通関士の勉強法|3科目をどの順番で進めるか

通関士の勉強法と3科目を進める順番を扱う記事のアイキャッチ

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『通関士の勉強を始めたいけど、3科目のどこから手をつければいいの?』と迷っている方も多いはずです。

結論から言うと、通関士の勉強法で大事なのは科目の順番です。この記事では、通関業法から関税法等、通関実務へと進める流れをおすすめしています。

あわせて、3科目をまたいで同じ論点をまとめる「横断ノート」の作り方も紹介します。

目次

通関士の勉強法は「順番」で決まる

先に結論

通関業法で通関の仕組みをつかみ、関税法等で輸出入の手続と税の知識を固め、最後に通関実務で計算と申告書に当てはめる。この順番で進めると、前の科目の知識が次の科目の土台になります。

通関士試験は3科目すべてで合格基準を満たす必要があります。

だからこそ、どれか1科目に偏らず、順番を決めて一巡させることが大事なんです。

まずは、3科目の中身を確かめておきましょう。

科目時間(第60回)出題の形と配点
通関業法50分選択式41点(13問)+択一式4点(4問)=45点
関税法、関税定率法その他関税に関する法律及び外国為替及び外国貿易法100分選択式49点(17問)+択一式11点(11問)=60点
通関書類の作成要領その他通関手続の実務100分申告書20点(2問)、選択式10点、択一式3点、計算式12点=45点

出典は第60回の受験案内です。

各科目ともマークシート方式です。「選択式」は、空欄に当てはまる語句を選ぶ形か、五肢から正しいものや誤っているものを複数選ぶ形を指します。

合格基準も科目ごとに見る

合格基準は事前には公表されず、合格発表の時に公表されます。

第59回は3科目とも満点の60%以上、第58回は関税法等だけ55%以上でした。

1科目でも基準に届かないと合格できないので、苦手科目を残さない勉強法が向いているんです。

業法から関税法等、実務の順で進める理由

ここが、この記事で一番伝えたいところです。

順番には、ちゃんと理由があります。

通関業法から関税法等、通関実務へと3科目を進める順番と、それぞれの役割を示した図解

1. 通関業法で「誰が何をする仕事か」をつかむ

通関業法は、通関業や通関士の仕組みを定めた法律です。

通関業者の許可や、営業所ごとに通関士を置くこと、通関士が書類を審査して記名することなどが出てきます。

ここを先に読むと『通関士ってこういう立場なんだ』という全体の地図ができます。

試験でも最初の科目で、時間は50分です。最初に一巡させて、勉強のリズムを作るのに向いています。

2. 関税法等で手続と税の知識を固める

関税法等は、輸出入の申告、保税地域、課税価格、関税の減免などを扱う科目です。

出題範囲には、関税法や関税定率法のほか、関税暫定措置法、外国為替及び外国貿易法(第6章に係る部分)、NACCS法なども含まれます。

範囲が広いので、時間をいちばん多く使う科目になりやすいですよね。

ただ、ここで覚えた知識が、そのまま通関実務の土台になります。

3. 通関実務で知識を使えるようにする

通関実務は、申告書の問題と計算問題が中心になる科目です。

輸出申告と輸入申告を各1問、NACCSを使って行う申告の形で出題されます。

課税価格や申告の仕組みが分かっていないと、手順だけ覚えても応用がききません。

だから、関税法等をひと通り終えてから入ると、理解がぐっと早くなるんです。

3科目を一巡させる流れ
  1. 通関業法をテキストで読み、問題集で確かめる
  2. 関税法等を、輸出・輸入・保税・課税価格など分野ごとに進める
  3. 通関実務の計算問題を、関税法等で習った言葉と結びつけながら解く
  4. 申告書の問題を、時間を計って解く
  5. 3科目を一巡したら、過去問で弱い分野を探す

1週間の中で科目をどう混ぜる?

