当サイトの記事は編集部が財務省・税関など公的機関の公開情報を調べて独自に執筆しています。記事内に資格講座・転職サービスへの案内(広告)を含みます。
海外通販で買った荷物の追跡に「簡易通関」や「一般通関」と出て、税金がかかるのか不安になっていませんか。
結論から言うと、個人輸入の荷物は「課税価格の合計額が1万円以下か」「20万円以下か」で、税金のかかり方と手続が大きく変わります。
この記事を読めば、自分の荷物が免税・簡易税率・一般の税率のどれになりそうかを、税関の公表している基準で見当をつけられます。
個人輸入の通関はどう進む?送り方で3つに分かれます
個人輸入の通関は、国際郵便・国際宅配便・一般の貨物のどれで届くかで、手続をする人が変わります。まずは自分の荷物がどの送り方なのかを確かめましょう。
そもそも「個人輸入」には、法令上の定義はありません。
税関の案内では、一般的に「外国の製品を個人で使用することを目的として、海外の通信販売会社、小売店、メーカー等から、個人が直接購入すること」といわれていると説明されています(カスタムスアンサー3001)。
自分で使う物を海外から直接買う、というイメージで大丈夫です。
| 送り方 | 通関の手続をする人 | 税金の払い方の目安 |
|---|---|---|
| 国際郵便 | 税関が検査し、税額を決める(課税価格20万円以下の場合) | 配達の時に郵便局へ払うことが多い |
| 国際宅配便 | 通常は宅配便の事業者が代行 | 事業者から請求される。代行手数料がかかることもある |
| 一般の貨物(船便・航空便) | 受取人が自分で申告するか、通関業者に頼む | 申告して税金を納めてから引き取る |
この表はカスタムスアンサー3002の説明をもとに、通関ドットコム編集部でまとめたものです。
国際郵便で届く時の税金の払い方
国際郵便で課税価格が20万円以下の荷物は、税関が税額を決めます(カスタムスアンサー1301)。
税金の合計額が1万円以下の場合などは、国際郵便物課税通知書と納付書が荷物と一緒に配達されます。
配達の時に郵便局に納める形なので、受け取る側が自分で申告書を書く場面はほとんどありません。
国際宅配便では、税金とは別に代行手数料が必要になることがあるので、金額は事業者に確かめてみてください。
送り方ごとの細かい違いは、国際宅配便(クーリエ)の通関と国際郵便の通関で詳しく説明しています。
免税・簡易税率・一般の税率はどう決まる?判定フローで確かめる
『結局、自分の荷物に税金はかかるの?』というのが一番知りたいところですよね。
ここでは税関の公表している金額基準をもとに、個人輸入の荷物を3つに振り分ける判定フローを作りました。
- 自分で使う物かを確かめる(使う物なら、課税価格は海外小売価格の6割で考える)
- 1つの申告(郵便物なら1つの包装)の課税価格の合計額が1万円以下か見る。以下なら関税と消費税は原則免税
- 1万円を超えたら、課税価格の合計額が20万円以下か見る。以下なら簡易税率の対象になりうる
- 20万円を超えた時や、簡易税率が使えない品目の時は、一般の税率で計算する
順番に見ていきます。
自分で使う物は「海外小売価格の6割」で考える
個人で使う物を小売の段階で買った時は、海外小売価格に0.6を掛けた額を課税価格にします(カスタムスアンサー1405)。
ここでいう海外小売価格は、原則として実際に支払った価格のことです。
つまり、自分用に買った物は、支払った額そのままではなく、その6割で1万円以下かどうかを見るんです!
