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取引先から「うちはAEOの認定を受けています」と言われて、何がどう違うのか分からず調べている方もいるはずです。
結論から言うと、AEOは、税関が「この事業者は貨物の管理と法令遵守の体制がしっかりしている」と認めた相手に、通関手続を簡単にする特例を用意する制度です。
この記事では、AEO通関の6つの種類と、それぞれで何が簡単になるのかを一覧表で見ていきます。
AEO制度とは?税関が認めた事業者の手続を簡単にする仕組み
AEO制度は「貨物のセキュリティ管理と法令遵守(コンプライアンス)の体制が整備された事業者」を税関が承認・認定し、税関手続の緩和・簡素化策を提供する制度です。認定を受けた事業者は、保税地域に貨物を入れずに輸出の許可を受けられるなどの特例を使えます。
AEOは、英語のAuthorized Economic Operatorの頭文字です。
日本語では「認定事業者」くらいの意味で使われています。
税関のAEO制度のページでは、国際的な流れも紹介されています。
世界税関機構(WCO)で2005年に「基準の枠組み」が採択され、日本は2006年3月に輸出者を対象にAEO制度を導入しました。
なぜ手続を簡単にしてもらえるの?
『税関がわざわざ手続を軽くするなんて、何か裏があるの?』と感じる方もいますよね。
実は、税関の目標には「適正かつ公平な関税等の徴収」「安全・安心な社会の実現」「貿易の円滑化」の3つがあります(税関の役割)。
体制が整った事業者の手続を軽くすれば、その分、税関は注意が必要な貨物に目を向けられます。
貿易を速く進めることと、安全を守ることを両立させる工夫なんです。
「承認」と「認定」の言葉の違い
AEOの説明では「承認」と「認定」の両方が出てきます。
税関のページでも「税関が承認・認定し」と書かれていて、種類によって呼び方が分かれています。
特定輸出者や特例輸入者は「承認」、認定通関業者や認定製造者は名前のとおり「認定」と呼ばれます。どちらも税関が審査して認めるもので、受けられる特例の中身は種類ごとに違います。
AEOの6つの種類と、それぞれで簡単になる通関手続
ここが大事なところです。
AEOは1つの資格ではなく、貿易のどの立場の事業者かによって6つに分かれています。
通関ドットコム編集部で、種類ごとに「誰が」「何を簡単にできるか」を1枚の表にしました。
| 種類(通称) | 対象になる事業者 | 主な特例 | 税関の案内 |
|---|---|---|---|
| 特定輸出者(AEO輸出者) | 輸出をする事業者 | 保税地域等に貨物を入れずに輸出申告をして、輸出の許可を受けられる | 5601 |
| 特例輸入者(AEO輸入者) | 輸入をする事業者 | 輸入申告と納税申告を分けて、納税申告の前に貨物を引き取れる。納期限の延長もある | 1901 |
| 特定保税承認者(AEO保税承認者) | 倉庫など保税地域を運営する事業者 | 届出で保税蔵置場などとして使える。許可手数料が無料で、許可期間が6年から8年になる | 9205 |
| 認定通関業者(AEO通関業者) | 通関業者 | 特例委託輸入申告、特定委託輸出申告、申告官署の自由化が使える | 9106 |
| 特定保税運送者(AEO保税運送者) | 外国貨物を運ぶ運送事業者 | 保税運送について、1回ごとの承認が要らない | 9206 |
| 認定製造者(AEO製造者) | 物をつくる製造者 | 製造した貨物を別の輸出者が輸出する時、保税地域に入れずに輸出の許可を受けられる | AEO制度 |
表を見ると、特例の多くが「保税地域」と「1回ごとの手続」に関わっていると分かりますよね。
保税地域そのものの仕組みは保税と通関|保税地域・保税倉庫で何ができるのかで詳しく見ています。

輸出の場面で使われる特例
輸出では、原則として貨物を保税地域に入れてから輸出の許可を受けます(カスタムスアンサー5001)。
特定輸出者は、この「保税地域に入れる」手順を飛ばして輸出の許可を受けられます。
認定製造者は、自分が製造した貨物を別の会社が輸出する時に、同じように保税地域に入れずに許可を受けられる仕組みです。
認定通関業者に頼む特定委託輸出申告も、輸出側の特例の一つです。
普段の輸出通関の流れは輸出通関の流れと比べると違いがよく分かります。
輸入の場面で使われる特例
輸入では、税金を納めたことを税関が確かめてから許可が出るのが原則です(カスタムスアンサー1101)。
特例輸入者は、輸入申告と納税申告を分けられるので、納税申告の前に貨物を引き取れます。
さらに、輸出入申告官署の自由化を使った輸入申告もできると案内されています。
認定通関業者に頼む特例委託輸入申告も、輸入側の特例です。
通常の輸入の手順は輸入通関の流れにまとめています。
倉庫と運送の場面で使われる特例
倉庫や運送の事業者向けのAEOもあります。
特定保税承認者は、届出で保税蔵置場などとして使えるうえ、許可手数料が無料で、許可期間も6年から8年に延びます。
特定保税運送者は、外国貨物のまま運ぶ保税運送で、1回ごとの承認が要りません。
自社はどの種類に当たる?
