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『法律の2科目はなんとかなりそう。でも、通関実務の申告書問題は何から手をつければいいか分からない』と感じている方も多いはずです。
結論から言うと、通関士試験の通関実務は「申告書問題を3つの工程に分けて解く」「計算は確認リストで見直す」の2つで点が安定します。
この記事では、通関実務の配点を確かめたうえで、申告書問題と計算問題の解き方を手順で紹介します。
通関士の通関実務はどんな科目?配点と時間を確かめる
通関実務は試験時間100分・満点45点の科目です。そのうち申告書の問題が2問で20点、計算式が6問で12点あり、練習した分がそのまま点に出やすい科目です。
正式な科目名は「通関書類の作成要領その他通関手続の実務」です。3科目のうち最後に行われ、電卓が使えるのもこの科目だけです。
第60回(令和8年)の受験案内で、中身を表にしておきますね。
| 区分 | 出題形式 | 問題数 | 配点 |
|---|---|---|---|
| 通関書類の作成要領 | NACCSを使って行う輸出申告と輸入申告(各1問) | 2問 | 20点 |
| その他通関手続の実務 | 選択式 | 5問 | 10点 |
| その他通関手続の実務 | 択一式 | 3問 | 3点 |
| その他通関手続の実務 | 計算式 | 6問 | 12点 |
| 合計 | 試験時間は13:50から15:30(100分) | 45点 |
出典は税関の第60回通関士試験の受験案内PDFです。
申告書の問題は2問で20点と、択一式(3問で3点)と比べて1つの問題の重みがとても大きいんです。ここを落とすと、合格基準に届きにくくなります。
合格基準と免除の関係
合格基準は事前には公表されず、合格発表の時に公表されます。
通関実務は、第57回・第58回・第59回のいずれも満点の60%以上でした。
通関業者の通関業務などに通算5年以上従事した人は、通関実務の科目が免除されます。対象になるかは通関士試験の科目免除で確かめてみてください。
3科目の形式をまとめて見たい方は、通関士試験の内容|3科目の出題形式と配点もあわせてどうぞ。
申告書問題は「3つの工程」に分けて解く
ここが大事なところです。
申告書問題は、問題文・仕入書(インボイス)・関税率表の抜粋などの資料を読み、申告欄に入る内容を選ぶ形で出されます。資料が多いので、最初は『どこから見ればいいの?』と固まってしまいますよね。
通関ドットコム編集部では、申告書問題を3つの工程に分けて解く手順表を作りました。

| 工程 | やること | 見る資料 | よくあるミス |
|---|---|---|---|
| 1 品目分類 | 仕入書の品目ごとに、どの番号(分類)に入るかを決める | 仕入書の品名・材質・用途、問題文の説明、関税率表の抜粋 | 材質や用途の条件を読み飛ばす |
| 2 課税価格の計算 | 課税価格に加える費用を仕分けて、円に換算する | 仕入書の価格、運賃や保険料の説明、為替の換算レート | 加える費用の配分(按分)を忘れる |
| 3 申告欄の記入 | 同じ番号の品目をまとめ、申告欄に当てはまる番号と価格を選ぶ | 問題文の指示(まとめ方・並べる順番・少額の扱い) | 問題文の「記入の仕方」の指示を見落とす |
『いきなり申告欄を埋めようとしてしまう』のが、いちばん多いつまずきです。工程を1つずつ終わらせてから次に進むと、ミスがぐっと減ります。
工程1:品目分類
最初の工程は、仕入書の品目を1つずつ分類していく作業です。
申告書問題では、品目の材質や用途、組み合わせ方の説明が問題文に書かれています。その条件を読み飛ばすと、そこから先の全部の欄がずれてしまうんです。
- 仕入書の品名だけでなく、問題文の材質・用途の説明に線を引いたか
- 関税率表の抜粋の「注」や見出しの条件を読んだか
- 迷った品目に印をつけ、ほかの品目を先に終わらせたか
- 分類した番号を、仕入書の横に小さく書き込んだか
品目分類は、慣れるまで時間がかかる工程です。最初のうちは、解説を見ながら「なぜこの番号になるのか」を自分の言葉で1行書いておくと、次に似た品目が出た時に迷いにくくなります。
