通関とは?輸出入で税関の許可を受けるまでの流れをやさしく解説

通関とは何かを解説する記事のアイキャッチ。港のコンテナヤードと税関の窓口

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海外から届くはずの荷物の追跡画面に「通関手続中」と出て、止まったまま動かない。そんな時、そもそも通関って何をしているのか気になりますよね。

結論から言うと、通関は貨物を税関に申告して、審査や検査を受け、輸出や輸入の許可をもらうまでの手続です。英語ではcustoms clearanceと呼ばれます。

この記事を読むと、通関の4つの段階と、会社の輸出入・個人の荷物で誰が何をしているのかが1枚の表で分かります。

目次

通関とは?ひと言でいうと「税関の許可をもらう手続」です

先に結論

通関は、輸出や輸入をしたい人が税関に申告し、必要な検査を経て許可を受ける一連の手続です。許可が出るまで、貨物は国内に引き取ることも外国へ送り出すこともできません。

決まりの中心にあるのは関税法第67条です。条文では、貨物を輸出・輸入しようとする人は、品名や数量、価格などを「税関長に申告し、貨物につき必要な検査を経て、その許可を受けなければならない」とされています。

実は「通関」という言葉そのものを法律で定義した条文は、税関の案内では見当たりません。税関のカスタムスアンサーでは、輸入の申告から許可までの流れを「輸入通関手続」と説明しています。

『通関って、荷物が税関の倉庫で止められること?』と思っている方も多いはずです。止まって見えるのは結果で、その間に申告や審査といった手続が進んでいるんです。

輸入と輸出は法律ではこう決まっています

関税法第2条では、輸入と輸出の意味が決められています。言葉だけだと少し硬いので、ふだんの言い方に直すとこうなります。

用語関税法での意味(要約)ふだんの言い方
輸入外国から着いた貨物などを国内に引き取ること海外の物を日本で受け取る
輸出内国貨物を外国に向けて送り出すこと日本の物を海外へ出す
外国貨物外国から着いて輸入の許可を受ける前の貨物などまだ通関が済んでいない荷物
内国貨物日本にある貨物で外国貨物でないもの国内で自由に動かせる物

ここが大事なところです。海外から届いた荷物は、日本に着いた時点ではまだ「外国貨物」です。輸入の許可を受けて初めて、国内で自由に動かせるようになります。

条文の原文はe-Govの関税法で読めます。

通関は「申告・審査・検査・許可」の4段階で考えると分かりやすい

『通関ってどこで何をしているのか、全体がつかめない』という声はよく聞きます。そこでこの記事では、通関を4つの段階に分けて見ていきます。

通関の4段階
  1. 申告する: 品名・数量・価格などを書いた申告書を税関に出す
  2. 審査を受ける: 税関が書類の中身を確かめる
  3. 検査を受ける: 必要な貨物だけ、税関が現物を確かめる
  4. 許可を受ける: 税金が要る時は納めた後に許可が出る

輸入の場合、税関は申告があると書類の審査と必要な検査を行います。そのうえで、原則として関税などの税金が納められたことを確かめてから輸入を許可します(カスタムスアンサー1101)。

すべての貨物が開けて調べられるわけではありません。検査は「税関の検査が必要とされる貨物」について行われるものです。

通関を申告・審査・検査・許可の4段階に分け、各段階で誰が動くかを示した図解

誰が何をする?場面別の役割表

同じ通関でも、会社の輸入、会社の輸出、個人の荷物では動く人が違います。この表は、税関の案内をもとに編集部がまとめたものです。

段階会社の輸入会社の輸出個人の荷物(国際郵便)
申告輸入者か、依頼を受けた通関業者輸出者か、依頼を受けた通関業者課税価格20万円以下なら受取人の申告は原則いらない
審査税関が書類を確かめる税関が書類を確かめる税関が郵便物を確かめ税額を決める
検査必要な貨物だけ税関が行う必要な貨物だけ税関が行う信書を除き、すべてが税関検査の対象
許可納税を確かめて輸入許可原則、保税地域に搬入後に輸出許可税金があれば配達時などに納める

個人の国際郵便については、カスタムスアンサー6101に「課税価格が20万円以下のものについては、信書を除きすべてのものが税関検査の対象」とあります。

国際宅配便の場合は、通常は宅配便の事業者が通関手続を代行します。税金とは別に代行手数料がかかることもあるので、事業者に確かめてみてください。

輸入の通関と輸出の通関はどこが違う?