財務省の税制改正の解説でも、この特例によって販売価格が16,666円以下の貨物が少額免税の対象とされてきた、と書かれています。
1万円以下なら関税と消費税は原則免税
課税価格の合計額が1万円以下の物品は、関税と消費税が免税になります(カスタムスアンサー1006)。
判断のしかたは、1つの申告ごとの合計額です。
郵便物の場合は、1つの包装に入っている物の課税価格の合計額で見ます。
1つのインボイスの荷物を分けて申告しても、インボイスに載っているすべての物を合計して判断されます。
革製のカバン・ハンドバッグ・手袋、編物製の衣類(Tシャツ・セーターなど)、スキー靴、革靴や本底が革製の履物などは、少額でも免税になりません。また、酒税やたばこ税のような消費税以外の税は、1万円以下でも免税にならないので注意しましょう。
20万円以下なら簡易税率の対象になりうる
課税価格の合計額が20万円以下の一般輸入貨物と国際郵便物は、一般の関税率とは別の簡易税率が使われます(カスタムスアンサー1001)。
簡易税率は品目を大きく6つの区分とアルコール飲料の区分に分けて、税率を決める仕組みです。
| 簡易税率の区分の例(カスタムスアンサー1001の表より) | 税率 |
|---|---|
| コーヒー(煎ったもの)、茶(紅茶を除く) | 15% |
| 玩具、家具、プラスチック製品など | 3% |
| ゴム・紙・陶磁製品、鉄鋼など | 無税 |
| 上のどれにも当てはまらない物 | 5% |
ただし、ミルクやクリーム、豆類、穀物、たばこ、革製品、ニット製の衣類、履物などは簡易税率の対象外です。
また、簡易税率には消費税と地方消費税は含まれていません。関税とは別に、消費税もかかると考えておきましょう。
ケース別に当てはめてみると
判定フローを、よくある買い物の場面に当てはめてみます。
| こんな買い物の場合 | 判定の目安 |
|---|---|
| 自分用の雑貨を少しだけ買った | 6割にした額で1万円以下なら、関税と消費税は原則免税 |
| 自分用の革の財布を買った | 1万円以下でも免税にならない品目なので、税金がかかる |
| 自分用にお酒を1本取り寄せた | 1万円以下でも酒税はかかる |
| 家具をまとめて注文し、合計が20万円以下 | 簡易税率(家具は3%の区分)と消費税で計算される見込み |
| 高額な機械を買い、20万円を超えた | 一般の関税率と消費税で計算する |
あくまで目安なので、正確な税額は税関の計算で決まります。
『ギリギリ1万円以下のはず』と思っても、送料の扱いなどで変わることがあるので、余裕を持って考えておきましょう。
20万円を超えたら一般の税率
20万円を超えた荷物や、簡易税率が使えない品目は、一般の関税率で計算します。
関税と消費税の計算の流れは、通関でかかる関税と消費税で詳しく紹介しています。

簡易通関とは?追跡に出る「簡易通関」「一般通関」の見方
追跡画面で「簡易通関」という言葉を見て、何のことか分からず検索した方も多いはずです。
実は、税関の資料に出てくる「簡易」な扱いはいくつかあって、それぞれ対象が違います。
| 税関の資料での名前 | 対象の目安 | どこが簡単になるか |
|---|---|---|
| 少額貨物簡易通関扱い | 申告書の品名欄の各欄の課税価格が20万円以下 | 申告種別符号などの記載を省略できる |
| Air-Waybill等による輸入申告 | 品目ごとの課税価格が20万円以下 | 航空貨物運送状や仕入書を申告書の代わりに使える |
| マニフェスト通関 | 航空貨物の混載で、課税価格1万円以下の無条件免税になる貨物など | 積荷の一覧(マニフェスト)を添えてまとめて申告できる |
| 海上小口貨物に係る簡易通関 | 海上の通販貨物で、課税価格1万円以下の免税対象など | 税番・税率・税額などの申告項目を一部省略できる |
出典はカスタムスアンサー1002・1003・1005・1007です。
追跡に出る「簡易通関」は、配送している事業者が自分の画面で使っている言葉です。
どの扱いを指しているのかは、事業者ごとに違う可能性があります。
「簡易通関から一般通関に変更」と出たら
マニフェスト通関を例にすると、使えるのは次の条件をすべて満たす貨物だけです。
- 混載の運送状ごとに、課税価格1万円以下の無条件免税が使える
- 消費税以外の内国消費税(酒税など)がかからない
- 他の法律の許可や確認が要らない
- 原産地を偽った表示などがない
この条件から外れると、まとめた申告ではなく、1件ずつの申告に切り替わることが考えられます。
