを輸入申告の際に出します。原産地証明書等の有効期間は、発給や作成の日から1年です(カスタムスアンサー1524)。

EPA税率で申告する前に、書類の日付が有効期間の中に入っているかも見ておきましょう。期限の切れた書類では、思っていた税率を使えないこともあります。

『運賃は別に払っているから、入れなくていいと思っていた』という声は意外と多いんです。

関税と消費税の計算の流れは、通関でかかる関税と消費税|税額の計算の流れで紹介しています。

申告前の見直しチェック
  • インボイスの価格に、輸入港までの運賃と保険料が含まれているか
  • 含まれていない費用(仲介手数料など)がないか
  • 為替は申告する週の公示相場を使っているか
  • EPA税率を使える貨物で、原産地を証明する書類がそろっているか
  • 数量と品名がインボイスと一致しているか

間違いに気づいたら何をする?

間違いに気づいた時に、いちばん避けたいのは、そのままにしてしまうことです。

税金が少なかった時は早いほどいい

税関の調査の通知を受ける前に自分から修正申告をすれば、過少申告加算税はかかりません。調査の通知を受けた翌日以後で更正を予知する前なら増えた税額の5%、予知した後の修正申告や税関の増額の更正では10%の過少申告加算税がかかります(カスタムスアンサー1305)。

間違いに気づいた後の手順
  1. 間違えた申告の番号、日付、品目をメモする
  2. 何がどうずれていたのか(価格・税率・数量)を書き出す
  3. 輸入の許可が出ているかを確かめる
  4. 税額が増えるか減るかを、ざっくり見積もる
  5. 判定表で手続の見当をつけて、申告先の税関か通関業者に相談する
  6. 必要な書類をそろえて、案内に沿って手続をする
輸入申告の間違いに気づいた後、書き出してから税関や通関業者に相談するまでの手順の図解

通関業者に申告を頼んでいた場合は、まず担当の通関業者に連絡しましょう。

その時は、こんなふうに伝えると話が早く進みます。

「先月の輸入申告で、運賃を課税価格に入れ忘れていたようです。許可は出ています。どう直せばいいか相談させてください」

通関業者の役割は、通関業者とは?通関会社の役割と依頼する前に確かめることで紹介しています。

自社で申告している場合

自社で輸入申告をしている会社は、修正申告や更正の請求も自社で考えることになります。

迷った時は、申告先の税関に相談してみてください。自社通関と通関業者に頼む場合の違いは、自社通関とは?自分で輸入申告する方法と通関業者に頼む場合の違いで紹介しています。

間違いを防ぐにはどうする?

一度直した経験があると、次は同じ間違いをしたくないですよね。

間違いを減らす工夫
  • 予備審査制で、貨物が着く前に書類を税関に出しておく
  • インボイスと申告内容を、2人で読み合わせる
  • 運賃や保険料の請求書を、申告の書類と一緒に保管する
間違いが起きやすい進め方
  • 貨物が着いてから、急いで書類をそろえる
  • 1人で入力して、そのまま申告する
  • 運賃の請求書が別の部署に届き、申告の担当者が見ていない

予備審査制は、貨物が日本に着く前でも輸入申告の書類を税関に出して、審査や検査についての事前の通知を受けられる制度です(カスタムスアンサー1108)。対象は「全ての輸入貨物」とされています。

また、通関業者に頼む場合は、通関書類の内容を通関士が審査し、記名する決まりがあります。専門家のチェックが入るのも、通関業者に頼む利点の一つです。

輸入の手続全体は、輸入通関の流れ|申告から許可・引取りまでの手順と書類で紹介しています。

通関の知識を仕事にしたい人へ

修正申告や更正の請求の考え方は、通関の仕事をする人にとって毎日の知識です。

通関の知識を仕事にしたい人は、国家資格の通関士という道もあります。どんな資格かは通関士とは?仕事内容と国家資格としての役割で紹介しています。

通関ドットコム

通関士を目指すなら、講座を比べてみませんか

実務の申告書問題や計算問題の解説、法改正への対応など、独学では用意しにくい部分だけでも講座を使うと準備が進めやすくなります。学び方の比べ方と、資料請求で講座を選ぶ時のチェックポイントをまとめました。

講座の選び方通関士の講座の選び方を見る

当サイト内の解説ページに移動します。講座の内容・料金・受講期間は各講座の公式案内でご確認ください。

よくある相談:修正申告の悩みに答えます

Yahoo!知恵袋で読まれている相談を、要約して答えます。

修正申告と「補正」は何が違う?

