通関業者とは?通関会社の役割と依頼する前に確かめること

通関会社(通関業者)の役割と依頼前の確認事項を解説する記事のアイキャッチ

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初めての輸入で「通関会社に頼んでおいて」と言われたけれど、そもそも何をしてくれる会社なのか分からない。そんな方も多いはずです。

結論から言うと、通関会社は、輸出入の申告などを荷主に代わって行うことを財務大臣から許可された会社です。法律上は「通関業者」と呼ばれます。

この記事では、通関会社が受け持つ仕事の範囲と、依頼する前に確かめておきたいことをお話しします。

目次

通関会社(通関業者)とは?税関への手続を代わりに行う会社

先に結論

通関会社とは、他人から頼まれて、税関への輸出入の申告や関税の納付などの手続を代わりに行う会社です。
この仕事を「通関業」といい、営むには財務大臣の許可が要ります。

税関の案内では、通関業は次のように説明されています。

他人の依頼を受けて税関官署に対してする輸出又は輸入の申告、関税の納付、不服申立て等の手続について、輸出入者に代わって代理・代行することを業として行うことを通関業といいます。

出典:税関 カスタムスアンサー9103

ここで大事なのは「他人の依頼を受けて」という部分です(カスタムスアンサー9103)。

自分の会社の貨物を自分で申告するだけなら、通関業の許可は要りません。人から頼まれて業として行う時に、許可が必要になるんです。

財務大臣の許可を受けた会社だけが営める

通関業法第3条第1項では、通関業を営もうとする者は財務大臣の許可を受けなければならない、と定めています(通関業法)。

許可をした時は公告され、許可証が交付される仕組みです。

『通関会社って、物流会社なら誰でも名乗れるの?』と思う方もいるかもしれません。

実際には、許可を受けた会社だけが他人の通関業務を引き受けられます。

全国にどれくらいある?

税関の案内では、令和7年4月1日現在で通関業者は988社、通関業務を行っている営業所は2,042か所とされています(カスタムスアンサー9104)。

物流会社や倉庫会社が通関業の許可も持っている場合もあれば、通関を専門にしている会社もあります。

呼び方について

「通関会社」「通関業者」「乙仲」など、現場ではいろいろな呼び方をします。
この記事では、法律の言葉に合わせて「通関業者」を基本にしつつ、通関会社という呼び方も同じ意味で使います。

通関会社が受け持つ仕事の範囲

先に結論

通関会社の仕事は、申告の代理だけではありません。
通関書類の作成や、申告の前後にある関連の手続まで受け持ちます。

『申告書を税関に出すだけの会社でしょ?』と思われがちですが、実はもう少し幅が広いんです。

税関の案内では、通関業務と、それに関連する業務が次のように整理されています(カスタムスアンサー9105)。

区分主な中身荷主から見た意味
通関手続の代理・代行輸出入の申告、関税の納付など税関への申告を任せられる
不服申立ての代理税関の処分に不服がある時の手続判断に納得できない時の相談先になる
主張・陳述の代行税関に対して説明する場面検査や審査の時の説明を任せられる
通関書類の作成申告書などの作成書類づくりの手間が減る
関連業務事前教示の照会、保税運送の申告、本船扱いの申請、他法令の許可や承認の申請など申告の前後の手続もまとめて頼める

例えば、輸入の許可前に貨物を引き取るBPの申請も、通関手続に含まれるとされています(カスタムスアンサー9105-2)。

外国へ行き来する船や飛行機に船用品を積み込む申告も、通関手続の一つです。

申告書には通関士の審査と記名が入る

通関会社の中で、申告の中身をチェックするのが通関士です。

通関業法第13条では、通関業者は営業所ごとに通関士を置くこととされています。一定の種類の貨物に限った許可の場合は別の扱いです。

さらに第14条では、通関書類などについて、通関士に内容を審査させ、記名させることになっています。

つまり、通関会社に頼むことは、通関士のチェックを通った書類で申告するということでもあるんですね。

通関会社が受け持つ通関業務と関連業務の範囲をまとめた図解

通関会社に頼む場面と自分で申告する場面

先に結論

輸入申告は、本来は貨物を輸入する人自身が行うものです。
それを通関会社に任せるか、自社で行うかを選べます。

税関の案内では、輸入申告は貨物を輸入しようとする者が行うことになっていて、通関業者に代理・代行を頼むこともできると説明されています(カスタムスアンサー1101)。

ですから、『通関会社に頼まないと輸入できない』というわけではないんです。

通関会社に頼む
  • 書類の作成や税関とのやり取りを任せられる
  • 他法令の手続などもまとめて頼める
  • 品目や制度に詳しい人の判断を借りられる
  • 社内に申告の体制を作らなくて済む
自社で申告する
  • 社内に申告の知識と体制が要る
  • 申告の内容に自社で責任を持つ
  • 件数が多いと担当者の負担が増える
  • 仕組みを持てば社内で状況を把握しやすい

どんな時に通関会社へ相談すると楽になる?

