通関士の仕事内容|1日の流れと通関業者での役割

通関士の仕事内容と1日の流れを扱う記事のアイキャッチ

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『通関士の仕事って、実際は毎日何をしているの?』と気になって調べている方も多いはずです。

結論から言うと、通関士の仕事の中心は、輸出入の申告書類を審査して記名し、税関とのやりとりを受け持つことです。

この記事を読めば、1件の申告の中で通関士がどこを受け持つのかと、営業所での1日のイメージがつかめます。

目次

通関士の仕事とは?ひと言でいうと

先に結論

通関士は、通関業者の中で、税関に出す申告書などの中身を審査し、記名する役割を受け持ちます。通関業法第14条で、通関業者は通関書類などを通関士に審査させ、記名させなければならないとされています。

通関士は、通関業者という会社で働く国家資格の専門職です。

どんな資格かは通関士とは?でくわしく説明しています。

『審査と記名だけ?それなら一日中ハンコを押しているの?』と思いますよね。

実は、そうではないんです。

審査をするには、品目の分類や税率、他法令の確認まで、申告の中身を全部わかっている必要があります。

そのため、通関士の仕事は申告の流れ全体にかかわります。

通関業者が引き受ける仕事の範囲

税関のカスタムスアンサー9105では、通関業者の通関業務として次のものが挙げられています。

業務中身
通関手続の代理・代行輸出入の申告や関税の納付などを荷主に代わって行う
不服申立ての代理税関の処分に不服がある時の手続を代わりに行う
税関への主張・陳述の代行税関の調査などで荷主の立場を説明する
通関書類の作成申告書などの書類を作る
関連業務事前教示の照会、保税運送の申告、本船扱いの申請、他法令の許可・承認の申請など

通関士は、この中の申告書類の審査と記名を軸に、ほかの業務にもかかわっていきます。

通関そのものの流れは通関とは?でまとめています。

どれくらいの人がこの仕事をしている?

『通関の仕事をしている人って、どれくらいいるの?』と気になる方もいますよね。

税関の案内では、次の数字が公表されています。

項目数時点
通関業者988社令和7年4月1日現在
通関業務を行う営業所2,042か所令和7年4月1日現在
通関士8,372人令和8年4月1日現在
通関士以外の通関業務従業者8,573人令和8年4月1日現在

出典はカスタムスアンサー9104と8101です。

通関の仕事は、通関士と、通関士ではない従業者が一緒に進めていることが分かります。

1件の輸入申告で見る通関士の仕事の流れ

ここがこの記事でいちばん伝えたいところです。

通関ドットコム編集部で、1件の輸入申告を5つの工程に分けて、通関士がどこを受け持つかを表にしました。

工程何をするか通関士の関わり
1. 書類の受付荷主からインボイスや包装明細書、船荷証券などを受け取る会社によって分担はさまざま
2. 分類と税率品目が何に当たるか、税率はいくつかを調べる審査の時に見直す前提になる
3. 申告書の作成申告の内容をNACCSに入力して申告書をまとめる会社によって分担はさまざま
4. 審査と記名申告書の中身が正しいかを確かめて記名する通関士が受け持つ(通関業法第14条)
5. 税関とのやりとり審査や検査の連絡に対応し、許可まで見届ける会社によって分担はさまざま
1件の輸入申告を書類の受付・分類と税率・申告書の作成・審査と記名・税関とのやりとりの5工程に分け、通関士が受け持つ工程を示した図解

工程1:書類の受付

荷主からは、仕入書(インボイス)や包装明細書、船荷証券などの書類が届きます(カスタムスアンサー1107)。

ここで書類がそろっているか、品名や数量に食い違いがないかを最初に見ます。

『インボイスの品名があいまいで、何の商品か分からない』ということも珍しくありません。

その場合は、荷主に商品の資料を出してもらうよう連絡します。

受付の時に見ておくこと
  • インボイスと包装明細書の品名・数量が合っているか
  • 運賃や保険料の書類がそろっているか
  • 他法令の許可や届出が要りそうな品目がないか
  • 原産地証明書など、税率に関わる書類があるか