『1科目ずつ順番に、ということは、他の科目は全然やらないの?』と思った方もいるかもしれません。

基本は1科目ずつですが、前の科目を忘れないように、週の中で少しだけ混ぜておくと安心です。

進み具合メインで進める科目週に少し混ぜる科目
序盤通関業法なし(まず一巡させる)
中盤関税法等通関業法の問題集を少し
中盤の後半関税法等通関実務の計算問題を少し
終盤通関実務関税法等・通関業法の過去問
仕上げ過去問で3科目を通しで横断ノートの見直し

こうしておくと、通関実務に入るころに通関業法をすっかり忘れていた、ということを防げます。

実務の計算だけは早めに触っておく

順番どおりが基本ですが、1つだけ例外があります。

通関実務の計算問題は、慣れるまで時間がかかるので、関税法等の途中からでも少しずつ触っておくと安心です。

『実務は最後でいいや』と思っていると、直前に計算が間に合わないことも。

よくある失敗

関税法等の暗記に時間を使いすぎて、通関実務の申告書の問題を本番の時間で一度も解かないまま試験を迎えてしまうケースです。遅くとも夏の申込期間のころには、申告書の問題に手をつけておきましょう。

横断ノートで同じ論点をまとめて覚える

通関士試験は、同じテーマが科目をまたいで出てきます。

例えば「輸入申告」は、関税法等では手続のルールとして、通関業法では通関業務の範囲として、通関実務では申告書の作り方として出てきます。

バラバラに覚えるより、1つのページにまとめた方が記憶に残りやすいんです。

「輸入申告って、関税法等でも通関実務でも出てきたよね。」
「同じページにまとめておけば、一度で見返せるね。」

横断ノートは、まさにこの「あれ、前にも見たな」をまとめるためのノートです。

横断ノートの例

通関ドットコム編集部で、横断ノートにしやすいテーマの例をまとめました。

テーマ関税法等で見ること通関業法で見ること通関実務で見ること
輸入申告申告・検査・許可の流れ(関税法第67条)通関手続の代理・代行が通関業務にあたること申告書の書き方、必要な項目
課税価格現実支払価格に運賃等を加える考え方(関税定率法第4条)通関士が書類の内容を審査すること課税価格と税額の計算問題
保税地域保税地域の種類と蔵置期間保税運送申告などの関連業務申告書の蔵置場所の欄
少額貨物課税価格の合計額が1万円以下の免税、20万円以下の簡易税率書類の審査と記名少額の判断基準を使った計算
許可前引取(BP)担保を提供して承認を受ける仕組み(関税法第73条)BP申請も通関手続に含まれること輸入申告の流れの中での位置づけ

少額貨物の金額基準は、税関のカスタムスアンサー1006と1001の内容です。試験で使う時は、受ける年の出題範囲(7月1日現在の法令)で確かめてください。

輸入申告や課税価格などのテーマごとに、3科目で見る点を1ページにまとめる横断ノートの作り方を示した図解

横断ノートの作り方

作り方はシンプルです。

横断ノートを作る手順
  1. ノートの見開きを1テーマに使い、左上にテーマ名を書く
  2. 関税法等で習ったルールを、根拠の条文番号と一緒に書く
  3. 通関業法で同じテーマが出てきたら、同じページに書き足す
  4. 通関実務で解いた問題の番号と、つまずいた点をメモする
  5. 過去問で間違えたら、そのテーマのページに戻って追記する

最初から完璧に作る必要はありません。

1科目目では空欄が多くても、2科目目、3科目目と進むうちに埋まっていきますよ。

『ノート作りに時間をかけすぎるのが怖い』という方は、問題集の余白に科目をまたいだメモを書くだけでも十分です。

横断ノートを見返すタイミング

作ったノートは、見返してこそ役に立ちます。

タイミング見返し方
新しい科目に入る前前の科目で作ったページをざっと読む
過去問を解いたあと間違えたテーマのページだけ開いて追記する
試験の1か月前から全ページを1日数テーマずつ読み返す
試験の前日自分が何度も間違えたテーマだけ見る

科目ごとのコツと過去問での仕上げ

順番が決まったら、科目ごとの勉強のコツも押さえておきましょう。

テキストは「2回目から」覚える

1回目にテキストを読む時は、全部を覚えようとしなくて大丈夫です。

1回目は流れをつかむために読み、2回目から問題集と行き来しながら覚えていきます。

テキストの読み方のコツ
  • 1回目は、分からない言葉があっても止まらずに最後まで読む
  • 2回目は、問題集で間違えた所に印をつけながら読む
  • 条文番号が出てきたら、横断ノートに書き写しておく
  • 図や表がある所は、自分の言葉で1行にまとめ直す

