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『通関士って難しいのかな。仕事をしながらでも受かるものなんだろうか』と、受けるかどうかで迷っている方も多いはずです。
結論から言うと、通関士は簡単な試験ではありません。ただ、難しさには理由があり、その理由が分かれば対策の順番も見えてきます。
この記事では、財務省(税関)の公表値で合格率の推移を見たうえで、通関士が難しいと感じる理由と、合格に近づく進め方を紹介します。
通関士は難しい?まず合格率の推移を見てみる
財務省(税関)の公表値では、第55回から第59回までの合格率は12.4%から24.2%の間で動いています。回によって差が大きく、「毎年同じくらいの難しさ」とは言い切れない試験です。
まずは、受験案内のQ&Aと各回の「通関士試験の結果について」に載っている数字を並べてみますね。
| 回(年) | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
|---|---|---|---|
| 第55回(令和3年) | 6,961人 | 1,097人 | 15.8% |
| 第56回(令和4年) | 6,336人 | 1,212人 | 19.1% |
| 第57回(令和5年) | 6,332人 | 1,534人 | 24.2% |
| 第58回(令和6年) | 6,135人 | 759人 | 12.4% |
| 第59回(令和7年) | 6,322人 | 954人 | 15.1% |
合格率はいずれも財務省(税関)の公表値です。出典は税関の第59回通関士試験の結果についてと第58回の結果について、第60回の受験案内です。

数字から読み取れること
表を見ると、受験者数は回ごとに大きくは変わっていません。
一方で、合格率は第57回の24.2%から、第58回は12.4%へと下がっています。『去年は受かりやすかったのに、今年は厳しかった』ということが起こりうる試験なんです。
合格率は、その回の問題や合格基準によって動きます。この記事では、公表された数字をそのまま並べるだけにとどめ、ほかの資格と難しさを比べたり、合格率から順位をつけたりはしません。
ちなみに、通関士試験は昭和42年に第1回が行われ、その時の合格率は20.3%でした。長く続いている国家試験です。
試験地によって違いはある?
第59回の結果では、試験地ごとの数字も公表されています。そのうち受験者の多い3つを並べるとこうなります。
| 試験地(第59回) | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
|---|---|---|---|
| 東京 | 2,195人 | 361人 | 16.4% |
| 大阪 | 1,095人 | 152人 | 13.9% |
| 愛知 | 746人 | 111人 | 14.9% |
同じ問題を全国で解く試験なので、試験地で有利・不利があるわけではありません。『東京で受けた方が受かりやすい』といった考え方はせず、自分の受けやすい試験地を選んでみてください。
全科目受験と科目免除ありで合格率はどう違う?
ここが、この記事でいちばん見てほしいところです。
通関士試験には、実務経験がある人の科目免除があります。通関業者の通関業務などに通算5年以上従事した人は通関実務が、通算15年以上の人は関税法等と通関実務が免除されます。
そのため、結果の発表では「全科目受験者」「2科目受験者」「1科目受験者」に分けて数字が出ています。
| 区分 | 第59回 受験者 | 第59回 合格者 | 第59回 合格率 | 第58回 合格率 |
|---|---|---|---|---|
| 全科目受験者(3科目) | 5,584人 | 777人 | 13.9% | 11.2% |
| 2科目受験者 | 561人 | 58人 | 10.3% | 10.4% |
| 1科目受験者 | 177人 | 119人 | 67.2% | 61.3% |
いずれも財務省(税関)の公表値です。

この表をどう読むか
初めて受ける人の多くは、表のいちばん上の「全科目受験者」に入ります。
全体の合格率だけを見て『15%なら何とかなりそう』と思うより、自分がどの区分で受けるのかを確かめておくと、現実に近い見通しが立てられます。
- 通関業者で通関業務に通算5年以上従事しているか
- 官庁で関税その他通関に関する事務に従事した期間があるか
- 単なる入力作業などの機械的な事務の期間を除いても、年数が足りるか
- 免除を受けるなら、申請書と証明書を受験願書と一緒に出せるか
1科目受験者の合格率が高いのはなぜ?
