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『関税法、関税定率法、関税暫定措置法……。法律の名前を見ただけで、もうお腹いっぱい』という方も多いはずです。
結論から言うと、関税法の勉強法は「法律ごとに読む」のをやめて、「貨物が動く順番に並べ替えて読む」のが近道です。
この記事では、通関士試験の関税法等の配点と範囲を確かめたうえで、範囲を絞り込む順番と、毎日の回し方を紹介します。
関税法等はどんな科目?まず配点と範囲を確かめる
関税法等は試験時間100分・満点60点で、3科目の中でいちばん配点が大きい科目です。範囲は広いですが、選択式49点・択一式11点という形を知っておくと、何をどう覚えるかが決まってきます。
正式な科目名はとても長く、「関税法、関税定率法その他関税に関する法律及び外国為替及び外国貿易法(同法第6章に係る部分に限る)」です。
第60回(令和8年)の受験案内で、中身を表にしておきますね。
| 項目 | 第60回(令和8年)の内容 |
|---|---|
| 試験時間 | 11:00から12:40(100分)。2科目め |
| 選択式 | 17問・49点 |
| 択一式 | 11問・11点 |
| 満点 | 60点 |
| 出題範囲 | 令和8年7月1日現在で施行されている法律・政令・省令・告示・通達 |
| 範囲外 | TIR条約・経済連携協定などの条約等 |
出典は税関の第60回通関士試験の受験案内PDFです。
「その他関税に関する法律」には、関税暫定措置法、コンテナー通関条約・TIR条約の実施に伴う特例法、ATA条約の実施に伴う特例法、NACCS法などが入ります。認定通関業者に係る出題も含まれます。
合格基準は回によって違う
合格基準は事前には公表されず、合格発表の時に公表されます。
公表された基準を見ると、関税法等は第59回と第57回が満点の60%以上、第58回は55%以上でした。
基準は回ごとに変わります。関税法等は配点が大きいぶん、ここで基準を下回ると取り返しにくい科目です。「60%を少し上回る点」を目標にしておくと安心ですよ。
3科目の形式をまとめて見たい方は、通関士試験の内容|3科目の出題形式と配点もあわせて読んでみてください。
関税法の勉強法でつまずく3つの理由
関税法等の勉強が進まない時は、たいてい原因がはっきりしています。
『毎日テキストを読んでいるのに、ぜんぜん頭に残らない』という声もよく聞きますよね。実は、読み方の順番に原因があることが多いんです。
| つまずき | よくある状態 | 直し方 |
|---|---|---|
| 法律ごとに読む | 関税法を最初から読み、定率法に入る頃には最初を忘れている | 貨物が動く順番に並べ替えて、法律をまたいで読む |
| 全部を同じ重さで覚える | 細かい特例から覚えようとして、基本の手続があいまい | 輸出・輸入の基本を先に固め、特例は後回しにする |
| 過去問に手をつけるのが遅い | テキストを2周してから過去問に入ろうとしている | 1テーマ読んだら、そのテーマの過去問をすぐ解く |
どれか1つでも当てはまったら、次の「学習地図」で順番を組み直してみましょう。
関税法の条文を第1条から順に読み進め、保税地域や罰則の細かいところで止まってしまうケースです。最初の1か月がそれで終わると、関税定率法や通関実務の計算に回す時間がなくなってしまいます。
法律を「貨物の流れ」に並べ替えた学習地図
ここが大事なところです。
関税法等は、複数の法律が1つの科目にまとまっています。ただ、試験で問われるのは「貨物を輸出・輸入する時に、どんな決まりがあるか」です。
そこで通関ドットコム編集部では、法律の区切りではなく、貨物が動く順番で5つの段階に並べ替えた学習地図を作りました。

| 順番 | 段階 | 中心になる法律 | 押さえる中身 |