『修正申告と補正の違いがよく分からない。修正申告は輸入の許可の後、という理解で合っている?』という相談があります。

結論から言うと、修正申告は許可の後だけの手続ではありません。

関税法第7条の14では、輸入の許可の前にする修正申告は、先に出した申告書に書いた税額などを補正して行えるとされています。つまり「補正」は、許可の前の修正申告のやり方を指す言葉として出てきます。

通関士試験の勉強で迷った時は、条文そのものを六法で読んでおくと、言葉の使い分けがはっきりします。

許可の後に税額が減ると分かったら?

『関税を納めて輸入が許可された後に、納めすぎていたと分かった。どうすればいい?』という質問も読まれています。

判定表では「許可の後・減る」のマスなので、更正の請求を考える場面です。

更正の請求は、原則として輸入の許可の日から5年以内にできます。税関が内容を確かめて、納めすぎと認めれば減額の更正をして還付します(カスタムスアンサー1305)。

なぜ税額が減るのか(計算の誤り、価格の誤りなど)を書類で説明できるようにして、申告をした税関に相談してみてください。

事後調査で修正申告を求められ、件数が多い

『輸入の事後調査で修正申告が必要になった。対象の件数がとても多くて困っている』という相談もあります。

件数が多い時は、まず一覧表を作って、申告の番号ごとに何がどれだけずれていたかをまとめましょう。

調査の通知を受けた後の修正申告には、過少申告加算税がかかります。増えた税額とあわせて、延滞税も納めることになります(カスタムスアンサー1305)。

自社で手続するか、通関業者に頼むかは、件数と社内の人手で考えることになります。進め方は、調査を担当した税関に相談してみてください。

よくある質問

修正申告と更正の請求は、どう使い分けますか?

納めた税金が少なすぎた時は修正申告、多すぎた時は更正の請求です。更正の請求は、原則として輸入の許可の日から5年以内にできます。

輸入の許可の前に間違いに気づいたら?

税額が増えるなら、先に出した申告書の税額などを補正する形で修正申告ができます。減るなら、許可があるまでの間も更正の請求ができます。まずは申告先の税関か通関業者に連絡しましょう。

郵便物で届いた荷物の税額がおかしい時は?

課税価格が20万円以下の郵便物などは、税関が税額を決める仕組みです。通知書に書かれた税関の窓口に問い合わせてみてください。

間違いを防ぐ方法はありますか?

予備審査制で貨物が着く前に書類を税関に出しておく、インボイスと申告内容を2人で読み合わせる、といった工夫があります。運賃や保険料の書類を申告の担当者が見られるようにしておくことも大切です。

修正申告は通関業者に頼めますか?

はい。カスタムスアンサー1305では、修正申告や更正の請求の手続は通関業者に委託して行えるとされています。申告を頼んでいた通関業者に、まず相談してみましょう。

まとめ

この記事の要点
  • 修正申告は税額が少なすぎた時、更正の請求は多すぎた時に使う
  • 許可の前か後かで変わるのは、直し方と期限(更正の請求は原則、許可の日から5年以内)
  • 調査の通知の前に自分から修正申告すれば、過少申告加算税はかからない
  • 運賃・保険料の入れ忘れや税率の取り違えが、ずれの元になりやすい
  • 気づいたら、申告の番号とずれの中身を書き出して税関か通関業者に相談する
通関ドットコム

通関ドットコム 編集部

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