1科目受験者は、通算15年以上の経験で関税法等と通関実務が免除され、通関業法だけを受ける人たちです。
長く通関の仕事に携わってきた人が、1科目に絞って準備できるので、合格率が高く出ていると考えられます。初めて受ける人がこの数字を自分に当てはめないように気をつけておきましょう。
免除の条件と申請の手順は、通関士試験の科目免除|実務経験5年・15年で免除される科目で詳しく紹介しています。
2科目受験でも楽になるわけではない
『免除があれば楽になる』と思われがちですが、表を見ると、2科目受験者の合格率は全科目受験者と大きくは変わりません。
通関実務が免除されても、残る通関業法と関税法等の2科目は、どちらも条文の語句を正確に覚える科目です。仕事で手続に慣れていても、試験は条文の言葉で問われるんです。
通関士が難しいと感じる5つの理由
数字を見たところで、次は「なぜ難しいと感じるのか」です。
理由を分けてみると、どこに力を入れればいいかがはっきりしてきます。
| 理由 | どういうことか | 対策の方向 |
|---|---|---|
| 1 3科目すべてで基準が要る | 1科目でも合格基準に届かないと不合格 | 得意科目で稼ぐより、苦手科目をなくす |
| 2 合格基準が事前に分からない | 基準は合格発表の時に公表される | 60%を少し上回る点を目標にする |
| 3 選択式で複数を選ぶ | 1つあいまいな知識があると点を落とす | 条文の語句と、原則・例外をセットで覚える |
| 4 申告書と計算がある | 通関実務は資料を読んで手を動かす問題 | 早めに申告書問題に触れ、練習量を確保する |
| 5 1日で3科目を受ける | 午前に2科目、午後に通関実務 | 本番と同じ時間割で通しの練習をする |
理由1と2:基準の仕組みが厳しい
試験に受かるには、3科目すべてで合格基準を満たす必要があります。
公表された合格基準は、第59回が3科目とも満点の60%以上、第58回は通関業法と通関実務が60%以上・関税法等が55%以上、第57回はいずれも60%以上でした。
『1科目がすごく良ければ、ほかで多少落としても大丈夫』とはならないんです。
得意な法律の科目ばかり繰り返し、通関実務の申告書問題の練習が試験直前になってしまうケースです。合計点ではなく科目ごとに基準があるので、苦手な科目を残したまま本番を迎えないようにしましょう。
理由3:選択式で点がぶれる
選択式は、空欄に当てはまる語句を選ぶ形式か、五肢から正しいもの(誤っているもの)を複数選ぶ形式です。
複数を選ぶ形式は、1つの選択肢の判断を間違えるだけで点を落としやすくなります。「なんとなく覚えている」状態では点が安定しないので、ここが難しさの大きな原因になっています。
例えば、こんな取り違えが起こりやすいんです。
「通関業を始める時に受けるのは?」「財務大臣の許可」
「合格者を通関士として働かせる時は?」「財務大臣の確認」
どちらも財務大臣なので、言葉があいまいだと選択肢の前で手が止まります。誰が、何の場面で受けるのかまでセットで覚えておくと、迷いにくくなります。
理由4と5:実務の問題と、長い1日
通関実務には、NACCSを使って行う輸出申告と輸入申告の問題が1問ずつ出ます。資料を読んで手順どおりに解く問題なので、知識だけでは足りません。
そのうえ、試験は午前9時30分の通関業法から始まり、通関実務が終わるのは15時30分です。最後の科目で集中力を保つことも、難しさの一つなんです。
試験開始から30分と、終わる前の10分は退出できません。本番に近い形で練習するなら、休みの日に3科目を時間割どおりに解く日を一度作ってみてください。疲れた午後に、申告書問題をどこまで手順どおりに解けるかが分かります。
もう1つの理由:毎年、範囲が少しずつ動く
出題範囲は、試験の年の7月1日現在で施行されている法律・政令・省令・告示・通達です。第60回なら、令和8年7月1日現在のものでした。
法令が改正されると、テキストや過去問の答えが今の決まりと合わなくなることがあります。『去年のテキストでも大丈夫かな』と迷ったら、改正があった部分を税関の案内や法令で確かめておくと安心です。
3科目の形式と配点は、通関士試験の内容|3科目の出題形式と配点で表にまとめています。
難しさを分解すると、やることが見えてくる
ここまでの理由を、勉強でやることに置き換えてみましょう。
『難しいなら、とにかく勉強時間を増やすしかない』と考える方もいますよね。ただ、時間を増やす前に、どこに時間を使うかを決めた方が近道です。
- 3科目それぞれの配点と形式を受験案内で確かめる
- 法律の2科目は、条文と過去問を往復して語句を覚える
