当サイトの記事は編集部が財務省・税関など公的機関の公開情報を調べて独自に執筆しています。記事内に資格講座・転職サービスへの案内(広告)を含みます。
『通関士って独学でも受かるのかな』『講座にお金をかけるべきか迷う』と悩んでいる方も多いはずです。
結論から言うと、通関士試験は独学でも目指せます。受験資格に制限がなく、過去の試験問題や正答も税関ホームページで公表されているからです。
ただ、独学だとつまずきやすい場面もあります。この記事では、独学の進め方と、講座を使った方が楽になる人の見分け方が分かります。
通関士は独学で合格できる?
独学で通関士を目指すことはできます。ただし、通関実務の計算問題や申告書の問題、法改正への対応で手が止まりやすいので、そこをどう補うかを先に決めておくと進めやすくなります。
通関士試験は、学歴・年齢・経歴・国籍などの制限がない試験です。
受験案内にも「どなたでもこの試験を受けることができます」と書かれています。
教材の選び方も、勉強の場所も、自分で自由に決められるんです。
合格率は財務省(税関)の公表値で見る
『独学で受かる人ってどのくらいいるの?』と気になりますよね。
独学かどうかで分けた統計は公表されていません。全体の合格率は、財務省(税関)の公表値で次のとおりです。
| 回(年) | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
|---|---|---|---|
| 第55回(令和3年) | 6,961人 | 1,097人 | 15.8% |
| 第56回(令和4年) | 6,336人 | 1,212人 | 19.1% |
| 第57回(令和5年) | 6,332人 | 1,534人 | 24.2% |
| 第58回(令和6年) | 6,135人 | 759人 | 12.4% |
| 第59回(令和7年) | 6,322人 | 954人 | 15.1% |
出典は第60回の受験案内のQ&Aと第59回 通関士試験の結果です。
回によって合格率は上下しています。数字だけで「独学では無理」「独学で十分」と決めつけない方がいいですね。
試験の難しさの感じ方は通関士試験は難しい?合格率の推移と難しく感じる理由でも詳しく見ています。
3科目すべてで基準を満たす必要がある
通関士試験は、通関業法・関税法等・通関実務の3科目があります。
合格するには、3科目すべてで合格基準を満たす必要があります。
| 科目 | 時間(第60回) | 配点 |
|---|---|---|
| 通関業法 | 50分 | 45点 |
| 関税法、関税定率法その他関税に関する法律及び外国為替及び外国貿易法 | 100分 | 60点 |
| 通関書類の作成要領その他通関手続の実務 | 100分 | 45点 |
第59回の合格基準は、3科目とも満点の60%以上でした。第58回は関税法等だけ55%以上です。
1科目だけ得意でも合格できない仕組みなので、独学では「苦手科目を放っておかない」ことが大事になります。
独学でつまずきやすい3つの場面
ここが大事なところです。
独学で進めた人がつまずきやすい場面は、だいたい決まっています。先に知っておくと、対策を用意しておけますよ。
- 通関実務の計算問題で、答えが合わない理由が分からない
- 申告書の問題で、どこから手をつければいいか分からない
- 法改正があった部分を、古い知識のまま覚えてしまう
1. 通関実務の計算問題と申告書の問題
通関実務の科目には、通関書類の作成要領(輸出申告と輸入申告を各1問)と、計算式の問題があります。
第60回の配点では、通関書類の作成要領が20点、計算式が12点でした。
文章を読んで覚える問題と違って、手順を体で覚える必要がある問題です。
『解説を読んでも、なぜその数字になるのか分からない』という場面が、独学だと一番起きやすいところなんです。
通関実務の解き方は通関実務の勉強法|申告書問題と計算問題の解き方で詳しく紹介しています。
2. 法改正への対応
試験の出題範囲は、その年の7月1日現在で施行されている法令です(第60回は令和8年7月1日現在)。
つまり、前の年の教材のままだと、改正された部分がずれている可能性があります。
独学の場合は、法改正の情報を自分で追いかける必要があるんです。
関税法や通関業法の条文は、e-Gov法令検索の関税法や通関業法で無料で読めます。教材の説明と条文が違うと感じた時は、原文に当たってみてください。
3. 質問できる相手がいない
独学で意外と大きいのが、質問できる相手がいないことです。
1つの問題で何時間も止まってしまうと、勉強のペースが崩れてしまいますよね。