|---|---|---|---|
| 1 | 輸出 | 関税法 | 輸出の申告と許可、保税地域への搬入との関係 |
| 2 | 輸入 | 関税法 | 輸入(納税)申告、検査、税金の納付、輸入の許可 |
| 3 | 保税 | 関税法 | 保税地域の種類と役割、外国貨物のまま運ぶ保税運送 |
| 4 | 納税 | 関税法・関税定率法 | 課税価格の決め方、税率、申告納税、為替の換算 |
| 5 | 特例 | 関税暫定措置法・各特例法・NACCS法・外為法 | 暫定的な税率や減免、コンテナーやATAの特例、電子申告 |
『外為法はどこに入れればいいの?』と迷う方もいますよね。科目に入るのは外為法の第6章に係る部分だけなので、この地図では特例の段階でまとめて扱います。
段階1と2:輸出と輸入の基本
最初は、貨物を出し入れする基本の手続です。
関税法第67条は、輸出入しようとする者は品名・数量・価格などを税関長に申告し、必要な検査を経て許可を受けなければならない、と定めています。
輸入では、申告、検査、税金の納付、許可という順番で進みます(カスタムスアンサー1101)。
- 「輸入」「輸出」「外国貨物」「内国貨物」の定義(関税法第2条)
- 輸出入の申告と許可の決まり(第67条)
- 輸入申告は原則として保税地域に入れた後にすること
- 輸出の許可は原則として保税地域に搬入した後に行われること
定義の条文は、そのあとの全部の段階の土台になります。最初に「外国貨物とは何か」を自分の言葉で説明できるようにしておきましょう。
段階3:保税
次は、許可を受ける前の外国貨物を置いたり運んだりする決まりです。
関税法第30条第1項は「外国貨物は、保税地域以外の場所に置くことができない。」と定めています。保税地域には、指定保税地域・保税蔵置場・保税工場・保税展示場・総合保税地域の5種類があります(カスタムスアンサー9203)。
| 保税地域 | 主な役割 | 誰が決めるか |
|---|---|---|
| 指定保税地域 | 積卸、運搬、一時蔵置 | 財務大臣が指定 |
| 保税蔵置場 | 積卸、運搬、長期蔵置 | 税関長が許可 |
| 保税工場 | 外国貨物を原料とする加工・製造 | 税関長が許可 |
| 保税展示場 | 外国貨物の展示・使用 | 税関長が許可 |
| 総合保税地域 | 積卸から加工・展示まで | 税関長が許可 |
5つの違いは選択式でよく問われるところです。表を自分で書き写して、「何ができるか」「誰が決めるか」を声に出して確かめてみてください。
段階4:納税
4つ目は、関税をいくらにするかの決まりです。ここから関税定率法が中心になります。
関税は、原則として輸入申告の時の貨物の価格または数量を課税標準とします。課税価格は、実際に支払う価格に、輸入港に着くまでの運賃・保険料などを加えて計算するのが原則です(カスタムスアンサー1403)。
この段階は、通関実務の計算問題とそのままつながっています。関税法等で「なぜ足すのか」を覚え、実務で「どう計算するか」を練習する、という分け方がおすすめです。
段階5:特例
最後が、関税暫定措置法や各特例法、NACCS法、外為法の部分です。
ここは細かい決まりが多く、最初から深追いすると時間が溶けてしまいます。段階1から4を一通り回してから、過去問で出ているところを中心に読むくらいでちょうどいいんです。
第60回の受験案内では、関税法等の科目に認定通関業者に係る出題を含むとされています。AEO制度の全体像はAEO制度とは?通関手続が簡単になる認定の種類と条件で紹介しています。
範囲を絞り込む順番と毎日の回し方
学習地図ができたら、次は「何から手をつけて、どこまでやるか」です。
絞り込みの3ステップ

『範囲が広すぎて、どこまでやればいいか分からない』という方も多いはずです。結論から言うと、過去問に出ているところから広げていくのがいちばん確実です。