工程2:課税価格の計算
2つめの工程は、品目ごとの課税価格を出す作業です。
課税価格は、実際に支払う価格に、含まれていない運賃・保険料など(加算要素)を加えて計算するのが原則です(カスタムスアンサー1403)。加算要素には、輸入港に着くまでの運賃・保険料のほか、仲介手数料や容器・包装の費用、無償で提供した材料や工具、ロイヤルティなどがあります。
問題文に費用がいくつも並んでいたら、まず次のように仕分けてみてください。
| 費用の書かれ方 | 考えること |
|---|---|
| 仕入書の価格に含まれていない運賃・保険料 | 輸入港に着くまでの分か、着いた後の分かを確かめる |
| 買手が別に払った手数料や費用 | 加算要素に当たるかを確かめる |
| 買手が無償で提供した材料や工具 | 加算要素に当たるかを確かめる |
| 複数の品目にまとめてかかる費用 | 問題文の指示どおりに品目ごとへ配分する |
表を見ながら、費用ごとに自分にこう問いかけてみてください。
「この運賃は足す?」「輸入港に着くまでの運賃なら加算要素なので足す。着いた後の分は、加算要素に当たるかを確かめる」
この一往復を口に出すだけで、問題文の費用を読み飛ばすことが減ります。
外国通貨で書かれた価格は、円に換算します。換算に使う相場は、輸入申告の日の属する週の前々週の実勢相場の平均値をもとに、税関長が毎週公示するものです(カスタムスアンサー1406)。試験では、問題文に使うレートが示されるので、それを正しく選ぶのがポイントです。
工程3:申告欄の記入
最後の工程は、分類と価格をもとに申告欄を埋める作業です。
ここでは、問題文の「記入の仕方」の指示がすべてです。同じ番号の品目をまとめる指示、欄に並べる順番の指示、少額の品目の扱いの指示などが、毎回のように書かれています。
工程1と2は合っているのに、問題文の並べ方の指示を読み落として、申告欄の順番を取り違えるケースです。工程3に入る前に、指示の文に1つずつ番号を振ってから進めてみてください。
輸出申告の問題も、考え方の順番は同じです。品目を分けて、価格を出して、指示どおりに欄を埋めます。
輸出と輸入で見るところの違い
申告書の問題は、NACCSを使って行う輸出申告と輸入申告が1問ずつ出ます。手順は同じでも、気にするところが少し違います。
| 見るところ | 輸出申告の問題 | 輸入申告の問題 |
|---|---|---|
| 品目分類 | 仕入書の品目を分類する | 仕入書の品目を分類する |
| 価格 | 問題文が示す価格の考え方に沿って円に直す | 加算要素を足して課税価格を出す |
| 問題文の指示 | まとめ方と並べる順番の指示を確かめる | まとめ方・並べる順番・少額の扱いの指示を確かめる |
| つまずきやすいところ | 品目のまとめ方の指示 | 加算する費用の配分 |
『輸出の方が楽そう』と油断しがちですが、申告書の問題は輸出と輸入の2問で20点です。片方だけに練習が偏らないように、輸出と輸入を交互に解いておきましょう。
例えば、月曜に輸入申告の問題を解いたら、木曜は輸出申告の問題を解く、というように曜日で分けておくと、偏りに気づきやすくなります。
計算問題の解き方と確認リスト
計算式は6問・12点です。
1問ごとの点は申告書より小さいですが、電卓を使って答えを出す形なので、手順を決めておけば取りこぼしを減らせます。
計算の型を知っておく
税関のホームページには、関税と消費税の税額の計算例が載っています(カスタムスアンサー1111)。
この計算例の流れを一度なぞっておくと、試験の計算問題の型がつかみやすくなります。
- 品目ごとの課税価格を確かめる
- 課税価格の千円未満を切り捨て、関税率をかけて関税額を出す(関税額は百円未満を切り捨て)
- 課税価格に関税額を足したものから、消費税額を出す
- 消費税額の22/78として、地方消費税額を出す
- 品目ごとの税額を合計し、端数を処理する
端数の切り捨て方は、計算例どおりに一度電卓をたたいて確かめておくと安心です。税率は、消費税が標準7.8%・軽減6.24%、地方消費税と合わせると10%・8%です。
計算ミスを防ぐ確認リスト

『計算の考え方は合っているのに、答えがずれる』という方も多いですよね。実は、ミスの多くは換算と端数で起きているんです。