結論から言うと、一番の違いは「どの時点で申告できるか」と「税金を納めるかどうか」です。

輸入の通関
  • 原則、貨物を保税地域に入れてから申告する
  • 関税・消費税などを納めてから許可が出る
  • 輸入許可書を見せて保税地域から引き取る
輸出の通関
  • 保税地域に入れる前でも申告はできる
  • ただし許可は原則、保税地域に入れた後
  • 消費税は輸出取引なら免除される

輸入については、関税法第67条の2第3項で「輸入申告は、その申告に係る貨物を保税地域等に入れた後にするものとする」と決められています。本船扱いや搬入前申告の承認など、例外もあります。

輸出については、カスタムスアンサー5001で「保税地域に搬入する前であっても行うことはできますが、輸出の許可は、原則として…搬入した後に行われます」と案内されています。

保税地域とは、輸出する貨物や外国から着いた貨物を置く場所として、財務大臣が指定したり税関長が許可したりした場所のことです。港のコンテナヤードや空港の貨物上屋をイメージすると近いです。

それぞれの流れを手順で知りたい方は、輸入通関の流れと輸出通関の流れで段階ごとに見ています。

通関で出す書類はどんなもの?

申告の段階では、申告書と一緒にいくつかの書類を出します。『何を用意すればいいのか分からない』と手が止まる方も多いはずです。

輸入の場合、税関の案内(カスタムスアンサー1107)で挙げられている主な書類はこちらです。

書類どんな書類かいつ要るか
仕入書(インボイス)品名・数量・価格などを書いた取引の書類基本的に毎回
包装明細書梱包ごとの中身や重さを書いた書類貨物に応じて
船荷証券など運送の契約を示す書類(航空貨物は航空貨物運送状)基本的に毎回
運賃明細書・保険料明細書運賃や保険料が分かる書類課税価格の計算に使う
他法令の許可・承認証食品や医薬品など、他の法律で手続が要る品目の書類対象の品目だけ

輸出の場合は、輸出申告書と「仕入書又は仕入書に代わる書類」が基本です。書類ごとの中身は通関に必要な書類で詳しく見ています。

先に書類を出せる仕組み

輸入には「予備審査制」があり、貨物が日本に着く前でも申告書類を税関に出せます。税関から、検査があるかどうかなどの事前通知を受けられるので、急ぎの貨物で使われます。

通関で荷物が止まって見えるのはどんな時?

『通関手続中のまま何日も動かない』という時は、だいたい4段階のどこかで待ちが出ています。

止まりやすい場面
  • 書類の中身が足りない、または貨物と合わない
  • 税関の検査に回された
  • 食品や化粧品など、他の法律の手続が済んでいない
  • 税金の納付がまだ確かめられていない

例えば食品を販売目的で輸入する時は、検疫所への届出が済んでいないと輸入は許可されません。税関の案内でも、他の法律の許可などを受けて税関に証明しないと「輸入は許可されません」とされています。

どの段階で止まっているかは、荷物を扱っている事業者や通関業者に聞くと分かることが多いです。

税関・通関業者・通関士は、それぞれ何をする人?