- 学習地図の段階1と2をテキストで読み、そのテーマの過去問を解く
- 間違えた問題の条文に線を引き、段階ごとのノートに書き写す
- 段階3と4も同じように回し、2周目で段階5の特例に入る
- 過去問で何度も出ているテーマに印をつけ、そこを3周目で重点的に読む
- 過去問に出ていない細かい特例は、最後に時間が残った分だけ読む
『全部を覚えないと不安』という気持ちは自然です。ただ、選択式と択一式を100分で解く試験なので、細かい特例を1つ覚えるより、基本の手続で取りこぼさない方が点につながります。
例えば、段階2の輸入の過去問で、こんな問われ方をしたとします。
「輸入申告は、原則としてどの時点で行う?」「貨物を保税地域に入れた後」
この1問を間違えたら、条文(関税法第67条の2第3項)に戻り、例外の本船扱いや搬入前申告の承認もあわせてノートに書いておきます。1問から原則と例外を一緒に拾うのが、範囲を絞りながら広げるコツです。
過去の試験問題は、税関ホームページの各回のページで確認できます(第59回の試験のページ)。合格発表の後には、正答と配点も公表されます。
過去問の集め方は通関士試験の過去問の使い方|年度ごとの問題と正答の確認方法で詳しく紹介しています。
選択式と択一式で覚え方を変える
関税法等は、選択式が49点、択一式が11点です。同じ科目でも、2つの形式で覚え方を少し変えると点が安定します。
- 条文の語句をそのまま覚える
- 「誰が・何を・いつまでに」をセットにする
- 空欄にした条文を何度も解く
- 原則と例外を並べて覚える
- 数字や期間の違いを表にする
- 似た制度の違いを1行で言えるようにする
選択式の「五肢から正しいものを複数選ぶ」形式は、1つあいまいな知識があるだけで点を落としやすいんです。だからこそ、原則と例外の区別が大事になります。
1週間の回し方の例
働きながら勉強している人向けに、1週間で1つの段階を回す例を挙げておきます。
| 日の目安 | やること | かける時間の目安 |
|---|---|---|
| 1日目 | テキストでその段階を通して読む | 長め |
| 2日目 | その段階の過去問を解く | 長め |
| 3日目 | 間違えた条文に線を引き、ノートに書く | 短め |
| 4日目 | 条文の語句を空欄にして解き直す | 短め |
| 5日目 | 前の段階のノートを見返す | 短め |
| 週末 | その段階の過去問をもう一度解く | 長め |
1週間で終わらなければ、2週間に延ばしてかまいません。大事なのは、5つの段階を一度でいいので最後まで通すことです。
通関実務とつなげて覚えると楽になる
関税法等は、通関実務の科目と中身がつながっています。
実は、関税法等の「納税」の段階をしっかり読んでおくと、通関実務の課税価格の問題がずっと解きやすくなるんです。
| 関税法等で覚えること | 通関実務でどう出るか |
|---|---|
| 課税価格に加える費用(運賃・保険料など) | 申告書問題や計算問題で、どの費用を足すかを判断する |
| 外国通貨で書かれた価格の換算の決まり | 仕入書の価格を円に直す計算 |
| 簡易税率や少額の免税の決まり | 少額の貨物の扱いを問う問題 |
| 輸入申告書の申告事項 | 申告書の欄に何を書くか |
為替の換算に使う相場は、輸入申告の日の属する週の前々週の実勢相場の平均値をもとに、税関長が毎週公示するものです(カスタムスアンサー1406)。こうした決まりは、関税法等で読んでおくと、実務の問題文がすっと入ってきます。
関税法等の段階4(納税)を読んだら、通関実務の計算問題を1問解いてみる。この往復を続けると、2科目の知識がお互いを支えてくれます。
通関実務の解き方は、通関実務の勉強法|申告書問題と計算問題の解き方で手順を紹介しています。
通関業法とはどちらが先?
