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『貿易の仕事に就きたいけど、通関士と貿易実務検定、どっちを取ればいいんだろう』と迷っている方も多いはずです。
結論から言うと、通関士は通関の手続を扱うための国家資格で、貿易実務検定は貿易の仕事全体の基礎知識を確かめる民間検定です。
この記事では、2つを「実施する所・試験の範囲・仕事での使われ方」で比べて、どちらから受けるかを決めるめやすを紹介します。
通関士と貿易実務検定は何が違う?
通関士試験は財務大臣が決定する問題で各税関長が行う国家試験です。貿易実務検定は、日本貿易実務検定協会が行う民間の検定です。名前が似ていても、目的と範囲がかなり違います。
通関士は、国家試験である通関士試験に合格し、勤務先の通関業者の申請に基づいて財務大臣の確認を受けて、通関業務に従事する人のことです。
通関業者は、通関業務を行う営業所ごとに通関士を置かなければならないと通関業法で決められています。
一方の貿易実務検定は、公式サイトで「貿易実務などを行う際に必要な貿易実務の知識、貿易実務英語の知識についてその基礎能力を判定すること」を目的としています。
『どちらも貿易の資格だから、似たようなものでは』と思いますよね。
実は、通関士は「税関への手続」に深く入る資格で、貿易実務検定は「貿易の仕事の流れ全体」を広く見る検定なんです。
通関士ができる仕事の中身
通関業法でいう通関業務には、輸出入の申告などの手続の代理・代行や、通関書類の作成などが入ります。
通関業者は、申告書などの通関書類を通関士に審査させ、記名させなければならない決まりになっています。
つまり、通関士は「書類の中身に責任を持つ人」として、通関業者の仕事の中心にいるんです。通関の全体の流れは、通関とは?輸出入で税関の許可を受けるまでの流れで紹介しています。
3つの物差しで比べる表
通関ドットコム編集部で、2つを3つの物差しで比べる表を作りました。
| 物差し | 通関士試験 | 貿易実務検定 |
|---|---|---|
| 実施する所 | 財務大臣が決定する問題により各税関長が行う国家試験 | 日本貿易実務検定協会が行う民間の検定 |
| 試験の範囲 | 通関業法・関税法等・通関実務の3科目 | 貿易実務の知識と貿易実務英語の知識 |
| 段階 | 1つの試験で合否が決まる | A級・B級・C級に分かれる |
| 仕事での使われ方 | 通関業者で通関士として申告書を審査し記名する | 貿易事務などで、仕事の基礎知識があることを示す |
| 受ける人の条件 | 学歴・年齢・経歴・国籍などの制限なし | 級ごとの条件は公式サイトで確かめる |
出典は税関の通関士試験のページと、通関業法の規定です。貿易実務検定の内容は、実施団体の公式サイトの記載によります。

通関士試験の合格率
通関士試験の合格率は、財務省(税関)の公表値で次のとおりです。
| 回(年) | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
|---|---|---|---|
| 第55回(令和3年) | 6,961人 | 1,097人 | 15.8% |
| 第56回(令和4年) | 6,336人 | 1,212人 | 19.1% |
| 第57回(令和5年) | 6,332人 | 1,534人 | 24.2% |
| 第58回(令和6年) | 6,135人 | 759人 | 12.4% |
| 第59回(令和7年) | 6,322人 | 954人 | 15.1% |
年によって上下があるので、1年の数字だけで判断しないのがおすすめです。数字の見方は通関士試験は難しい?合格率の推移で詳しく紹介しています。
貿易実務検定の級のめやす
貿易実務検定は、級ごとにレベルの目安が公式サイトで示されています。
| 級 | 公式サイトの目安 |
|---|---|
| A級 | 概ね3〜4年以上の実務経験のレベル |
| B級 | 概ね1〜3年以上の実務経験のレベル |
| C級 | 定型業務をこなすために必要な知識があることを証明するレベル |
公式サイトの表示(2026年10月8日時点)では、次回の試験はC級が2026年12月6日、B級が2026年12月13日です。