- 通関実務は、早めに申告書問題と計算問題に手をつける
- 過去問を時間を計って解き、科目ごとの得点を記録する
- 60%に届かない科目から、優先して練習の時間を増やす
科目ごとの進め方は、関税法等の勉強法や通関実務の勉強法|申告書問題と計算問題の解き方で紹介しています。
得点を記録して、弱い科目を見つける
過去問を解いたら、科目ごとの得点を簡単な表に残しておきましょう。点数の動きが見えると、どこに時間を使うかが決めやすくなります。
| 記録する項目 | 書き方の例 |
|---|---|
| 解いた日と回 | どの回の過去問を、いつ解いたか |
| 科目ごとの得点 | 通関業法・関税法等・通関実務を別々に書く |
| 満点に対する割合 | 60%に届いているかに印をつける |
| 間違えた形式 | 選択式・択一式・申告書・計算式のどれか |
| 次にやること | 条文の読み直し、申告書の解き直しなど1行で |
3科目のうち、60%に届かない科目が1つでもあれば、そこが次の1か月の重点です。
どのくらい勉強すればいいか
勉強時間は、人によって大きく違います。法律の文章に慣れているか、貿易や物流の仕事をしているかで、スタート地点が変わるからです。
この記事では時間の目安を断定はしません。代わりに、試験日から逆算して「3科目の過去問を何周できるか」で考えてみてください。
| 立場 | スタート地点 | 力を入れたいところ |
|---|---|---|
| 物流や貿易の仕事をしている社会人 | 手続の言葉にはなじみがある | 職場の言い方と条文の言い方の違い |
| 法律を学んだことがある人 | 条文を読むことに慣れている | 通関実務の申告書と計算 |
| 学生や他業界の人 | どちらも初めて | 手続の全体像をつかんでから条文へ |
勉強時間の考え方は、通関士の勉強時間の目安|試験日から逆算する学習スケジュールで紹介しています。
平日にまとまった時間が取れない場合は、平日は条文の語句や過去問の見直し、週末は通関実務の申告書問題、というように中身で分けると続けやすくなります。午後の通関実務に向けて、週末に科目を通して解く日を作っておくのもおすすめです。
合格に近づく学び方は?独学と講座の考え方
通関士は難しい試験ですが、受験資格に学歴・年齢・国籍などの制限はなく、どなたでも受けられます。
独学で合格をめざすこともできます。市販のテキストと問題集、税関ホームページで公開されている過去問と正答があれば、勉強の材料はそろいます。
- 自分で計画を立てて、毎週の勉強を続けられる
- 法律の文章を読むのが苦にならない
- 申告書問題の解説を読んで理解できる
- 範囲が広く、どこから手をつけるか決めにくい
- 申告書や計算で、質問できる相手がほしい
- 仕事が忙しく、使える時間が限られている
独学で進めるか、講座を使うか
講座が役に立ちやすいのは、例えばこんな場面です。
- 通関実務の申告書問題と計算問題の解説を、手順ごとに聞きたい
- 出題範囲の基準日(試験の年の7月1日)に合わせた法改正の情報を追うのが大変
- 分からないところを質問できる仕組みがほしい
- 勉強時間が限られていて、教材選びや計画づくりに時間をかけたくない
どちらが正解というものではありません。独学で進め方を詳しく知りたい方は通関士は独学で合格できる?独学の進め方と講座を使うと楽な人を読んでみてください。
勉強の進め方に迷ったら、講座の資料を取り寄せて、3科目への対応や質問の仕組みを比べてみるのも一つの方法です。選び方は通関士の講座・スクールの選び方にまとめています。
- 試験日(第60回は10月4日)から逆算して、教材を何周できるか
- 通関業法・関税法等・通関実務の3科目に対応しているか
- 申告書問題と計算問題の解説があるか
- 教育訓練給付の対象かどうかを、厚生労働省の検索システムで確かめたか
教育訓練給付制度の対象講座は、厚生労働省の教育訓練給付制度 検索システムで講座名から調べられます。
通関ドットコム
通関士を目指すなら、講座を比べてみませんか
実務の申告書問題や計算問題の解説、法改正への対応など、独学では用意しにくい部分だけでも講座を使うと準備が進めやすくなります。学び方の比べ方と、資料請求で講座を選ぶ時のチェックポイントをまとめました。
講座の選び方通関士の講座の選び方を見る当サイト内の解説ページに移動します。講座の内容・料金・受講期間は各講座の公式案内でご確認ください。
よくある相談:通関士は難しい?への答え
Q&Aサイトで読まれている相談の中から、通関士の難しさに関わるものを要約して答えます。
通関士ってどれくらい難しいの?