『6種類もあると、うちがどれを見ればいいのか分からない』という声もありそうです。
まずは、自社が貿易の流れの中でどの役割を担っているかから考えてみてください。
| 自社の立場 | まず見る種類 | 考えるきっかけになる場面 |
|---|---|---|
| 自社の商品を海外へ出している | 特定輸出者 | 輸出の許可を待つ時間を短くしたい |
| 海外から原料や商品を仕入れている | 特例輸入者 | 納税の手続を待たずに貨物を動かしたい |
| 自社工場の製品を商社などが輸出している | 認定製造者 | 輸出は別会社だが、製造の段階から管理している |
| 保税の倉庫を運営している | 特定保税承認者 | 新しい置き場所を増やす手続を軽くしたい |
| 外国貨物の運送を引き受けている | 特定保税運送者 | 運送のたびの承認を減らしたい |
| 他社の通関を請け負っている | 認定通関業者 | 荷主に特例を使ってもらいたい |
1つの会社が、複数の種類に当てはまることもあります。
その場合は、いちばん手続の負担が大きい場面から順に、税関の案内を読み比べてみると分かりやすくなります。

税関が公表している事業者数
AEOの事業者数は、税関のAEO制度のページで公表されています。
| 種類 | 事業者数(2026/9/2現在) |
|---|---|
| 輸出者 | 226者 |
| 輸入者 | 106者 |
| 保税承認者 | 150者 |
| 通関業者 | 265者 |
| 保税運送者 | 10者 |
| 2制度認定者 | 156者 |
| 3制度認定者 | 7者 |
ページ上の事業者数の合計は「757者(2026/9/2現在)」と表示されています。
2制度認定者・3制度認定者は、1つの事業者が複数の種類の承認や認定を受けている数です。最新の数は、税関のAEO制度のページで確かめてみてください。
AEOの認定を受ける条件は?事前に考えておきたいこと
『うちの会社でもAEOを取れるの?』と気になった方もいるはずです。
結論から言うと、中心になる条件は「貨物のセキュリティ管理と法令遵守の体制が整っていること」です。
認定通関業者を例にとると、関税法第79条第1項は「通関業務その他の輸出及び輸入に関する業務を適正かつ確実に遂行することができるものと認められる旨の税関長の認定を受けることができる」と決めています。つまり、手続を正しく続けられる会社かどうかが見られます。
条文はe-Govの関税法で読めます。
細かい要件や申請の書類は種類ごとに違います。
申請を考える時は、税関のAEO制度のページで自社に当てはまる種類の案内を開いてみてください。
社内で話し合っておきたい問い
具体的な要件は税関の案内で確かめるとして、その前に社内で話し合っておくと話が早くなる問いがあります。
これは編集部が「体制が整っている」とはどういうことかを考えるために作った問いで、税関の審査項目そのものではありません。
- 輸出入の申告内容を、誰がどの手順で確かめているか説明できるか
- 貨物を受け取ってから送り出すまで、どこに置いて誰が管理しているか分かるか
- 法令や手続が変わった時に、社内へ伝える流れがあるか
- 申告の間違いが見つかった時に、誰がどう対応するか決まっているか
- 取引先の通関業者や運送事業者と、管理の決まりを共有しているか
こうした問いに答えられない部分があれば、まずはそこを整えるところから始まります。
認定を受けた後も確認は続く
AEOは、一度認定を受けたら終わりではありません。
例えば、認定通関業者が特定委託輸出申告を使う場合、少なくとも半年に1度、貨物の管理体制の現地調査をすると案内されています(カスタムスアンサー5604)。
「認定さえ取れば、あとはずっと手続が楽になる」と考えがちです。実際には、体制を保ち続けることが前提の制度です。社内の担当者が替わった時に、手順が引き継がれているかを見直しておきましょう。
AEO通関業者に頼むと、荷主にとって何が変わる?
