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物流の仕事に就いたら、毎日のように「通関」という言葉が出てくる。でも、運ぶことと通関がどうつながっているのか、いまひとつ分からない。そんな方も多いはずです。
結論から言うと、通関は貿易の物流の途中にある「国を出る時と入る時の関所」のような手続です。
この記事では、貿易の流れを1本の線にして、通関がどこに入るのかをお話しします。
物流と通関の関係は?運ぶ流れの途中に入る手続
物流は貨物を運び、置き、届ける仕事です。
通関は、その流れの途中で、貨物を外国に出したり国内に入れたりするために税関の許可を受ける手続です。
『通関も物流の一部なの?』と聞かれると、少し迷いますよね。
関税法では、貨物を輸出や輸入しようとする人は、品名や数量、価格などを税関長に申告し、必要な検査を経て許可を受けなければならないとされています(関税法)。
つまり、物流が貨物を運んでいても、この許可がないと国境を越えられないんです。
税関が見ていること
税関は、輸出入の手続を受け付けて審査し、検査し、許可する役所です。
税関の役割のページでは、目標として「適正かつ公平な関税等の徴収」「安全・安心な社会の実現」「貿易の円滑化」の3つが挙げられています(税関の役割)。
物流の側から見ると、税関は「止める役」だけでなく、貿易をスムーズに流す役も担っているわけです。
- 船や飛行機、トラックで運ぶ
- 倉庫に置き、仕分ける
- 到着や出発の連絡を回す
- 届け先まで配送する
- 税関に輸出や輸入の申告をする
- 書類の審査や検査を受ける
- 輸入なら関税や消費税を納める
- 許可を受けて貨物を動かせるようにする
貿易の流れを1本の線で見る
貿易の流れは「契約、輸送の手配、輸出通関、輸送、輸入通関、配送」の順に進みます。
通関は、この線の中に輸出側と輸入側の2回入ります。
ここが一番イメージしにくいところですよね。1本の線にして並べてみます。
- 売主と買主が契約し、取引条件を決める
- 輸送の手配をし、貨物を港や空港の保税地域に運び込む
- 輸出通関で、輸出の申告をして許可を受ける
- 船や飛行機で相手の国へ運ぶ
- 着いた国の保税地域に入り、輸入通関で申告し、許可を受ける
- 保税地域から引き取り、届け先へ配送する

