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初めて海外に商品を送ることになって、輸出通関で何を準備すればいいのか迷っている。そんな方は多いですよね。
結論から言うと、輸出通関は貨物の確認・書類・搬入・申告・許可と積込みの5段階で進みます。申告は保税地域に入れる前でもできますが、許可は原則として入れた後、という点が輸入との大きな違いです。
この記事を読むと、輸出通関の手順と、輸入通関とどこが違うのかが表で分かります。
輸出通関とは?日本から外国へ送り出すための手続です
輸出通関は、日本から外国へ送り出す貨物を税関に申告し、必要な審査や検査を受けて、輸出の許可を受けるまでの手続です。許可を受けた貨物が船や飛行機に積まれて、外国へ向かいます。
関税法第2条では、輸出を「内国貨物を外国に向けて送り出すことをいう」と決めています。そして第67条で、輸出しようとする人は品名や数量、価格などを税関長に申告し、許可を受けなければならないとされています。
『輸出なら税金の計算がないから、手続は簡単なんでしょ?』と思う方もいるはずです。ただ、規制のある物の確認や書類の準備は、輸入と同じくらい大事なんです。
輸出通関でいちばん大事な決まり
税関の案内(カスタムスアンサー5001)には、こう書かれています。
輸出の申告は、輸出しようとする貨物を保税地域に搬入する前であっても行うことはできますが、輸出の許可は、原則として輸出しようとする貨物を保税地域に搬入した後に行われます。
出典:税関 カスタムスアンサー5001
保税地域とは、輸出しようとする貨物や外国から着いた貨物を置く場所として、財務大臣が指定したり税関長が許可したりした場所のことです。港のコンテナヤードや空港の貨物上屋などがこれに当たります。
保税地域の種類や、そこで何ができるかは保税と通関で詳しく見ています。
5段階で見る輸出通関と、輸入通関との違い
輸出通関の流れを、5つの段階に分けて見ていきます。輸入通関と並べると、違いがはっきりします。
- 貨物の確認: 輸出してよい物か、許可が要る物かを確かめる
- 書類: 輸出申告書と仕入書などを用意する
- 搬入: 貨物を保税地域に入れる
- 申告: 税関に輸出申告をして、審査や検査を受ける
- 許可と積込み: 輸出の許可を受けて、船や飛行機に積み込む

実際には、3段目の搬入と4段目の申告は順番が入れ替わることもあります。申告は搬入前でもできるので、先に申告しておいて、搬入したらすぐ許可を受ける進め方もできるんです。
輸入通関と輸出通関の比較表
同じ通関でも、輸入と輸出では決まりが違う点がいくつもあります。税関の案内をもとに、編集部が並べてみました。
| 比べる点 | 輸出通関 | 輸入通関 |
|---|---|---|
| 申告できるタイミング | 保税地域に入れる前でもできる | 原則として保税地域に入れた後 |
| 許可のタイミング | 原則として保税地域に入れた後 | 審査・検査と納税を確かめた後 |
| 税金 | 輸出取引に当たる販売なら消費税は免除 | 関税・消費税・地方消費税を納める |
| 基本の書類 | 輸出申告書と仕入書(または仕入書に代わる書類) | 仕入書、船荷証券などの運送の書類ほか |
| 主な確認ポイント | 輸出してよい物か、許可が要る物か | 他法令の手続、課税価格と税率 |
| 申告先 | 貨物を入れる保税地域を所轄する税関 | 貨物を置いている保税地域を管轄する税関 |
ここが大事なところです。輸入は「税金」、輸出は「出してよい物かどうか」に、気をつけるポイントが寄っています。
輸入の流れを詳しく見たい方は、輸入通関の流れを合わせて読んでみてください。
輸出通関の前に決めておきたい段取り
輸出の手続は、船や飛行機の予定から逆算して進めるのが基本です。段取りが決まっていないと、書類はそろっているのに積込みに間に合わない、ということも起こります。
- どの船や便に載せるか、積込みの締切はいつか
- 貨物をどの保税地域(コンテナヤードや貨物上屋)に入れるか
- 申告を自分でするか、通関業者に頼むか
- 仕入書や包装明細書を、誰がいつまでに作って渡すか
- 規制の確認が要る物なら、許可や承認をいつ受けるか