テキストと問題集の選び方は通関士のテキストと六法の選び方で紹介しています。

通関業法は条文の言い回しに慣れる

通関業法は、選択式で空欄に語句を入れる問題が多く出ます。

条文の言い回しをそのまま覚えておくと、迷いにくくなります。

例えば「通関業を営もうとする者は、財務大臣の許可を受けなければならない」のような文は、主語と許可を出す人をセットで覚えておくといいですね。

詳しくは通関業法の勉強法で紹介しています。

関税法等は分野ごとに区切る

関税法等は範囲が広いので、分野ごとに区切って進めるのがおすすめです。

関税法等の分野の区切り方の例
  • 輸出の手続
  • 輸入の手続と申告
  • 保税地域と保税運送
  • 課税価格と関税の計算の考え方
  • 関税の減免と、関税暫定措置法
  • 外国為替及び外国貿易法(第6章に係る部分)

1つの分野を読んだら、その分野の問題を解くところまでをセットにしておきましょう。

範囲を絞る順番は関税法等の勉強法で詳しく紹介しています。

数字と期間は表にまとめて覚える

通関士試験では、期間や年数を問う問題も出ます。

文章の中で1つずつ覚えるより、表にまとめた方が比べながら覚えられますよ。

例えば、保税地域の蔵置期間は次のように整理できます(カスタムスアンサー9203)。

保税地域の種類主な機能蔵置期間
指定保税地域外国貨物の積卸し、運搬、一時蔵置1か月
保税蔵置場積卸し、運搬、長期蔵置2年(延長可能)
保税工場外国貨物を原料とする加工・製造2年(延長可能)
保税展示場外国貨物の展示・使用税関長が指定する期間
総合保税地域積卸し、運搬、長期蔵置、加工・製造、展示2年(延長可能)

科目の一部免除の年数(通算15年以上で2科目、通算5年以上で1科目)のように、試験の仕組みそのものに関わる数字も同じように表にしておくと便利です。

『似た数字ばかりで混ざる』と感じたら、表の形で横に並べてみてください。違いが目に入りやすくなります。

通関実務は手を動かして覚える

通関実務は、読むだけでは点になりにくい科目です。

計算問題も申告書の問題も、時間を計って実際に解くことが大事なんです。

電卓は通関実務の時間だけ使えます。普段の勉強から、本番で使う電卓で練習しておきましょう。

解き方は通関実務の勉強法|申告書問題と計算問題の解き方でまとめています。

過去問と正答で仕上げる

3科目を一巡したら、過去問で仕上げに入ります。

税関ホームページでは、各回の試験問題と、合格発表後に配点と正答が公表されています(例: 第59回の試験ページ、第59回の配点及び正答)。

過去問を使った仕上げ
  1. 1回分を、本番と同じ時間割で解く
  2. 正答で採点し、科目ごとの得点を出す
  3. 間違えた問題を、横断ノートのテーマに振り分ける
  4. 点が低かった科目の分野から、テキストに戻って読み直す
  5. 次の年度の過去問で、同じ分野が取れるか確かめる

過去問の使い方は通関士試験の過去問の使い方で詳しく紹介しています。

解いたあとの振り返りが本番

過去問は、解いて点数を見たら終わり、になりがちですよね。

実は、点数より大事なのは「なぜ間違えたか」を分けておくことなんです。

「また同じ所で間違えた…」
「理由をメモしておけば、次は気づけるかも。」

間違えた理由次にやること
知らなかったテキストのその分野を読み直す
知っていたのに迷った横断ノートに似た論点との違いを書く
読み間違えた問題文の「正しいもの」「誤っているもの」に印をつける習慣をつける
時間が足りなかった時間を計って同じ形の問題をもう一度解く

出題範囲の日付に気をつける

出題範囲は、その年の7月1日現在で施行されている法令です。

古い年度の過去問は、今の法令と答えが違っている可能性があります。

『昔の問題で正解したのに、テキストと違う』と感じた時は、法改正がなかったか確かめてみてください。

独学で不安な部分は講座で補う

ここまで読んで『自分ひとりで進められるかな』と感じた方もいますよね。

独学で進めるか、講座を使うか

独学で十分に進められる人もいます。法律の文章に慣れていて、計画を守れる人なら、テキストと問題集と過去問で進める方法は十分ありです。

一方で、次のような場面では講座が役に立ちます。

講座が助けになりやすい場面
  • 通関実務の計算問題や申告書の問題で、解き方の解説がほしい
  • 法改正の情報を自分で追いかけるのが大変だと感じる
  • 仕事が忙しく、勉強時間が限られている
  • 分からないところを質問できる相手がいない