工程2:分類と税率

品目が何に当たるかによって、税率も、他法令の確認が要るかも変わります。

例えば、同じ「カップ」でも、食べ物に触れる物なら食品衛生法の届出が関わることがあります。

他法令の考え方は他法令と通関で説明しています。

工程3:申告書の作成

分類と税率が決まったら、申告の内容をまとめます。

課税価格の計算では、輸入港に着くまでの運賃や保険料などを加えることがあります(カスタムスアンサー1403)。

外国の通貨で書かれた価格は、税関長が毎週公示する為替相場で円に直します(カスタムスアンサー1406)。

申告はNACCSという電子のシステムで行います。

NACCSの業務の一覧では、輸入申告事項の登録(IDA)と輸入申告(IDC)が別の業務として並んでいます。

登録した内容を確かめてから申告する、という順番で進むイメージです。

工程4:審査と記名

ここが通関士の本番です。

作られた申告書の分類、価格、税額、他法令の確認などに誤りがないかを確かめ、記名します。

例えば、こんなやりとりがあります。

「この品目、前回と材料が変わったと聞いていますが、分類はそのままで大丈夫ですか」

「荷主に成分表をもらって、もう一度確かめてから申告しましょう」

審査で確かめるポイントの例
  • インボイスと申告書の品名・数量・価格が合っているか
  • 分類と税率に迷いがないか
  • 運賃や保険料などの加算が抜けていないか
  • 他法令の書類がそろっているか
  • 原産地証明書など、税率に関わる書類があるか

工程5:税関とのやりとり

申告のあと、税関から書類の提出や検査の連絡が来ることがあります。

税関の検査で、税関長が指定した場所で行う場合は、税関に納める手数料はかかりません(カスタムスアンサー1112)。

ただし、貨物を運んだり開けたり詰め直したりする費用は輸入者などの負担です。

許可が下りたら、輸入許可書を保税地域の担当者に見せて、貨物を引き取れるようになります。

通関業者の営業所での1日の一例

『1日のスケジュールはどんな感じ?』というのも気になるところですよね。

扱う貨物や会社によって大きく違いますが、輸入の通関を受け持つ営業所の1日を、一例として流れで並べてみました。

時間帯主な仕事の例
朝前日の申告の状況や、税関からの連絡を確かめる
午前届いた書類を確かめ、分類や税率を調べる
昼前後作成された申告書を審査して記名し、申告する
午後税関からの書類の求めや検査の連絡に対応する
夕方許可の出た貨物を確かめ、荷主に連絡する
通関業者の営業所での1日の仕事を、朝の確認から夕方の荷主への連絡まで時間帯ごとに並べた図解