自社でAEOを取らなくても、認定通関業者に通関を頼むことで使える特例があります。
ここでは、荷主の立場から見た違いを見てみます。
| 場面 | 一般の通関業者に頼む場合 | 認定通関業者に頼む場合 |
|---|---|---|
| 輸出 | 原則どおり、保税地域に入れてから輸出の許可 | 特定委託輸出申告が使える |
| 輸入 | 原則どおり、納税を確かめてから輸入の許可 | 特例委託輸入申告が使える |
| 申告する税関 | 原則として貨物を置く場所を管轄する税関 | 申告官署の自由化が使える |
どの特例が自社の貨物に使えるかは、取引の形や貨物によって変わります。
依頼先を探す段階で、通関業者に「認定通関業者の特例を使える取引かどうか」を聞いてみてください。
例えばこんな聞き方です。
「毎月同じ品目を輸出していますが、特定委託輸出申告は使えますか?」
「使えるかどうかは貨物の管理の流れ次第なので、一度、倉庫からの流れを教えてください」
通関業者の役割や選び方は通関業者とは?でまとめています。
- 輸出入の特例が使えることがある
- 申告する税関を選べる場合がある
- 自社でAEOを取らなくても特例を使える道がある
- 取引の形によっては特例が使えない
- 貨物の管理の流れを説明する必要がある
- 特例を使うかは通関業者との相談で決まる
似た言葉と間違えやすいポイント
AEOのまわりには、名前の似た制度がいくつもあります。
通関の仕事を始めたばかりの方や、通関士試験の勉強をしている方がつまずきやすいところです。
| 言葉 | どの制度の言葉か | 意味のポイント |
|---|---|---|
| 特定輸出者 | AEO | 保税地域に入れずに輸出の許可を受けられる輸出者 |
| 特例輸入者 | AEO | 輸入申告と納税申告を分けられる輸入者 |
| 認定通関業者 | AEO | 税関長の認定を受けた通関業者 |
| 認定輸出者 | EPA(経済連携協定) | 原産地申告を作る輸出者。AEOではない |
| 通関業の許可 | 通関業法 | 他人の依頼で通関手続をする事業に必要な財務大臣の許可 |
特に「認定輸出者」はAEOと混同しやすい言葉です。
EPAの原産地の手続はEPAと通関で説明しています。
輸出は「特定」、輸入は「特例」と頭の字が違います。認定輸出者はEPAの言葉なので、AEOの表とは分けて覚えておきましょう。
よくある相談|AEOで迷った時
AEOについては、貿易の仕事をしている方や、通関業者に勤めている方からの相談が多く見られます。
よくある3つを取り上げます。
相談1:AEOって本当にメリットがあるの?
『手間をかけて認定を取っても、得することはあるの?』という相談です。
メリットは、この記事の一覧表にある手続の特例です。
保税地域に入れずに輸出の許可を受けられる、納税申告の前に貨物を引き取れるなど、貨物を早く動かしたい場面で効いてきます。
一方で、体制を整えて保ち続ける手間もあります。
毎月の輸出入の量や、急ぎの貨物がどれくらいあるかを考えて、自社に合うかを判断してみてください。
相談2:通関業者に何年か勤めても、AEOがよく分からない
『認定通関業者の特例を、実は説明できない』という悩みもよく見かけます。
実は、これは珍しいことではありません。
会社が使っている特例が一部だけだと、ほかの種類に触れる機会がないからです。
まずは一覧表の6種類を眺めて、自分の会社がどれに当たるか、どの特例を実際に使っているかを確かめてみてください。
相談3:認定通関業者と、通関業の許可は何が違う?
この2つは、根拠も認める人も違います。
通関業は、他人の依頼を受けて通関手続を代わりに行う事業で、財務大臣の許可が要ります(カスタムスアンサー9103)。
認定通関業者は、許可を受けた通関業者が、さらに申請して税関長の認定を受けたものです(カスタムスアンサー9106)。
- 財務大臣の許可を受けて、通関業を始める
- 通関業務を適正に続けられる体制を整える
- 税関長に申請して、認定を受ける
- 認定通関業者として、特例委託輸入申告などの特例を扱う

通関の仕事に興味がある方へ
AEOの特例を使いこなすには、関税法や通関業法の知識が欠かせません。
通関士試験の出題範囲にも、認定通関業者に関する問題が含まれています。
通関の知識を仕事にしたい人には、国家資格の通関士という道もあります。
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よくある質問
AEO通関とは何ですか?
AEO制度で税関の承認や認定を受けた事業者が使える、簡単になった通関手続のことを指してよく使われる言葉です。保税地域に入れずに輸出の許可を受けられる特例などがあります。
AEOにはいくつの種類がありますか?
特定輸出者、特例輸入者、特定保税承認者、認定通関業者、特定保税運送者、認定製造者の6種類です。どの立場の事業者かによって、使える特例が違います。
自社でAEOを取らないと特例は使えませんか?
認定通関業者に通関を頼むと、特定委託輸出申告や特例委託輸入申告などを使える場合があります。使えるかは取引の形や貨物によるので、通関業者に相談してみてください。
AEOの事業者はどれくらいありますか?
税関のAEO制度のページでは「757者(2026/9/2現在)」と表示されています。種類ごとの内訳も同じページで確かめられます。
認定輸出者はAEOの一つですか?
いいえ、認定輸出者はEPAの原産地の手続で使われる言葉で、AEOではありません。名前が似ているので混同しやすいところです。
まとめ
- AEO制度は、体制が整った事業者を税関が承認・認定し、手続を簡単にする制度
- 輸出者、輸入者、保税承認者、通関業者、保税運送者、製造者の6種類がある
- 保税地域に入れずに輸出の許可を受ける、納税申告の前に引き取るなどの特例がある
- 認定後も体制を保ち続けることが前提
- 認定通関業者に頼めば、荷主が特例を使える道もある





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