「この選択肢、なんで誤りなんだろう」
「解説を読んでも、まだしっくりこない…」
こういう状態が続くと、勉強そのものが嫌になってしまうことも。
職場に通関の実務経験がある人がいれば相談できますが、そうでない人は工夫が必要です。
つまずいた時の補い方を先に決めておく
3つの場面は、独学ならではの補い方もあります。講座を使う場合と並べておきますね。
| つまずく場面 | 独学での補い方 | 講座を使う場合 |
|---|---|---|
| 計算問題の答えが合わない | 正答と自分の式を1行ずつ見比べ、どこでずれたかを書き残す | 解き方の解説動画や冊子で手順を確かめる |
| 申告書の問題が進まない | 過去問を時間を計って解き、毎回同じ順番で作業する | 講師の解き方の順番をまねる |
| 法改正の部分が分からない | 受験案内で出題範囲の日付を見て、法令の原文と教材を照らし合わせる | 講座側の改正点の案内を使う |
| 質問できる相手がいない | 分からない問題をノートにため、条文や公式資料で調べ直す | 質問の仕組みを使って聞く |
『とりあえず進めて、困ったら考えよう』でも始められます。
ただ、困った時の手を先に決めておくと、手が止まる時間をぐっと短くできますよ。
独学と講座を4つの物差しで比べる
独学か講座かで迷う時は、「どちらが上か」で考えるより、自分に足りない部分を何で補うかで考えると決めやすくなります。
通関ドットコム編集部では、学び方を次の4つの物差しで比べてみました。
| 物差し | 独学 | 通信講座 | 通学講座 | オンライン講座 |
|---|---|---|---|---|
| 分からない所を質問できるか | 自分で調べる | 質問の仕組みがある講座が多い | 講師に直接聞きやすい | 質問の仕組みは講座による |
| 計算問題・申告書の解説 | 教材の解説だけ | 動画や冊子で解説がつくことが多い | 授業で解き方を見られる | 動画で繰り返し見られる |
| 法改正への対応 | 自分で情報を集める | 講座側が案内することが多い | 授業の中で触れられる | 講座側が案内することが多い |
| 時間の自由度 | とても高い | 高い | 通う日時が決まる | 高い |
ここに書いた内容は、学び方ごとの一般的な傾向です。実際の内容は講座ごとに違うので、資料で確かめてみてください。

独学の良さと大変さ
独学にも、はっきりした良さがあります。
- 自分のペースで、好きな時間に進められる
- 教材を自分で選べる
- 受験案内・過去問・正答・法令など、公式の無料資料を使える
- 費用を教材代だけに抑えられる
- 計算問題や申告書の解き方でつまずきやすい
- 法改正の情報を自分で追う必要がある
- 質問できる相手がいない
- 計画が崩れても、気づかせてくれる人がいない
『自分は計画を守れるタイプかな?』と、一度振り返ってみるといいですね。
独学で進める手順
独学で行くと決めたら、次の順番で進めると迷いにくくなります。
- 税関ホームページで最新の受験案内を読み、科目・時間・配点を確かめる
- 過去の試験問題と正答を1回分見て、出題の形をつかむ
- テキストと問題集をそろえ、3科目の勉強の順番を決める
- 通関業法から始めて、関税法等、通関実務と進める
- 通関実務の計算問題と申告書の問題を、時間を計って解く
- 過去問を年度ごとに解き、苦手な分野を見直す
- 7月1日現在の法令が出題範囲になるので、改正点を確かめる
科目をどの順番で進めるかは通関士の勉強法|3科目をどの順番で進めるかで詳しく紹介しています。
無料で使える公式資料を土台にする
独学で心強いのは、税関が公式に公開している資料です。
| 公式の資料 | どこで見られる? | 独学での使い方 |
|---|---|---|
| 受験案内 | 税関の通関士試験のページ | 科目・時間・配点・持ち物を確かめる |
| 過去の試験問題 | 各回の試験ページ(例: 第59回) | 出題の形と時間配分をつかむ |
| 配点と正答 | 合格発表後に公表(例: 第59回の配点及び正答) | 自己採点と弱点の確認 |
| 法令の原文 | e-Gov法令検索 | 教材の説明と条文を照らし合わせる |
教材の組み合わせ方は通関士のテキストと六法の選び方で、過去問の使い方は通関士試験の過去問の使い方で紹介しています。
最初の過去問は「解けなくていい」
独学を始めたばかりの時期に、過去問を1回分見ておくのはおすすめです。
『まだ何も勉強していないのに、過去問なんて…』と思いますよね。
この段階では、点数を取ることが目的ではありません。