『税関の人が通関してくれるの?』と思う方もいますよね。実は、通関には立場の違う人が何人も関わっています。

役割の違い

税関は申告を受け付けて審査・検査・許可をする役所です。通関業者は輸出入者に代わって申告する会社で、通関士はその申告書の中身を審査する国家資格者です。

立場何をするか根拠・出典
税関申告の受付・審査・検査・許可、関税等の徴収関税法、税関の役割
輸出入者自分で申告するか、通関業者に依頼するカスタムスアンサー1101
通関業者他人の依頼を受けて申告などを代理・代行する通関業法第3条(財務大臣の許可)
通関士通関業者の申告書などを審査し記名する通関業法第14条
税関・輸出入者・通関業者・通関士の4者の役割の違いを並べた図解

税関は「適正かつ公平な関税等の徴収」「安全・安心な社会の実現」「貿易の円滑化」の3つを目標に掲げています(税関の役割)。

税関と通関の関係をもう少し詳しく知りたい方は、税関と通関の違いを読んでみてください。

通関業者と通関士の数

税関の案内によると、令和7年4月1日現在の通関業者は988社、通関業務を行う営業所は2,042か所です。

また令和8年4月1日現在、全国の通関士は8,372人です(カスタムスアンサー8101)。

申告は輸入者や輸出者が自分で行うこともできます。カスタムスアンサー1101には、通関業者に「輸入通関手続の代理・代行を依頼することもできます」と書かれています。

依頼先を選ぶ時のポイントは、通関業者とは?でまとめています。

個人の荷物の通関はどうなる?海外通販で気になる点

海外通販で買った物が届かない時、気になるのは「税金がかかるのか」と「いつ届くのか」ですよね。

個人の荷物で確かめたいこと
  • 送り方が国際郵便か、国際宅配便か、一般の貨物かを見る
  • 課税価格の合計が1万円以下かどうかを見る
  • 革製のカバンやニットの衣類など、免税にならない品目でないかを見る
  • 酒類など、消費税以外の税がかかる物でないかを見る

税関の案内では、課税価格の合計額が1万円以下の物品は関税と消費税が免税になります(カスタムスアンサー1006)。

ただし、革製のカバンや手袋、Tシャツやセーターなどの編物製衣類、革靴などは免税になりません。酒税やたばこ税も免税の対象外です。

個人で使う物は、海外小売価格に0.6を掛けた額が課税価格になる特例があります(カスタムスアンサー1405)。

制度の見直し

財務省の令和8年度税制改正の解説では、この0.6を掛ける特例は令和10年3月末をもって廃止されることになっています。2026年10月時点ではまだ現行の制度です。

国際郵便で課税価格が20万円以下なら、税関が税額を決めて郵便物と一緒に通知が届く仕組みです。20万円を超えるものは、原則として受取人が輸入申告をします。

1万円を超えたら、どのくらいの税率になる?

課税価格の合計額が20万円以下の一般輸入貨物や国際郵便物には、一般の関税率とは別の「簡易税率」が使われます(カスタムスアンサー1001)。

簡易税率は、品目を大きく6つに分けた区分とアルコール飲料の区分で決まります。例えば玩具や家具、プラスチック製品などは3%、どの区分にも当たらない物は5%です。

ただし、簡易税率には消費税と地方消費税は含まれていません。関税とは別に、消費税などがかかる点は覚えておきましょう。

個人輸入の詳しい流れは個人輸入の通関を見てみてください。

通関でよくある相談に答えます

ここでは、ネットのQ&Aサイトで多く見られた通関の相談を要約し、税関の公開情報をもとに答えます。

取り上げる相談
  • 追跡に「輸入通関申告中」と出ている。もう日本には着いている?
  • 通関士試験の自己採点で1科目だけ6割に届かない。合格基準は下がる?
  • 通関士試験の受験票の請求のしかたがよく分からない

「輸入通関申告中」は、日本に着いているということ?

追跡画面のこの表示を見て、ひとまず安心してよいのか迷う方は多いはずです。

税関の案内では、外国貨物は輸入手続が終わるまで保税地域に入れられ、輸入申告は原則として搬入後に行います。つまり一般には、日本の保税地域に着いて手続が進んでいる段階だと考えられます。

細かい状況は荷物ごとに違います。気になる時は、追跡番号を手元に用意して配送を担当している事業者に問い合わせてみてください。

自己採点で1科目だけ届かない。合格基準は下がる?