- 問題文が指定している換算レートを使ったか
- 外国通貨を円に直してから、加算する費用を足したか
- 複数品目にかかる費用を、指示どおりに配分したか
- 課税価格と税額で、端数の処理の仕方を取り違えていないか
- 答えの単位(円・千円など)を問題文の指示に合わせたか
この5つを、答えをマークする前に毎回指でなぞるだけで、見直しの時間が短くなります。
電卓の使い方も点数に影響します。メモリー機能(M+ M− MR)を使うと、途中の数字を書き写すミスが減ります。使える電卓の条件は通関士試験の電卓と持ち物|使える電卓の条件と当日の注意で確かめてみてください。
関税法等の知識と往復する
計算問題で「どの費用を足すか」に迷う時は、知識が足りていないサインです。
加算要素や為替の換算は、関税法等の科目(関税定率法)の範囲でもあります。関税法等の「納税」の段階を読んでから実務の計算に戻ると、問題文がすっと入ってきます。
関税法等の進め方は関税法等の勉強法|範囲の広い科目を絞り込む順番で紹介しています。
100分の使い方と練習の回し方
通関実務は、問題数は多くないのに時間が足りなくなりやすい科目です。
申告書問題に時間を取られ、計算や択一式を急いで解くことになりがちなんです。
解く順番を決めておく
本番で迷わないように、解く順番は練習の段階で決めておきましょう。
| 順番の例 | 向いている人 | 気をつけること |
|---|---|---|
| 選択式・択一式から先に解く | 知識問題で手早く点を固めたい人 | 申告書と計算に十分な時間を残す |
| 申告書から先に解く | 配点の大きい問題に頭が元気なうちに取り組みたい人 | 1問に時間をかけすぎない |
| 計算式から先に解く | 電卓の作業でリズムをつかみたい人 | 申告書の時間を圧迫しない |
どれが正解というものではありません。過去問を時間を計って解き、自分に合う順番を1つに決めておくのが大事です。
解き方が身につくまでの3段階
通関士の通関実務の解き方は、一度に身につくものではありません。こんな3段階で考えると、今どこにいるかが分かりやすくなります。
| 段階 | 状態 | やること |
|---|---|---|
| 1 なぞる | 解説を見れば分かるが、自分では解けない | 解説を見ながら、3工程を声に出して解く |
| 2 ひとりで解く | 時間をかければ自分で解ける | 解説を見ずに解き、確認リストで見直す |
| 3 時間内に解く | 決めた時間の中で解ける | 時間を計って解き、解く順番を固める |
最初から時間を計る必要はありません。段階1を飛ばして時間ばかり気にすると、間違いの理由が分からないまま進んでしまうんです。
練習の回し方
申告書問題は、読むだけではなかなか上達しません。手を動かす回数が何より大事です。
- 申告書問題を1問、時間を気にせず解説を見ながら解く
- 同じ問題を、翌日に解説を見ずに解き直す
- 計算問題を3問、確認リストを使って解く
- 間違えた品目分類と計算の理由を、ノートに1行ずつ書く
- 週末に、別の申告書問題を時間を計って1問解く
過去の試験問題は、税関ホームページの各回のページで確認できます(第59回の試験のページ)。合格発表の後には正答と配点も公表されます。
年度ごとの過去問の使い方は、通関士試験の過去問の使い方|年度ごとの問題と正答の確認方法で紹介しています。
試験前の1か月は、申告書2問と計算6問を含めた通関実務を100分で通して解く練習を、何度か入れておきましょう。午前の2科目を受けたあとの午後の科目なので、疲れた状態でも手順どおりに解けるかを確かめておくと安心です。
独学で進めるか、講座を使うか
通関実務は、独学でも十分に進められる科目です。
市販の問題集と税関ホームページの過去問、計算例があれば、練習の材料はそろいます。解説を読んで納得でき、同じ問題を何度も解き直せる人なら、独学のやり方が合っているはずです。
一方で、通関実務は「なぜこの答えになるのか」でつまずくと、ひとりでは抜け出しにくい科目でもあります。
- 申告書問題の解説を読んでも、品目分類の理由が分からない
- 課税価格に足す費用の判断を、誰かに質問したい