どんな形で問われるのか、どの科目にどれだけ時間がかかるのかを、先に知っておくためです。
- 選択式と択一式が、それぞれどんな問われ方をしているか
- 通関実務の申告書の問題が、どんな資料を読んで答える形か
- 計算式の問題で、何を計算させているか
- 自分が知らない言葉がどのくらい出てくるか
この確認をしてからテキストを読むと、「ここは試験に出るところだ」と分かりながら読めるようになります。
1週間の回し方の例
独学は、毎週の回し方を決めておくと続けやすくなります。
例えば、こんな割り振りにすると「読むだけで終わる週」を防げます。
| 曜日の目安 | やること |
|---|---|
| 平日の前半 | テキストを読み、要点をノートにまとめる |
| 平日の後半 | 読んだ範囲の問題集を解く |
| 休日の1日目 | 通関実務の計算問題や申告書の問題を時間を計って解く |
| 休日の2日目 | 1週間で間違えた問題だけを解き直す |
働きながら進める方の時間の作り方は、働きながら通関士を目指す|社会人の学習時間の作り方でも紹介しています。

勉強時間は人によって違う
『独学だと何時間くらい勉強すればいいの?』という疑問もよく聞きます。
必要な時間は、貿易の仕事の経験や、法律の文章に慣れているかで大きく変わります。
この記事では時間を決めつけません。試験日から逆算して計画を立てる方法は通関士の勉強時間の目安で紹介しています。
- 3科目をどの月までに一巡するか決めている
- 通関実務の計算問題を、時間を計って解いたことがある
- 過去問を少なくとも1回分、本番と同じ時間で解いた
- 分からない問題を、記録して後で見直す仕組みがある
- 受ける年の受験案内で出題範囲の日付を確かめた
講座を使うと楽になる人・独学が向いている人
独学で進めるか、講座を使うか。ここは迷う方が多いところですよね。
どちらが正解ということはありません。自分の状況に合わせて選べば大丈夫です。
独学が向いている人
例えば、次のような人は独学でも進めやすいです。
- 貿易や物流の仕事をしていて、通関の言葉に慣れている
- 法律の文章を読むのが苦にならない
- 自分で計画を立てて、守ることができる
- 分からない時に、条文や公式資料を自分で調べられる
物流会社で通関の書類に触れている社会人の場合は、仕事の知識がそのまま勉強に生きる場面も多いはずです。
講座を使うと楽になる人
一方で、次のような場面に当てはまる人は、講座が助けになります。
- 通関実務の計算問題や申告書の問題で、解き方の解説がほしい
- 法改正の情報を自分で追いかけるのが大変だと感じる
- 仕事や家のことで、勉強時間が限られている
- 分からないところを質問できる相手がいない
- 一度独学で受けて、どの科目が足りないかははっきりしている
『全部を講座に任せるのはもったいない』と感じるなら、通関実務だけ講座の解説を使う、という考え方もあります。
独学で進めるのも、講座を使うのも、どちらも正当な選び方です。
勉強の進め方に迷ったら、講座の資料を2〜3社分取り寄せて、同じ物差しで比べてみるのも一つの方法です。
講座の選び方は通関士の講座・スクールの選び方で、通信・通学・オンラインを並べて紹介しています。
通関ドットコム
通関士を目指すなら、講座を比べてみませんか
実務の申告書問題や計算問題の解説、法改正への対応など、独学では用意しにくい部分だけでも講座を使うと準備が進めやすくなります。学び方の比べ方と、資料請求で講座を選ぶ時のチェックポイントをまとめました。
講座の選び方通関士の講座の選び方を見る当サイト内の解説ページに移動します。講座の内容・料金・受講期間は各講座の公式案内でご確認ください。
講座を比べる時に見ておきたいこと
資料を取り寄せたら、次の点をそろえて見てみてください。
| 見るところ | 確かめ方 |
|---|---|
| 3科目への対応 | 通関業法・関税法等・通関実務のすべてを扱っているか |
| 計算問題・申告書の解説 | 解き方を順番に見せてくれる教材や動画があるか |
| 質問の仕組み | 質問できる回数や方法が決まっているか |
| 法改正への対応 | 改正点の案内があるか |
| 受講期間 | 10月上旬の試験日までに終わる日程か |
| 教育訓練給付 | 厚生労働省の教育訓練給付制度 検索システムで講座名から調べる |
教育訓練給付の対象になるかは、講座ごとに違います。検索システムで講座名を入れて確かめておきましょう。

よくある相談:独学で通関士を目指す人の悩みに答えます
独学で通関士を目指す人の相談を、Yahoo!知恵袋でよく読まれているものから要約して答えていきます。
イチから独学だと、ほぼ無理?