例えば、課税価格が1万円を超えていた、あるいは品目の確認が必要になった、という場合です。
マニフェスト通関の仕組みはマニフェスト通関とは?で詳しく説明しています。
「特別通関」という言葉で調べる方もいますが、この記事で参照した税関の資料には、その名前の手続は出てきません。追跡やメールでこの言葉を見たら、どの手続のことか配送の事業者に確かめてみてください。
越境ECの通関はこれから変わる|0.6掛けの特例は廃止へ
海外通販サイトでの買い物、いわゆる越境ECの荷物は年々増えていますよね。
その流れを受けて、少額の輸入貨物の扱いを見直すことが、令和8年度の税制改正で決まっています。
| 時期 | 決まっていること(財務省の公表資料より) |
|---|---|
| 令和7年10月12日から | 輸入申告の項目に、国内の運送先・通信販売の貨物かどうか・プラットフォームの名前などが加わった |
| 令和9年10月1日から | 特定少額資産販売事業者の登録の申請を出せるようになる(経過措置) |
| 令和10年3月末 | 個人で使う物の課税価格を海外小売価格の6割にする特例が廃止 |
| 令和10年4月1日以後 | 少額免税は、課税価格の合計額が1万円以下かどうかで判定する |
出典は財務省「令和8年度税制改正の解説」とカスタムスアンサー1106です。
消費税は「売る時」にかける形に
令和8年度税制改正の大綱の概要では、国境を越えた通信販売のうち1万円以下の少額輸入貨物の販売を、消費税の課税の対象にするとしています。
あわせて、プラットフォーム事業者に消費税の納税義務を移す「プラットフォーム課税」も入ります。
ただ、輸入の時の消費税の少額免税の制度そのものは維持される、と解説にあります。
関税の1万円以下の免税や簡易税率そのものは、今後の検討課題とされていて、廃止は決まっていません(2026年10月時点の公表資料)。施行の前後で扱いが変わるので、買う時期の制度を税関の案内で確かめましょう。

越境ECの通関は、これから数年で手続も考え方も変わっていきます。
『前は免税だったのに、今回は税金がかかった』ということも起こりうるので、制度が変わる時期は覚えておくと安心です。
免税にならない・止まりやすい荷物はある?
『安い物しか買っていないのに、なぜか止まった』という声もよく聞きます。
金額とは別の理由で、手続が増える荷物があるんです!
| 荷物の種類 | 何が起きやすいか | 確かめる先 |
|---|---|---|
| 革製品・ニット製の衣類・履物 | 1万円以下でも免税にならず、簡易税率も使えない | 税関の案内(カスタムスアンサー1006・1001) |
| お酒 | 1万円以下でも酒税は免除されない | 税関の案内(カスタムスアンサー3105) |
| 化粧品 | 標準サイズで一品目24個を超えると輸入確認証が要る | 地方厚生局(カスタムスアンサー1806) |
| 販売用の食品 | 量に関係なく、検疫所への届出が要る | 厚生労働省の検疫所 |
お酒は、総量が10kg以下で個人で使うと認められる場合などは、食品衛生法の届出は要らないとされています(カスタムスアンサー3105)。
化粧品は、自分で使うことが明らかで標準サイズ一品目24個以内なら、輸入確認証は要りません(カスタムスアンサー1806)。
自分用のつもりで同じ物をたくさん買うと、販売目的と見られて手続が増えることがあります。量が多い時は、注文する前に税関や関係する役所の案内を読んでおきましょう。

止まった荷物の調べ方は、通関が遅いのはなぜ?荷物が止まる主な理由も参考にしてみてください。
よくある相談|海外通販の荷物が止まった時
海外通販の荷物については、似た相談がたくさん寄せられています。
特に多い3つを取り上げて、考え方をお答えします。
相談1:「簡易通関から一般通関に変更」「製品情報に不備」と出た
海外通販で服を買ったら、追跡にこう出て止まってしまった、という相談です。
『没収されて届かないってこと?』と不安になりますよね。
この表示だけで、没収や返送が決まったとは言えません。
先ほど説明したように、まとめた申告の条件から外れて、1件ずつの申告に回ったことが考えられます。
「製品情報に不備」が具体的に何を指すのかは、表示を出している事業者に聞かないと分かりません。
配送の事業者から連絡が来ていないか確かめて、求められた情報(品名・数量・支払った額が分かる画面など)を出しましょう。
相談2:空港で何日も止まっている。どこに問い合わせればいい?