例えば通関業者に頼むなら、「どの便に載せたいか」「貨物はいつ搬入できるか」を最初に伝えておきましょう。申告を先に進めてもらえるので、搬入してから許可までの時間を短くしやすくなります。
1段目と2段目:貨物の確認と書類の準備
『書類さえそろえれば大丈夫』と思われがちですが、その前に確かめたいのが貨物そのものです。
1段目:輸出してよい物かを確かめる
物によっては、輸出に許可や承認が要ったり、そもそも輸出できなかったりします。税関の案内でも、輸出申告の時に「他法令の許可・承認証等」が要る場合があるとされています。
- 何の物か、品名と用途を具体的に説明できる
- 機械や電子部品、化学品など、規制に関わりそうな物でないか
- 輸出に許可や承認が要るかを、所管の役所や通関業者に確かめた
- 送る先の国で、輸入が制限されている物でないかを確かめた
輸出の規制にはいろいろな種類があります。どんな物に許可が要るのか、確かめ方は輸出できない物と許可が要る物で見ています。
2段目:輸出の書類を用意する
輸出申告で出す書類は、税関の案内(カスタムスアンサー5009)によると次のとおりです。
| 書類 | いつ要るか |
|---|---|
| 輸出申告書 | 毎回 |
| 仕入書、または仕入書に代わる書類 | 毎回 |
| 包装明細書 | 場合によって |
| 他法令の許可・承認証など | 許可や承認が要る物の時 |
| 減免税などに関わる書類 | 減免税を受ける時 |
| 内国消費税の輸出免税を受けるための書類 | 酒税などの輸出免税を受ける時 |
輸入に比べると、基本の書類は少なめです。ただし、仕入書の品名や原産国、数量の書き方は、相手国の輸入通関でもそのまま使われます。
仕入書の原産国や品名を大まかに書いてしまい、相手国の輸入通関で止まることがあります。輸出の書類は、相手の国の手続でも使われると考えて、具体的に書いておきましょう。
書類ごとの中身は通関に必要な書類で詳しく見ています。
3段目から5段目:搬入・申告・許可と積込み
書類がそろったら、貨物を保税地域に入れて申告し、許可を受けます。ここでは、知っておくと便利な仕組みも合わせて見ていきます。
3段目と4段目:搬入と申告
申告は、原則として貨物を入れる保税地域の所在地を所轄する税関に出します。輸出者が自分で申告することも、通関業者に代わりに申告してもらうこともできます。
コンテナで送る時は、コンテナヤードなどの保税地域に貨物を入れて手続を進めます。コンテナまわりの言葉と流れは、CY・CFSとは?で見ています。
輸出の申告は、保税地域に入れる前でもできます。先に申告して審査を進めておけば、搬入した後の許可が早くなります。
保税地域に入れずに申告できる場面もあります
大きくて重い貨物や、大量にまとめて運ぶ貨物は、保税地域に入れるのが難しいこともありますよね。そんな時のために、例外の仕組みがあります。
| 仕組み | どんな仕組みか | 主な対象 |
|---|---|---|
| 本船扱い | 船に積み込んだ状態で申告する | 石炭やセメント、自動車(完成車)など、決められた品目 |
| ふ中扱い | はしけなどに積んだ状態で申告する | 生鮮果実や小麦粉、プラント貨物など、決められた品目 |
| 特定輸出者(AEO輸出者) | 保税地域に入れずに申告し、許可を受けられる | 税関の承認を受けた輸出者 |
| 認定製造者(AEO製造者) | 製造者の貨物について、保税地域に入れずに許可を受けられる | 税関の認定を受けた製造者の貨物 |

本船扱いやふ中扱いを使う時は、「本船扱い・ふ中扱い・搬入前申告扱い承認申請書」(C-5250)を2通出して承認を受けます。AEO制度についての税関の説明はAEO制度のページで読めます。
申告はNACCSという電子のシステムで進みます
輸出の申告は、NACCSという輸出入の手続を電子で行うシステムで進めることができます。NACCSセンターが公開している業務の一覧では、輸出の申告にかかわる業務として次のような名前が並んでいます。
| 業務コード | 業務の名前(NACCSの一覧の表記) |
|---|---|
| ECR | 輸出貨物情報登録 |
| EDA | 輸出申告事項登録 |
| EDB | 輸出申告事項呼出し |
| EDC | 輸出申告 |
『アルファベットが多くて覚えられない』と感じるかもしれませんね。現場では、通関業者がこうした業務を使って申告を進めています。仕組みの全体はNACCSとは?で見ています。