どちらが合うかの考え方は通関士は独学で合格できる?で比べています。

勉強の進め方に迷ったら、講座の資料を取り寄せて、カリキュラムを比べてみるのも一つの方法です。講座の選び方は通関士の講座・スクールの選び方で紹介しています。

通関ドットコム

通関士を目指すなら、講座を比べてみませんか

実務の申告書問題や計算問題の解説、法改正への対応など、独学では用意しにくい部分だけでも講座を使うと準備が進めやすくなります。学び方の比べ方と、資料請求で講座を選ぶ時のチェックポイントをまとめました。

講座の選び方通関士の講座の選び方を見る

当サイト内の解説ページに移動します。講座の内容・料金・受講期間は各講座の公式案内でご確認ください。

よくある相談:通関士の勉強法の悩みに答えます

通関士の勉強法について、Yahoo!知恵袋でよく読まれている相談を要約して答えていきます。

貿易実務の勉強と通関士の勉強、どう進める?

『貿易実務の講座を受けてから、将来は通関士も取りたい。どう進めるのがいい?』という相談は、とてもよく読まれています。

貿易実務の知識は、インボイスやインコタームズなど、通関の書類を読む時に役立ちます。

ただ、通関士試験は通関業法・関税法等・通関実務の3科目で、出題範囲は法令です。

貿易実務の勉強を土台にしつつ、通関士の勉強は法令の3科目として別に計画を立てておきましょう。

違いは通関士と貿易実務検定の違いでも紹介しています。

合格した人の勉強法を知りたい

『合格した人は、どんな勉強法で受かったの?』という相談もよく見かけます。

回答には、テキストを読む、問題集を繰り返す、過去問を解く、といった進め方がよく出てきます。

人によって細かいやり方は違いますが、共通しているのは「3科目を一巡させて、過去問で弱点を探す」流れです。

この記事の順番と横断ノートは、その流れを迷わず進めるための方法として使ってみてください。

去年落ちた。関税法等と通関実務が足りなかった

『去年受けて、関税法等と通関実務で点が足りなかった。どう勉強し直せばいい?』という相談もありました。

まずは正答で自己採点した結果を見て、どの分野で点を落としたかを書き出すところから始めましょう。

関税法等の知識が通関実務の土台になるので、関税法等の弱い分野を直してから、実務の計算と申告書に戻る順番がおすすめです。

大学生で実務未経験でも、この勉強法で大丈夫?

『大学生で実務の経験がない。予備校や通信教育を使わずに受かるのは可能?』という相談もありました。

通関士試験は、学歴・年齢・経歴などの制限がなく、実務経験がなくても受験できます。

実務を知らない分、最初は保税地域やインボイスといった言葉がイメージしにくいかもしれません。

そんな時は、通関の流れを先に図でつかんでから通関業法に入ると、読みやすくなりますよ。

相談に共通する答え

勉強法で迷ったら、科目の順番と見直しの仕組みを先に決めることです。順番は業法から関税法等、実務へ。見直しは過去問と横断ノートで回していきます。

よくある質問

通関士の勉強はどの科目から始めればいいですか?

通関業法から始めて、関税法等、通関実務の順に進めるのがおすすめです。通関業法で仕組みをつかみ、関税法等の知識を通関実務で使う流れになります。

通関実務は最後に回してもいいですか?

基本は最後で大丈夫ですが、計算問題は慣れるまで時間がかかります。関税法等の途中から、少しずつ触っておくと安心です。

横断ノートは作った方がいいですか?

作らなくても合格を目指せます。ただ、同じテーマが科目をまたいで出るので、問題集の余白にメモするだけでも見直しが楽になります。

過去問の正答はどこで見られますか?

税関ホームページの各回の試験ページで、合格発表後に配点と正答が公表されています。

古い年度の過去問も使えますか?

使えますが、出題範囲はその年の7月1日現在の法令です。法改正で答えが変わっていないか確かめながら使ってください。

まとめ

この記事の要点
  • 通関士の勉強法は、3科目を進める順番が大事
  • 通関業法から関税法等、通関実務の順に進める
  • 通関実務の計算問題だけは早めに触っておく
  • 科目をまたぐテーマは横断ノートで1ページにまとめる
  • 過去問と正答で弱点を探し、ノートに戻って直す
通関ドットコム

通関ドットコム 編集部

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