『あと少しなのに…』という気持ち、よく分かります。結論から言うと、合格基準は試験前には公表されず、合格発表の時に公表されます。

公表された例を見ると、第59回は3科目とも満点の60%以上でした。第58回は関税法等だけ満点の55%以上で、ほかの2科目は60%以上でした(財務省・税関の公表)。

年によって違うので、どうなるかは発表まで分かりません。第60回(令和8年)の合格発表は11月10日の予定で、税関ホームページに合格者の受験番号が載ります。

受験票の請求のしかたが分からない

第60回の受験案内では、受験票は税関の各官署などで入手し、写真を貼って出す形でした。NACCSで出願する場合も、受験票は書面で出す必要があります。

手順は年度で変わることがあります。受ける年の受験案内で、出し方と締切を確かめておきましょう。

通関の知識は「通関士試験」で仕事に活かせます

通関の流れが分かってくると『この仕事、自分にもできるかな』と思う方もいるかもしれません。通関の知識を仕事にしたい人には、国家資格の通関士という道があります。

通関士試験の基本

通関士試験は財務大臣が決める問題で各税関長が行い、昭和42年から毎年1回実施されています。受験資格に学歴・年齢・国籍などの制限はありません。

項目第60回(令和8年)の内容
試験日10月4日(日)
科目通関業法/関税法等/通関書類の作成要領その他通関手続の実務
方式各科目ともマークシート方式
合格発表11月10日(火)予定
合格率第59回は15.1%(財務省・税関の公表値)

出典は税関の通関士試験のページです。日程は年度で変わるので、受ける年の受験案内で確かめてください。

3科目すべてで合格基準を満たすと合格です。通関業者などで通関業務に通算5年以上たずさわった人は、通関実務の科目が免除される仕組みもあります。

合格したあと通関士として働くには、勤務先の通関業者の申請にもとづく財務大臣の「確認」が要ります。仕事の中身は通関士とは?で詳しく見られます。

通関ドットコム

通関士を目指すなら、講座を比べてみませんか

実務の申告書問題や計算問題の解説、法改正への対応など、独学では用意しにくい部分だけでも講座を使うと準備が進めやすくなります。学び方の比べ方と、資料請求で講座を選ぶ時のチェックポイントをまとめました。

講座の選び方通関士の講座の選び方を見る

当サイト内の解説ページに移動します。講座の内容・料金・受講期間は各講座の公式案内でご確認ください。

よくある質問

通関とは何ですか?

輸出や輸入をする貨物を税関に申告し、審査や必要な検査を経て、許可を受けるまでの手続です。輸入では、原則として税金を納めたことが確かめられてから許可が出ます。

通関は自分でもできますか?

はい、輸入者や輸出者が自分で申告することもできます。他人の依頼を受けて業として申告を代わりに行うには、通関業の許可が必要です。

通関には何日かかりますか?

貨物や書類、検査の有無によって変わるので、決まった日数はありません。輸入では、貨物が着く前に書類を出せる予備審査制という仕組みもあります。

通関の英語は何と言いますか?

一般にcustoms clearanceと呼ばれます。輸入通関はimport customs clearance、輸出通関はexport customs clearanceと書かれることが多いです。

まとめ

この記事の要点
  • 通関は、税関に申告し、審査と検査を経て許可を受けるまでの手続
  • 「申告・審査・検査・許可」の4段階で見ると全体がつかめる
  • 輸入は原則、保税地域に入れてから申告し、税を納めて許可を受ける
  • 個人の荷物は送り方と課税価格で手続や税金が変わる
  • 通関の知識を仕事にするなら国家資格の通関士という道がある
通関ドットコム

通関ドットコム 編集部

輸出入の通関手続の流れと用語、個人輸入や国際郵便の通関、通関士の仕事と通関士試験の科目・日程・勉強法、講座や転職の考え方までを整理している通関の情報サイトです。 公式サイト

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