締切が近い時は、税関の開庁時間にも気をつけましょう
船や飛行機には積込みの締切があるので、輸出の手続は時間との勝負になることもあります。税関の官署には開庁時間があり、多くは平日の午前8時30分から午後5時15分(または午後5時45分)までです(カスタムスアンサー9602)。
開庁時間の外で手続をしたい時は、開庁時間内に「開庁時間外の事務の執行を求める届出書」(C-8000)を2通出して求めることができます。以前の臨時開庁手数料は、平成20年4月1日に廃止されています。詳しくは通関は土日もできる?を見てみてください。
5段目:輸出の許可と積込み
税関の審査や必要な検査が終わり、貨物が保税地域に入っていれば、輸出の許可が出ます。許可を受けた貨物は、船や飛行機に積み込まれて外国へ向かいます。
輸出の許可を受けた貨物は、関税法の上では「外国貨物」として扱われます。許可の後は、自由に国内へ戻せるわけではない点も覚えておきましょう。
- 許可を受けた貨物の中身や数量を、勝手に変えない
- 積み込む船や便が変わったら、通関業者に早めに伝える
- 輸出許可書は、消費税の手続のためにも大切に保管する
『許可が出たら、あとは運送会社に任せておけばいい』と思いがちですよね。実は許可の後も、書類を保管するという大事な仕事が残っているんです。
輸出許可書は、消費税の免税の証明にもなります
国内で物を売ると消費税がかかりますが、輸出取引に当たる販売なら消費税が免除されます(国税庁タックスアンサーNo.6551)。
その証明として、輸出の許可を受ける貨物は「輸出許可書」を使います。証明の書類は、納税地などに7年間保存する必要があります。
郵便で送る場合、価格が20万円以下の郵便物は税関への輸出申告は要りません(カスタムスアンサー6201)。価格が20万円を超える郵便物は輸出申告が必要で、価格欄にはFOB価格を書きます。
手荷物で商品を持ち出す時
出張のついでに商品やサンプルを手荷物で持ち出す、という場面もありますよね。商業貨物を携帯して輸出する時は、総価格の合計額が一定の範囲内なら、空港などで旅具通関という簡単な手続で済み、税関に口頭で申告します(カスタムスアンサー7205)。
その範囲に当たらない時は、一般の貨物と同じ輸出の手続が要ります。金額の目安や機内に預ける時の手順は、カスタムスアンサー7205で確かめておきましょう。くわしくはハンドキャリーの通関でも見ています。
展示会に出す商品やサンプルを一時的に持ち出して、また持ち帰る場合は、ATAカルネという仕組みも使えます。詳しくはATAカルネの通関を見てみてください。
輸出通関でよくある相談に答えます
ここでは、ネットのQ&Aサイトで閲覧の多かった輸出通関の相談を要約し、税関の公開情報をもとに答えます。
- 輸出の担当だけど、相手側の輸入の流れがよく分からない
- 輸出通関の後に、仕入書の原産国の間違いに気づいた
- 海外通販の追跡に「輸出通関が認められませんでした」と出た
輸出の担当だけど、相手側の輸入の流れが分からない
『自分の手続は分かるけど、相手の国で何が起きているのか見えない』という悩みですね。輸入の側では、貨物が着くと保税地域に入り、申告・審査と検査・納税を経て許可を受けるのが基本の流れです。
国によって細かい決まりは違いますが、輸入の側で一番困るのは書類の不足や記載の食い違いです。仕入書や包装明細書の中身を、相手と事前にすり合わせておくと喜ばれます。
輸出通関の後に、仕入書の原産国の間違いに気づいた
気づいた時点で、すぐに手を打つのが大事です。相手国の輸入通関では、原産国によって使える税率が変わることもあります。
まずは輸出の申告をした通関業者に連絡し、相手先にも正しい情報を伝えましょう。訂正の手続が要るかどうかは、申告をした税関や通関業者に確かめてみてください。
「輸出通関が認められませんでした」と出た
海外通販の追跡でこの表示が出ると、焦りますよね。ただ、これは多くの場合、日本ではなく送り元の国での輸出の手続の話です。
送り元の国の決まりで出せない物だったり、書類に不足があったりすることが考えられます。注文した通販サイトの窓口や販売者に、荷物がどうなるかを問い合わせてみてください。
輸出通関は自分でする?通関業者に頼む?