受験料や試験の日程は年によって変わるので、受ける前に実施団体の公式サイトで確かめておきましょう。
『C級から始めて、B級、A級と上げていけばいいのかな』と考える方もいますよね。
級の目安を見ると、C級は定型業務の知識、B級とA級は実務経験の年数がレベルの目安になっています。今の自分の仕事の経験に近い級から考えてみてください。
通関士試験の3科目
通関士試験は、通関業法・関税法等・通関実務の3科目で、すべての科目で合格基準を満たす必要があります。
試験の全体像は、通関士試験とは?科目・日程・合格基準の全体像で紹介しています。
仕事でどう使われる?場面で比べる
ここが大事なところです。
資格を選ぶ時は、試験の難しさより「その知識を毎日どこで使うか」を考えると決めやすくなります。
- 通関業者で輸出入の申告書を作り、内容を審査する
- 関税や消費税の計算、課税価格の考え方を説明する
- 他法令の許可が要る品目かを確かめる
- 輸出入の契約から船積み、代金の決済までの流れを追う
- 英語の書類や取引先とのやり取りで用語を使う
- 社内の貿易事務で、書類の役割を理解して動く
左右を見比べると、通関士は「税関とのやり取り」、貿易実務検定は「取引の流れ全体」に重心があると分かります。
例えば、メーカーの貿易部門で輸出の書類をまとめる仕事なら、取引の流れ全体の知識が毎日の仕事に役立ちます。
通関業者で申告に関わる仕事なら、通関士の知識がそのまま仕事の中身になります。
通関士の資格を活かした働き方は、通関士の資格を活かすキャリア|物流・商社・外資系での働き方で紹介しています。
2つの勉強で重なる所もある
通関士試験の関税法等の範囲には、関税法や関税定率法のほか、外為法の一部も入っています。
貿易の取引の流れの中で、どこで税関の手続が入るかを知っておくと、どちらの勉強でも話がつながりやすくなります。
貿易の書類の名前や手続の言葉は、どちらの勉強でも出てきやすいものです。1つ目の勉強で覚えた用語は、2つ目でそのまま使えると考えておくと気が楽になります。
どちらから受ける?目的別の判断のめやす
『結局、どっちから受ければいいの?』という声がいちばん多いですよね。
答えは、目指す仕事によって変わります。
| 目指すこと | 先に考えたい方 | 理由 |
|---|---|---|
| 通関業者で申告の仕事をしたい | 通関士 | 通関業者は営業所ごとに通関士を置く決まりがある |
| 商社やメーカーで貿易事務をしたい | 貿易実務検定 | 取引の流れ全体の知識を広く使う |
| 貿易の仕事が初めてで、全体をつかみたい | 貿易実務検定 | 級に分かれていて、段階を踏んで学べる |
| すでに貿易事務をしていて、通関も深めたい | 通関士 | 税関とのやり取りや税額の考え方まで学べる |
| まだ目指す仕事が決まっていない | どちらかの公式情報を読んでから | 試験の範囲を見て、興味が続く方を選ぶ |
『両方取った方がいいのかな』と思う方もいるかもしれません。
両方を目指す人もいますが、まずは今の目的に近い方から1つ始めるのがおすすめです。1つ目の勉強で身に付けた用語は、もう1つの勉強でも役に立ちます。

- 働きたい会社は、通関業者か、商社やメーカーか
- 毎日の仕事で、税関への申告に関わりたいか
- 英語の書類や取引先とのやり取りが多い仕事か
- 国家資格であることを重く見たいか
- 勉強を始めるまでに、どれくらい時間が取れるか
例えばこんな会話で考えてみる
迷っている時は、目指す仕事を一言で言ってみると整理しやすくなります。
「港の近くの通関業者で、輸入の申告に関わりたい」なら、通関士の方が近い道です。
「メーカーの海外営業の部署で、輸出の書類や取引先とのやり取りを任されたい」なら、貿易実務検定の範囲の方が毎日の仕事に近いでしょう。
未経験から通関の仕事を目指す時の順番は、未経験から通関の仕事に就くには|資格と実務経験の順番で紹介しています。
通関ビジネス実務検定という選択肢
同じ協会が行う検定に、通関ビジネス実務検定もあります。
通関に関するビジネススキルを学ぶ民間検定で、通関士試験とは別のものです。違いは、通関ビジネス実務検定とは?通関士試験との違いと活かし方で紹介しています。
よくある相談:通関士と貿易実務検定で迷う人へ
Yahoo!知恵袋で読まれている相談を、要約して答えます。
2つは同じもの?初心者はどちらから?