『通関士ってどれくらい難しいのか、難易度が知りたい』という相談がよく読まれています。
財務省(税関)の公表値では、第55回から第59回までの合格率は12.4%から24.2%の間です。回による差が大きいので、1つの年の数字だけで判断しない方がいいんです。
また、初めて受ける人の多くは全科目受験です。第59回の全科目受験者の合格率は13.9%でした。自分が受ける区分の数字で考えてみてください。
業界未経験で独学だと厳しい?
『業界未経験で独学だと、やっぱり厳しいでしょうか』という質問もあります。
受験資格に経歴の制限はなく、未経験でも受けられます。手続の言葉に慣れていない分、最初は時間がかかりますが、手続の流れをつかんでから条文に入れば、理解は少しずつ追いついてきます。
例えば、最初の1週間は輸入の流れ(申告、検査、納付、許可)だけを図に描けるようにしてみてください。全体の地図ができると、条文の意味がつかみやすくなります。
通関実務の後半はどれくらい難しい?
『通関実務の、前の方の問題より後ろの問題はどれくらい難しいのか』という相談もあります。
通関実務には、申告書の問題、選択式、択一式、計算式が出ます。どの問題がどれだけ難しいかは回によって違うので、一概には言えません。
ただ、計算式は6問・12点あり、換算や端数でミスが出やすいところです。過去問を時間を計って解き、どの形式で時間がかかるかを自分で確かめておくと安心です。
通関士の難しさは、回による合格率の差と、3科目すべてで基準が要る仕組みにあります。自分の受ける区分と苦手科目を知り、そこから対策を始めましょう。
よくある質問
通関士試験の合格率はどのくらいですか?
財務省(税関)の公表値では、第55回が15.8%、第56回が19.1%、第57回が24.2%、第58回が12.4%、第59回が15.1%です。
合格基準は事前に分かりますか?
分かりません。合格基準は事前には公表されず、合格発表の際に公表されます。第59回は3科目とも満点の60%以上でした。
科目免除があると合格しやすくなりますか?
一概には言えません。第59回の2科目受験者の合格率は10.3%で、全科目受験者の13.9%と大きくは変わりませんでした。1科目受験者は67.2%です。
学歴がなくても通関士試験は受けられますか?
受けられます。受験案内では、学歴・年齢・経歴・国籍などの制限はなく、どなたでも受験できるとされています。
合格率が低い年に受けると不利ですか?
合格率は、その回の問題や合格基準によって動きます。受ける年を選ぶことはできないので、3科目すべてで60%を少し上回る点をめざして準備しておくのが現実的です。
通関士試験の合格発表はいつですか?
第60回は令和8年11月10日(火)に税関ホームページで合格者の受験番号が掲載される予定です。詳しくは通関士試験の合格発表と合格基準で紹介しています。
まとめ
- 財務省(税関)の公表値では、第55回から第59回の合格率は12.4%から24.2%
- 初めて受ける人の多くは全科目受験で、第59回は13.9%
- 3科目すべてで合格基準を満たす必要があり、基準は発表時に公表される
- 難しさの理由を分けると、苦手科目と通関実務の練習が対策の中心になる
- 独学でも講座でも、試験日から逆算して過去問を回すことが大事





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