税関の開庁時間を意識した仕事

税関のカスタムスアンサー9602によると、多くの税関官署の開庁時間は平日の午前8時30分から午後5時15分(または午後5時45分)までです。

成田空港のように、24時間365日を開庁時間としている官署もあります。

開庁時間の外に手続をしたい時は、届出書を出して事務の執行を求めることができます。

そのため、通関の仕事は税関の開庁時間を意識しながら進めることになります。

貨物が着く前に動くこともある

税関のカスタムスアンサー1108によると、予備審査制という仕組みがあります。

貨物が日本に着く前でも、申告書類を税関に出して、審査や検査の扱いを前もって知らせてもらえる制度です。

『到着してから慌てて書類を集める』のを防げるので、段取りのよい営業所ほど、こうした仕組みを上手に使っています。

1日の仕事の中には、「今日着く貨物」と「これから着く貨物」の両方の準備が混ざっているんです。

港と空港で仕事のリズムは変わる

船で届く海上貨物と、飛行機で届く航空貨物では、貨物が届くタイミングや量が違います。どの貨物を多く扱う営業所かで、1日の流れも変わってきます。

輸出の通関や関連業務も仕事のうち

通関士の仕事は、輸入だけではありません。

輸出の通関

輸出の申告は、貨物を保税地域に入れる前でもできますが、輸出の許可は原則として保税地域に入れたあとに出ます(カスタムスアンサー5001)。

船の出港に間に合わせる必要があるので、日程を見ながらの段取りが大切になります。

輸出の申告では、輸出申告書と、仕入書またはそれに代わる書類が基本になります(カスタムスアンサー5009)。

貨物によっては、包装明細書や他法令の許可・承認の書類なども加わります。

『輸入より書類が少ないから楽』と思われがちですが、出港の日程との勝負になるのが輸出の難しさです。

許可前の引取りなどの申請

例えば、価格が決まらないなどの理由で、輸入許可まで時間がかかることがあります。

そんな時は、税関の承認を受けて許可前に貨物を引き取る仕組み(BP)があります(カスタムスアンサー1113)。

こうした申請も、通関の仕事の一部です。

輸入と輸出で通関士が受け持つ流れ
  1. 荷主から書類を受け取り、内容を確かめる
  2. 分類・税率・他法令・価格を確かめる
  3. 申告書を審査して記名する
  4. NACCSで税関に申告する
  5. 税関からの連絡や検査に対応する
  6. 許可を確かめて荷主に連絡する

計算や書類作成の力も問われる

通関士試験の通関実務の科目では、NACCSを使って行う輸出申告と輸入申告の書類作成や、計算の問題が出ます。

試験で学ぶことが、そのまま日々の仕事の土台になっているんです。

実務の科目の勉強法は通関実務の勉強法で説明しています。

試験の科目仕事のどこで使うか
通関業法通関業者や通関士の役割、審査と記名の決まりを守る時
関税法等申告の手続、保税地域、税率や課税価格を考える時
通関実務申告書の作成や税額の計算、分類を確かめる時

試験の勉強がそのまま仕事の道具になる、というのは通関士の大きな特徴です。

通関士の仕事のやりがいと大変なところ

『自分に合う仕事か知りたい』という方のために、やりがいと大変なところを並べてみます。

やりがいを感じやすいところ
  • 法律の知識が、毎日の申告で直接役に立つ
  • 荷物が無事に許可された時に手ごたえがある
  • 国家資格として専門性を示せる
大変に感じやすいところ
  • 細かい確認が続き、集中力が要る
  • 貨物の到着や出港の日程に合わせて急ぐ場面がある
  • 毎年の法改正を追いかける必要がある
入ってから戸惑いやすい点

通関の部署に配属されても、最初から審査を任されるとは限りません。通関士として記名するには、通関業者に勤めて財務大臣の確認を受ける必要があります。最初は書類の受付や作成から覚えていくことも多いです。

働く場所や転職の考え方

通関士として名乗って働けるのは、通関業者で確認を受けた場合です。

ただ、通関の知識そのものは、メーカーや商社の貿易の部署でも役立ちます。

働く場所通関の知識の使い方の例
通関業者申告書の審査と記名、税関とのやりとり
メーカーの貿易の部署通関業者への依頼内容の確認、他法令の準備
商社の貿易の部署取引条件と通関の段取りの調整

求人の探し方やキャリアの広げ方は通関士の転職・求人の探し方で紹介しています。

向いている人の特徴は通関士に向いている人でセルフチェックできます。

独学で進めるか、講座を使うか

通関士を目指すと決めたら、次に迷うのが勉強の進め方です。

独学なら、自分のペースで進められて、教材も自分で選べます。

税関のホームページでは過去の試験問題や正答も確かめられるので、独学で合格を目指す人もいます。

一方で、次のような場面では講座を使うと楽になることがあります。

講座が役立ちやすい場面
  • 通関実務の申告書問題や計算問題を、解説つきで学びたい
  • 法改正の情報を自分で追うのが大変
  • 働きながらで、勉強時間が限られている
  • 分からないところを質問できる相手がいない