3科目のうち、通関業法は通関業者と通関士のルールが中心で、関税法等とは中身が分かれています。
どちらを先にしても大きな問題はありません。ただ、配点の大きい関税法等と通関実務に早めに時間を使い、通関業法は並行して少しずつ進めるやり方もあります。
通関の手続そのものの全体像をつかみたい方は、通関とは?輸出入で税関の許可を受けるまでの流れを先に読んでおくと、学習地図がイメージしやすくなります。
通関業法の進め方は通関業法の勉強法|出題範囲と得点を安定させるコツにまとめています。
独学で進めるか、講座を使うか
関税法等は、法律の文章が多く、範囲も広い科目です。
それでも、学習地図で順番を決め、過去問と条文を往復できれば、独学で進めることは十分できます。市販のテキストと問題集、税関ホームページの過去問がそろえば、勉強の材料は手に入ります。
一方で、こんな場面では講座が助けになることもあります。
- 範囲が広くて、どこを重点的に読むか自分で決めにくい
- 出題範囲の基準日(試験の年の7月1日)に合わせた法改正の情報を追うのが大変
- 通関実務の計算問題や申告書問題の解説もまとめてほしい
- 分からない条文の意味を質問できる相手がいない
- 仕事が忙しく、使える勉強時間が限られている
独学で進めるか迷っている方は、通関士は独学で合格できる?独学の進め方と講座を使うと楽な人で両方の進め方を比べています。
勉強の進め方に迷ったら、講座の資料を取り寄せて、関税法等の範囲をどう絞っているかを比べてみるのも一つの方法です。選び方は通関士の講座・スクールの選び方にまとめています。
通関ドットコム
通関士を目指すなら、講座を比べてみませんか
実務の申告書問題や計算問題の解説、法改正への対応など、独学では用意しにくい部分だけでも講座を使うと準備が進めやすくなります。学び方の比べ方と、資料請求で講座を選ぶ時のチェックポイントをまとめました。
講座の選び方通関士の講座の選び方を見る当サイト内の解説ページに移動します。講座の内容・料金・受講期間は各講座の公式案内でご確認ください。
よくある相談:関税法の勉強の悩みに答えます
Q&Aサイトで読まれている相談の中から、関税法の勉強法に関わるものを要約して答えます。
関税法は、ひたすら暗記するしかないの?
『関税法の勉強は、やっぱりひたすら暗記なんでしょうか』という相談がよく読まれています。
選択式の配点が大きいので、条文の語句を覚える作業は避けられません。ただ、ばらばらに覚えるより、学習地図の「どの段階の話か」を意識した方が、ずっと頭に残りやすくなります。
例えば「保税蔵置場」なら、こんなふうに自分に聞いてみてください。
「これはどの段階の話?」「保税の段階。外国貨物を長く置ける場所」
この一言が言えるだけで、似た言葉の問題で迷いにくくなります。
勉強を始めたばかり。何から手をつければいい?
『通関士を目指して勉強を始めたばかりで、関税法の勉強法が分からない』という質問もあります。
最初の1週間は、関税法第2条の定義と、輸入の流れ(申告、検査、納付、許可)だけで十分です。
そのうえで、学習地図の段階1と2の過去問を1回分だけ解いてみてください。正解できなくてかまいません。「こういう聞かれ方をするんだ」と分かれば、テキストの読み方が変わってきます。
通関実務を先に勉強してもいい?
『通関実務を早めに始めたい。関税定率法だけ先にやれば、実務に入っても大丈夫?』という相談もあります。
課税価格や税率の決まりは関税定率法が中心なので、先に読んでおけば実務の計算問題は入りやすくなります。
ただ、実務の問題には輸入申告や保税の知識も出てきます。定率法だけで止めずに、関税法の段階1から3も並行して読んでおくと安心です。
関税法等は、法律の区切りではなく貨物の流れで覚えると、暗記の量が同じでも点が安定します。通関実務とも往復しながら、過去問で範囲を絞っていきましょう。
よくある質問
関税法等の配点は何点ですか?
第60回では満点60点で、選択式17問49点と択一式11問11点です。試験時間は100分で、3科目の中でいちばん配点が大きい科目です。
関税法等の出題範囲に条約は入りますか?
第60回の受験案内では、通関業法と関税法等の科目では、TIR条約や経済連携協定などの条約等は出題範囲外とされています。
外為法はどこまで勉強すればいいですか?
科目に入るのは、外国為替及び外国貿易法の第6章に係る部分だけです。範囲はテキストと受験案内で確かめ、過去問で出ているところから読んでいくと効率的です。
古いテキストで関税法を勉強しても大丈夫ですか?
出題範囲は試験の年の7月1日現在で施行されている法令です。古いテキストを使う場合は、改正があった部分を法令や税関の案内で確かめてください。
関税法の条文はどこで読めますか?
e-Govの法令検索で関税法の全文を読めます。手続の説明は税関のカスタムスアンサーも参考になります。
まとめ
- 関税法等は100分・60点で、3科目の中で配点がいちばん大きい
- 法律ごとではなく、輸出・輸入・保税・納税・特例の順に並べ替えて学ぶ
- 1つの段階を読んだら、すぐにその段階の過去問を解く
- 選択式は条文の語句、択一式は原則と例外の区別で点を取る
- 納税の段階は通関実務の計算問題とつなげて覚える





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