輸出の申告も、輸出者が自分ですることができます。一方で、財務大臣の許可を受けた通関業者に代わりに頼むこともできます。
- 申告書の作成から申告まで代わりに進めてもらえる
- 通関士が申告書の中身を審査してくれる
- 規制の確認や書類の書き方を相談できる
- 依頼の料金はかからない
- 規制や書類を自分で確かめる必要がある
- 慣れるまで時間がかかりやすい
初めての輸出や、規制の確認が必要な物を送る時は、通関業者に頼む方が安心な場面が多いです。選ぶ時に確かめたいことは通関業者とは?でまとめています。
輸出通関の知識を仕事にするなら
輸出の手続を調べていくうちに、こうした申告を仕事にしてみたいと感じた方もいるかもしれません。通関の知識を仕事にしたい人には、国家資格の通関士という道があります。
第60回(令和8年)の通関士試験では、通関実務の科目にNACCSを使う輸出申告の問題が1問出されました。仕事の中身は通関士とは?で詳しく見られます。
通関ドットコム
通関士を目指すなら、講座を比べてみませんか
実務の申告書問題や計算問題の解説、法改正への対応など、独学では用意しにくい部分だけでも講座を使うと準備が進めやすくなります。学び方の比べ方と、資料請求で講座を選ぶ時のチェックポイントをまとめました。
講座の選び方通関士の講座の選び方を見る当サイト内の解説ページに移動します。講座の内容・料金・受講期間は各講座の公式案内でご確認ください。
よくある質問
輸出通関は保税地域に入れる前に申告できますか?
はい、輸出の申告は保税地域に入れる前でもできます。ただし輸出の許可は、原則として保税地域に入れた後に出ます。
輸出通関に必要な書類は何ですか?
基本は輸出申告書と、仕入書または仕入書に代わる書類です。場合によって包装明細書や、他法令の許可・承認証などが要ります。
輸出には消費税がかかりますか?
輸出取引に当たる販売なら消費税は免除されます。その証明として輸出許可書などを、納税地などに7年間保存する必要があります。
郵便で海外に送る時も輸出通関は要りますか?
価格が20万円以下の郵便物は、税関への輸出申告は要りません。20万円を超える郵便物は輸出申告が必要です。
輸出の許可が出た後に、積込みが間に合わなかったらどうなりますか?
輸出の許可を受けた貨物は、関税法の上では外国貨物として扱われ、自由に国内へ戻すことはできません。予定が変わった時は、申告をした通関業者や税関にすぐ相談しましょう。
まとめ
- 輸出通関は、貨物の確認・書類・搬入・申告・許可と積込みの5段階
- 申告は保税地域に入れる前でもできるが、許可は原則として入れた後
- 輸入は税金、輸出は出してよい物かどうかに注意が寄っている
- 本船扱い・ふ中扱いやAEO制度で、保税地域に入れずに進む場面もある
- 輸出許可書は消費税の輸出免税の証明として7年間保存する





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