独学の進め方は通関士は独学で合格できる?、講座の比べ方は通関士の講座・スクールの選び方で紹介しています。

勉強の進め方に迷ったら、講座の資料を取り寄せて比べてみるのも一つの方法です。

通関ドットコム

通関士を目指すなら、講座を比べてみませんか

実務の申告書問題や計算問題の解説、法改正への対応など、独学では用意しにくい部分だけでも講座を使うと準備が進めやすくなります。学び方の比べ方と、資料請求で講座を選ぶ時のチェックポイントをまとめました。

講座の選び方通関士の講座の選び方を見る

当サイト内の解説ページに移動します。講座の内容・料金・受講期間は各講座の公式案内でご確認ください。

通関士の仕事についてよくある相談

Yahoo!知恵袋などで見かける相談から、仕事内容に関するものを3つ選んで答えます。

通関の部署に配属されたら、イメージと違った

『通関部に配属されたけれど、思っていた仕事とまったく違う』という相談です。

そう感じるのは自然なことです。

通関の仕事は、書類の確認や連絡のやりとりなど、地道な作業の積み重ねが大半を占めます。

まずは1件の申告がどう流れるかを、この記事の工程表のように自分で書き出してみてください。

全体の中で自分がどこを受け持っているかが分かると、仕事の意味が見えやすくなります。

一般事務のような仕事ですか?

『通関士の仕事内容は、一般事務のような感じ?』という相談です。

パソコンに向かって書類を扱う時間が長い点は、事務の仕事と似ています。

ただ、分類や税率、他法令の判断など、法律の知識をもとに決める場面が多いのが通関の仕事の特徴です。

申告書を審査して記名するのは、国家資格を持つ通関士の役割です。

黙々と1人でできる仕事ですか?

『人と話すのが得意ではないけれど、通関の仕事は1人で黙々とできる?』という相談です。

書類を確かめる時間は、1人で集中して取り組むことが多いです。

一方で、荷主に情報を聞いたり、税関の連絡に答えたりと、人とのやりとりも欠かせません。

「確かめたいことを短く聞ける」くらいの会話力があれば、十分に進めていけます。

例えば、荷主にはこんなふうに聞きます。

「インボイスの品名だけでは材料が分からないので、仕様書を送っていただけますか」

こうした短い確認を重ねるのが、通関の仕事の会話のほとんどです。

3つの相談に共通すること

通関士の仕事は、書類に向き合う集中の時間と、荷主や税関に確かめる会話の時間の組み合わせです。どちらか一方だけの仕事ではない、と考えておくとイメージのずれが小さくなります。

よくある質問

通関士の仕事で一番大事なことは何ですか?

申告書などの中身を審査して記名することです。通関業法第14条で、通関業者は通関書類などを通関士に審査させ、記名させなければならないとされています。

通関士は残業が多い仕事ですか?

会社や扱う貨物によって大きく違います。多くの税関官署の開庁時間は平日の日中なので、その時間に合わせて仕事を進めるのが基本です。

通関業者以外でも通関士として働けますか?

通関士として名乗って通関業務に従事するのは、通関業者で財務大臣の確認を受けた場合です。ただ、通関の知識はメーカーや商社の貿易の部署でも役立ちます。

通関士の仕事にパソコンの操作は必要ですか?

申告はNACCSという電子のシステムで行うので、パソコンで書類を扱う場面は多いです。最初は職場で操作を覚えていく人がほとんどです。

未経験でも通関の仕事に就けますか?

通関の部署では、書類の受付や作成から覚えていく人も多いです。通関士試験には受験資格の制限がないので、働きながら資格を目指すこともできます。

まとめ

この記事の要点
  • 通関士の仕事の中心は、申告書などの審査と記名
  • 1件の申告は、受付・分類と税率・作成・審査と記名・税関とのやりとりで進む
  • 1日の仕事は、税関の開庁時間を意識しながら進めることが多い
  • 輸出の通関やBPなどの申請も仕事のうち
  • 通関の知識は、通関業者以外の貿易の部署でも役立つ
通関ドットコム

通関ドットコム 編集部

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