『知識ゼロから独学で通関士に合格するのは、ほぼ無理ですか?』という相談は、とてもよく読まれています。
結論から言うと、無理だと決めつける必要はありません。受験資格に制限はなく、公式の過去問や正答も公開されています。
ただ、知識ゼロの人は通関の言葉に慣れるまで時間がかかります。
最初の1か月は「通関とは何か」「輸入申告の流れ」をつかむことに使うと、法律の勉強がぐっと読みやすくなりますよ。
通関の全体像は通関とは?輸出入で税関の許可を受けるまでの流れから読むのがおすすめです。
今から勉強して10月の試験に間に合う?
『独学で今から勉強して、10月の試験に間に合いますか?』という相談もあります。
間に合うかどうかは、残りの期間と1週間に使える時間、今の知識で変わります。
まずは試験日までの残りの週を数えて、3科目を一巡できるかを紙に書き出してみてください。
一巡が難しそうなら、その年は試験の流れを体験し、翌年の合格を目標にする考え方もあります。
業界未経験で独学は厳しい?
『物流や貿易の仕事をしたことがなくて、独学だと厳しいですか?』という相談です。
未経験だと、インボイスや保税地域などの言葉に最初は戸惑いやすいですよね。
ただ、試験は実務経験を受験の条件にしていません。言葉の意味を1つずつ確かめながら進めれば、追いつけます。
計算問題や申告書の問題で手が止まりやすいので、そこだけ講座の解説を使う方法も考えてみてください。
重点的に勉強するべきところは?
『独学だと、どこを重点的に勉強すればいいの?』という相談もありました。
1つの答えは、3科目すべてで合格基準を満たす必要があるので、苦手な科目を作らないことです。
そのうえで、過去問を解いて点が取れていない分野から先に手を入れていきましょう。
独学で行けるかどうかは、才能より「つまずいた時に何で補うか」を決めているかで変わります。計算問題、法改正、質問の3つについて、自分なりの補い方を用意しておきましょう。
よくある質問
通関士は独学でも受験できますか?
できます。通関士試験は学歴・年齢・経歴・国籍などの制限がなく、どなたでも受験できます。
独学で使える無料の資料はありますか?
税関ホームページの受験案内、過去の試験問題、合格発表後に公表される配点と正答、e-Gov法令検索の法令の原文などが使えます。
独学で一番つまずきやすいのはどこですか?
通関実務の計算問題と申告書の問題で手が止まりやすいです。解き方の解説が足りないと感じたら、その部分だけ講座の解説を使う方法もあります。
法改正はどう確かめればいいですか?
出題範囲はその年の7月1日現在で施行されている法令です。受ける年の受験案内で日付を確かめ、教材の改正点と法令の原文を照らし合わせてください。
講座が教育訓練給付の対象かはどこで分かりますか?
厚生労働省の教育訓練給付制度 検索システムで、講座名から調べられます。
まとめ
- 通関士は受験資格の制限がなく、独学でも目指せる
- 独学のつまずきは、計算問題と申告書、法改正、質問相手の3つ
- 学び方は「質問・解説・法改正・時間の自由度」の4つで比べる
- 受験案内・過去問・正答・法令の原文など無料の公式資料を土台にする
- 足りない部分だけ講座で補う選び方もある





コメント