『通関士と貿易実務検定は同じですか?初心者はどちらを取った方がいい?』という相談がよく読まれています。
同じものではありません。通関士は国家試験、貿易実務検定は民間の検定で、範囲も違います。
初心者の場合は、目指す仕事が通関業者での申告なのか、貿易事務なのかを先に決めると選びやすくなります。
実務経験がなくても独学で取れる?
『実務経験はまったくない。通関士と貿易実務検定のB級やC級は独学でも取れる?』という質問もあります。
通関士試験は受験資格の制限がなく、経験がない人も受けられます。貿易実務検定のC級は、公式サイトで定型業務をこなすための知識を証明するレベルとされています。
ただ、通関士試験は財務省(税関)の公表値で、第59回(令和7年)の合格率が15.1%でした。独学で進めるなら、過去問を早めに解いて、自分に合う進め方かを確かめておきましょう。
転職で役立つのはどちら?
『商社や貿易会社に転職したい。役に立つのはどちら?』という相談も読まれています。
どちらが有利と言い切ることはできません。応募する仕事が通関業者での申告なのか、社内の貿易事務なのかで、求められる知識が違うからです。
求人に書かれた仕事の中身を読んで、通関の手続が中心か、取引の流れ全体かを見てみてください。求人の探し方は通関士の転職・求人の探し方で紹介しています。
資格の名前だけで選んで、勉強を始めてから「思っていた仕事の内容と違った」と気づくケースです。受ける前に、試験の範囲と、目指す仕事の中身を一度見比べておきましょう。
通関士を目指すなら、独学か講座か
通関士から受けると決めた人は、次に勉強の進め方を考えましょう。
独学で進める人もいますし、それも十分にありな選び方です。一方で、通関実務の申告書や計算問題の解説がほしい人、法改正を追うのが大変な人、質問できる相手がほしい人は、講座を使うと遠回りを減らしやすくなります。
自分に合う進め方が分からない時は、独学の進め方と、通関士の講座・スクールの選び方を読み比べてみてください。
勉強の進め方に迷ったら、講座の資料を取り寄せて比べてみるのも一つの方法です。
通関ドットコム
通関士を目指すなら、講座を比べてみませんか
実務の申告書問題や計算問題の解説、法改正への対応など、独学では用意しにくい部分だけでも講座を使うと準備が進めやすくなります。学び方の比べ方と、資料請求で講座を選ぶ時のチェックポイントをまとめました。
講座の選び方通関士の講座の選び方を見る当サイト内の解説ページに移動します。講座の内容・料金・受講期間は各講座の公式案内でご確認ください。
よくある質問
通関士と貿易実務検定は、どちらが国家資格ですか?
通関士試験が国家試験です。貿易実務検定は、日本貿易実務検定協会が行う民間の検定です。
貿易実務検定を持っていると、通関士試験の科目が免除されますか?
通関士試験の科目免除は、通関業者の通関業務などに従事した期間によるものです。貿易実務検定の合格で免除される仕組みは、受験案内には書かれていません。
貿易実務検定の日程や受験料はどこで確かめますか?
実施団体の公式サイトで確かめてください。年によって変わることがあります。
通関士試験はいつ行われますか?
第60回(令和8年)は10月4日(日)に行われ、合格発表は11月10日(火)の予定です。次の回の日程は、例年7月ごろに税関のホームページで公告と受験案内が出るので、そこで確かめてください。
通関士試験は誰でも受けられますか?
学歴・年齢・経歴・国籍などの制限はなく、どなたでも受けられます。
まとめ
- 通関士は国家試験、貿易実務検定は民間の検定
- 通関士は税関への手続、貿易実務検定は取引の流れ全体に重心がある
- 貿易実務検定はA級・B級・C級に分かれている
- 通関業者で申告に関わりたいなら通関士、貿易事務なら貿易実務検定から考える
- 日程や受験料は、それぞれの公式の案内で確かめる





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