『もう5日も動かない。税関に電話すればいいの?』という相談も多いです。
最初の窓口は、配送している事業者です。
国際宅配便なら事業者、国際郵便なら郵便局に、追跡番号を伝えて状況を聞いてみてください。
「追跡番号はこれです。通関手続中のまま止まっていますが、こちらで出す書類はありますか?」
このように、出すべき物があるかを具体的に聞くと話が早く進みます。
相談3:海外に送った荷物で「簡易通関申請」を求められた
日本から海外に送ったEMSで、相手の国の税関から簡易通関の申請を求められた、という相談もあります。
これは日本ではなく、相手の国の通関のルールです。
申請のしかたは相手の国の税関や郵便の案内に従うことになるので、受取人と連絡を取りながら進めてみてください。
「そっちに案内書が届いたら、写真を送ってくれる?中身と値段はこちらで書き出しておくね」
こんなふうに、送った側が中身の情報を用意しておくと手続が進めやすくなります。
通関の知識を仕事にしたい方へ
個人輸入をきっかけに、通関の仕組みそのものに興味を持つ方もいます。
通関の知識を仕事にしたい人には、国家資格の通関士という道もあります。
どんな資格なのかは通関士とは?仕事内容と国家資格としての役割で紹介しています。
通関ドットコム
通関士を目指すなら、講座を比べてみませんか
実務の申告書問題や計算問題の解説、法改正への対応など、独学では用意しにくい部分だけでも講座を使うと準備が進めやすくなります。学び方の比べ方と、資料請求で講座を選ぶ時のチェックポイントをまとめました。
講座の選び方通関士の講座の選び方を見る当サイト内の解説ページに移動します。講座の内容・料金・受講期間は各講座の公式案内でご確認ください。
よくある質問
簡易通関なら税金はかからないのですか?
いいえ、そうとは限りません。簡易通関は申告の手間が少ない扱いのことで、税金の有無とは別の話です。課税価格の合計額が1万円以下で免税になる物以外は、簡易税率や一般の税率で税金がかかります。
1万円以下かどうかは、支払った金額で判断しますか?
自分で使う物は、海外小売価格(実際に支払った価格)の6割を課税価格として判断します。ただし、この特例は令和10年3月末で廃止される予定です。
越境ECの通関は令和10年4月からどう変わりますか?
少額免税は、課税価格の合計額が1万円以下かどうかで判定するようになります。あわせて、1万円以下の少額輸入貨物の販売に消費税がかかる仕組みに変わります。
同じお店で2回に分けて注文すれば、どちらも1万円以下になりますか?
免税の判断は1つの申告ごとですが、1つのインボイスの荷物を分けて申告しても、インボイスに載った物をすべて合計して判断されます。税金を避ける目的で分けるのはやめましょう。
関税の計算に使う為替レートはいつのものですか?
輸入申告の日の属する週の前々週の実勢相場の平均をもとに、税関長が毎週公示するレートを使います。
まとめ
- 個人輸入の通関は、郵便・国際宅配便・一般の貨物で手続をする人が変わる
- 自分で使う物は、海外小売価格の6割を課税価格にする
- 課税価格の合計額が1万円以下なら関税と消費税は原則免税、20万円以下なら簡易税率の対象になりうる
- 簡易通関は申告の手間が少ない扱いのことで、税金がかからないという意味ではない
- 越境ECの通関は、令和10年3月末の0.6特例の廃止などで変わっていく





コメント