- 計算問題の解き方を、手順ごとに説明してほしい
- 出題範囲の基準日に合わせた法改正の情報を追うのが大変
- 仕事が忙しく、申告書の練習時間が限られている
独学か講座かの考え方は、通関士は独学で合格できる?独学の進め方と講座を使うと楽な人で両方の進め方を比べています。
勉強の進め方に迷ったら、講座の資料を取り寄せて、申告書問題と計算問題の解説や質問の仕組みを比べてみるのも一つの方法です。選び方は通関士の講座・スクールの選び方にまとめています。
通関ドットコム
通関士を目指すなら、講座を比べてみませんか
実務の申告書問題や計算問題の解説、法改正への対応など、独学では用意しにくい部分だけでも講座を使うと準備が進めやすくなります。学び方の比べ方と、資料請求で講座を選ぶ時のチェックポイントをまとめました。
講座の選び方通関士の講座の選び方を見る当サイト内の解説ページに移動します。講座の内容・料金・受講期間は各講座の公式案内でご確認ください。
よくある相談:通関実務の勉強の悩みに答えます
Q&Aサイトで読まれている相談の中から、通関実務に関わるものを要約して答えます。
課税価格の計算問題はどう攻略する?
『実務の課税価格の計算問題を、どうやって攻略しましたか』という相談がよく読まれています。
おすすめは、費用を「足す・足さない・配分する」の3つに仕分けてから計算に入るやり方です。
問題文を読みながら、費用の横に「足」「×」「配」と小さく書き込んでみてください。電卓に向かう前に仕分けが終わっていれば、計算の途中で迷うことが少なくなります。
実務の経験がなくても独学で受かる?
『実務の経験がない大学生。予備校や通信教育なしで受かることはできますか』という質問もあります。
受験資格に学歴や経歴の制限はなく、どなたでも受験できます。実務の経験がなくても、申告書問題は「資料を読んで手順どおりに埋める」問題なので、練習を重ねれば解けるようになります。
ただ、仕入書やNACCSの申告の形を見慣れていない分、最初は時間がかかります。早めに申告書問題に触れて、資料の見方に慣れておきましょう。
過去問だけでは限界を感じる
『過去問で勉強してきたけれど、今回の本番では過去問だけでは限界があると感じた』という声もあります。
過去問をそのまま覚えるだけだと、資料の条件が少し変わった時に対応しにくくなります。
過去問を解く時は、答えだけでなく「この条件が変わったら答えはどう変わるか」を1つ考えてみてください。品目の材質が違ったら、費用の負担者が違ったら、と問いを足すだけで、初めて見る問題にも強くなります。
通関実務は、資料を読む順番と手順が決まれば、経験の有無に関わらず点が伸びる科目です。3つの工程と確認リストを使い、手を動かす回数を増やしていきましょう。
よくある質問
通関士試験の通関実務の配点は何点ですか?
第60回では満点45点です。申告書の問題が2問で20点、選択式5問10点、択一式3問3点、計算式6問12点です。
申告書の問題は書いて答えるのですか?
第60回の受験案内では、各科目とも筆記のマークシート方式です。申告書の問題も、申告欄に当てはまるものを選んでマークします。
通関実務で電卓は使えますか?
使えます。電卓が使えるのは通関実務の時間だけで、計算機能のみのものに限られます。関数電卓などは使えません。
通関実務は法律の科目より先に勉強してもいいですか?
先に始めてもかまいませんが、課税価格や税率の決まりは関税法等の範囲でもあります。関税法等と並行して進めると、計算問題の理解が早くなります。
通関実務の科目が免除されるのはどんな人ですか?
通関業者の通関業務や、官庁の通関に関する事務に通算5年以上従事した人です。単なる入力作業などの機械的な事務の期間は含まれません。
まとめ
- 通関実務は100分・45点で、申告書2問20点と計算式6問12点が大きい
- 申告書問題は、品目分類・課税価格の計算・申告欄の記入の3工程で解く
- 計算問題は換算と端数で間違えやすいので、確認リストで見直す
- 解く順番は練習の段階で1つに決めておく
- 過去問は「条件が変わったら」を考えながら解き直す





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