この線の上で、物流と通関がどう組み合わさっているかを表にすると次のとおりです。
| 段階 | 物流がしていること | 通関でしていること |
|---|---|---|
| 契約 | 輸送の方法や受け持つ範囲を決める | 誰が輸出通関と輸入通関を受け持つか決める |
| 輸出の前 | 工場から保税地域へ運び込む | 輸出の申告書と仕入書をそろえる |
| 輸出通関 | 船積みの準備をする | 審査や検査を受け、輸出の許可を受ける |
| 輸送 | 船や飛行機で運ぶ | 到着側の書類を準備する |
| 輸入通関 | 保税地域で保管し、到着を知らせる | 申告し、審査や検査を受け、税を納めて許可を受ける |
| 配送 | 保税地域から引き取り、届ける | 輸入許可書を示して引き取る |
輸出の申告は、貨物を保税地域に入れる前でもできますが、許可は原則として保税地域に入れた後に受けます(カスタムスアンサー5001)。
輸入では、外国から着いた貨物は手続が終わるまで保税地域に置かれ、輸入許可書を保税地域の担当者に示して引き取ります(カスタムスアンサー1102)。
細かい手順は、輸出通関の流れと輸入通関の流れで説明しています。
物流と通関をつなぐ書類
物流と通関は、書類でつながっています。現場でよく名前が出るものを並べておきますね。
| 書類 | 主な役目 | 物流と通関のどちらで使うか |
|---|---|---|
| 仕入書(インボイス) | 品名、数量、価格を示す | 通関の申告の土台になる |
| 包装明細書(パッキングリスト) | 梱包ごとの中身や数を示す | 倉庫での確認と通関の両方 |
| 船荷証券、海上運送状 | 船での運送の契約を示す | 物流と輸入の申告の両方 |
| 航空貨物運送状 | 航空便での運送の契約を示す | 物流と輸入の申告の両方 |
| 到着通知(Arrival Notice) | 貨物が着いたことを知らせる | 物流から通関へのバトン |
| 輸入許可書 | 輸入が許可されたことを示す | 通関から物流へのバトン |
輸入の申告でそろえる書類は、税関の案内でも仕入書、包装明細書、船荷証券や航空貨物運送状などが挙げられています(カスタムスアンサー1107)。
例えば、倉庫と通関の担当の間では、こんなやり取りがよくあります。
「到着通知が来ました。インボイスとパッキングリストはそろっていますか」
「パッキングリストがまだなので、送り主に催促しますね」
書類の詳しい中身は通関に必要な書類で説明しています。
通関の前後で物流がしていること
通関の前後では、保税地域での保管や、外国貨物のままの運送など、物流ならではの手続が動いています。
通関と物流は、保税地域を舞台につながっているんです。
保税地域は物流と通関の接点
『保税地域って、ただの倉庫と何が違うの?』と思いますよね。
保税地域は、輸出しようとする貨物や外国から着いた貨物を置く場所として、財務大臣が指定したり税関長が許可したりした場所です。
関税法では、外国貨物は原則として保税地域以外の場所に置けないとされています(カスタムスアンサー9203)。
| 保税地域の種類 | 主な役目 | 置ける期間 |
|---|---|---|
| 指定保税地域 | 積卸し、運搬、一時的な保管 | 1か月 |
| 保税蔵置場 | 積卸し、運搬、長期の保管 | 2年(延長可能) |
| 保税工場 | 外国貨物を原料にした加工や製造 | 2年(延長可能) |
| 保税展示場 | 外国貨物の展示や使用 | 税関長が指定する期間 |
| 総合保税地域 | 保管、加工、製造、展示をまとめて | 2年(延長可能) |
保税地域のしくみは、保税と通関で詳しく見られます。
外国貨物のまま運ぶ保税運送
港に着いた貨物を、内陸の保税地域まで運んでから通関することもあります。
この時に使うのが保税運送です。外国貨物は、税関長に申告して承認を受けると、決められた場所の間を外国貨物のまま運べます(関税法第63条)。
物流の側から見ると、「通関の前に運ぶ」という段取りもあるわけです。
船に積んだまま申告する方法もある
大量の米や石炭、輸出する完成車のように、保税地域に入れるのが現実的でない貨物もあります。
こうした貨物は、税関長の承認を受けて、外国貿易船に積み込んだ状態で申告する「本船扱い」などの方法があります(関税法第67条の2第2項)。
物流の形に合わせて、通関の方法も用意されているんですね。詳しくは本船通関とはで説明しています。
手続を簡単にする制度もある
貨物の安全管理と法令遵守の体制が整った事業者には、AEO制度で手続を簡単にする仕組みが用意されています。
例えば、AEOの特定輸出者は、保税地域に貨物を入れずに輸出申告をして許可を受けられます(カスタムスアンサー5601)。
物流の流れそのものが変わる制度なので、物流の現場でも知っておきたいところです。
誰が通関を受け持つかは取引条件で決まる
貿易の流れの中で、輸出通関と輸入通関をそれぞれ誰が受け持つかは、売主と買主の取引条件で決まります。
その共通のものさしとして使われるのがインコタームズです。
ジェトロの解説では、インコタームズは国際商業会議所(ICC)が定めた貿易取引条件の国際規則で、最新版はインコタームズ2020です(ジェトロ)。
売主と買主の義務の項目には、輸出通関と輸入通関の受け持ちも含まれています。
例えば、DAPなら輸入通関は買主、DDPなら売主が受け持つ条件です。物流の手配と通関の受け持ちが、取引条件でセットで決まるイメージですね。
- 取引条件の規則名が契約書に書かれているか確かめる
- 輸出通関と輸入通関をそれぞれ誰が受け持つか確かめる
- 運送の手配と通関の依頼先が同じか、別かを決める
- 保税地域での保管を誰が手配するか決める
取引条件ごとの違いはインコタームズと輸入通関で、輸送と通関をどこに頼むかはフォワーダーと通関業者の違いで詳しく説明しています。
通関の知識を仕事にするなら
物流の仕事をしていると、通関の書類や手続に触れる場面が増えていきます。
通関の知識を仕事にしたい人には、国家資格の通関士という道もあります。
通関ドットコム
通関士を目指すなら、講座を比べてみませんか
実務の申告書問題や計算問題の解説、法改正への対応など、独学では用意しにくい部分だけでも講座を使うと準備が進めやすくなります。学び方の比べ方と、資料請求で講座を選ぶ時のチェックポイントをまとめました。
講座の選び方通関士の講座の選び方を見る当サイト内の解説ページに移動します。講座の内容・料金・受講期間は各講座の公式案内でご確認ください。
物流と通関のよくある相談
物流や貿易の仕事をする人からは、資格についての相談がよく寄せられます。
国家資格の通関士と、民間検定の貿易実務検定は性格が違います。
Yahoo!知恵袋でよく見られている相談を要約して、答えていきます。
『通関士と貿易実務検定は、未経験でも独学で取れる?』
通関士試験には、学歴や年齢、経歴、国籍などの制限はなく、誰でも受けられます(税関 通関士試験)。
貿易実務検定は民間の検定で、通関士は財務省が行う国家試験です。どちらから受けるかの考え方は通関士と貿易実務検定の違いで比べています。
『貿易の商社で、通関士の資格は役に立つ?』
通関士として通関業務に就くには、勤務先の通関業者の申請に基づく財務大臣の確認が要ります。
ただ、商社やメーカーの貿易部門でも、取引条件や通関の書類を理解する場面は多いです。資格の勉強で身につく知識は、物流と通関のつながりを理解する助けになります。
『未経験の若い人が、いきなり通関士になれる?』
試験は誰でも受けられますが、通関士として働くには、合格したうえで通関業者に勤めて確認を受ける流れになります。
未経験からの道筋は、未経験から通関の仕事に就くにはで順番に説明しています。

よくある質問
物流と通関は別の会社が受け持つのですか?
別の会社のこともあれば、1社がまとめて受け持つこともあります。通関を他人から頼まれて行うには財務大臣の許可が要るので、通関を受け持つ会社が許可を持つか確かめてみてください。
通関は貿易の流れの中で何回ありますか?
基本的には、輸出する国での輸出通関と、輸入する国での輸入通関の2回です。日本側でどちらを受け持つかは取引条件で決まります。
物流の仕事でも通関の知識は役に立ちますか?
役に立つ場面は多いです。書類がそろわない、検査で止まった、といった時に、通関のどの段階で何が起きているかが分かると、倉庫や配送の段取りを先回りして組めます。
保税地域はどこにありますか?
港や空港のそばのほか、内陸にある場合もあります。貨物が着く場所を管轄する税関や、依頼する通関業者に確かめてみてください。
まとめ
- 物流は運ぶ流れ、通関はその途中で税関の許可を受ける手続
- 貿易の流れは契約、輸送の手配、輸出通関、輸送、輸入通関、配送の順
- 物流と通関は保税地域でつながっている
- 誰が通関を受け持つかは取引条件で決まる
まずは自分の関わる貨物が、1本の線のどこにいるのかを意識してみてください。通関そのものの流れは通関とはでまとめています。





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