『うちは件数が少ないけど、頼むほどのことなのかな』と迷う方もいますよね。

次のような状況なら、まず通関会社に相談してみると話が早いです。

状況通関会社に相談すると楽になる理由
初めて輸入する品目がある税率の分類や必要な書類の見通しを一緒に立てられる
食品や化粧品など他法令が関わる届出や許可の書類をそろえる順番を聞ける
到着の予定が急に早まった予備審査など、早めに書類を出す方法を相談できる
税関検査になった検査の段取りや立会いを任せられる
取引先から書類が届かない何が足りないかを具体的に教えてもらえる

例えば、最初の電話でこんなふうに切り出すと伝わりやすいです。

「来月、初めて雑貨を輸入します。どの書類をそろえればいいか、一度相談できますか」

相談の段階で、貨物の中身と届く港を伝えておくと、必要な書類の見通しまで教えてもらいやすくなります。

自社で申告する時の準備や向いている会社は、自社通関と通関業者に頼む場合の違いで比べています。

国際宅配便や郵便はどうなる?

個人で海外通販を使うと、自分では通関会社に頼んだ覚えがないのに、通関の表示が出てくることがありますよね。

国際宅配便を使った場合は、通常、通関手続は業者が代行し、税金とは別に代行手数料が必要になることがあると案内されています(カスタムスアンサー3002)。

国際郵便の場合は、課税価格が20万円以下の郵便物について、税関が税額を決めて配達の時に納める仕組みがあります(カスタムスアンサー6101)。

送り方通関の担い手確かめる先
国際宅配便通常は宅配便の事業者が代行事業者の追跡ページや窓口
国際郵便税関が検査し、税額を決める郵便局や税関の外郵出張所
一般の貨物受取人が申告するか通関業者に頼む依頼した通関業者や税関

運ぶ手配と通関をどう分けて頼むかは、フォワーダーと通関業者の違いを見てみてください。

通関会社に依頼する前に確かめたいこと

先に結論

通関会社を選ぶ時は、料金だけでなく、どの税関で申告できるか、自社の品目に慣れているか、他法令の手続まで頼めるかを見ておきましょう。

『どこに頼んでも同じでしょ?』と思うかもしれません。ただ、品目や港によって得意不得意があるので、依頼の前に確かめておくと安心なんです。

依頼前のチェックリスト

通関会社に依頼する前のチェック
  • 財務大臣の許可を受けた通関業者かを確かめる
  • 貨物が着く港や空港を管轄する税関で申告できるかを聞く
  • 自社と同じような品目を扱った経験があるかを聞く
  • 食品の届出など、他法令の手続まで頼めるかを確かめる
  • AEOの認定通関業者かどうかを確かめる
  • 料金表を見せてもらい、追加料金が出る場面を聞く
  • 急ぎの時の連絡方法と、担当者の窓口を決めておく

それぞれの項目を、少しだけ補足しておきますね。

申告できる税関と申告官署の自由化

輸入申告は、原則として貨物を置く保税地域を所轄する税関に行います(カスタムスアンサー1102)。

ですから、自社の貨物がどこに着くかを伝えて、その税関での申告に慣れているかを聞いておくと話が早いです。

一方で、AEOの認定通関業者には、申告する税関を自由に選べる「申告官署の自由化」などの仕組みがあります(カスタムスアンサー9106)。

AEOの認定通関業者とは

AEO制度は、貨物の安全管理と法令遵守の体制が整った事業者を税関が認定し、手続を簡単にする制度です(税関 AEO制度)。

税関のページでは、2026年9月2日現在、AEOの通関業者は265者とされています。

認定を受けた通関業者には、特例委託輸入申告などの仕組みが用意されています。制度の全体はAEO制度とはで詳しく見られます。

料金表の見方

通関業法第18条では、通関業者は料金の額を営業所に掲示することになっています。

インターネットで掲示する場合は、そのURLを営業所に示す決まりです(通関業法基本通達)。

料金表で「何を1件と数えるか」「実費は別か」を見ておくと、見積もりを比べやすくなります。費用の内訳は通関費用の内訳で詳しく見られます。

よくある失敗

品名や数量があいまいなインボイスのまま依頼して、確認のやり取りで時間がかかってしまう。
依頼の前に、品名、数量、単価、原産国をそろえておくだけで手続はぐっと進みやすくなります。

依頼の時に伝えることの手順

通関会社に渡すインボイスやパッキングリストを事前にそろえる様子
初めて通関会社に依頼する時の流れ
  1. 品名、数量、単価、原産国、輸送方法をまとめる
  2. 貨物が着く港や空港と、到着の予定日を伝える
  3. 料金表と見積もりをもらい、追加料金の条件を確かめる
  4. インボイスやパッキングリストなどの書類を渡す
  5. 税関の審査や検査の結果と、許可の連絡を受け取る

例えば、最初の問い合わせではこんな聞き方をすると話が進みやすいです。

「食品の輸入を考えています。検疫所への届出から申告まで、まとめてお願いできますか」

「はい、届出の書類をそろえていただければ代行できます。到着の予定はいつですか」

通関会社で働く人と通関士の関係

先に結論

通関会社には、国家資格の通関士と、通関士以外の通関業務の従業者がいます。
通関士として働くには、試験に合格したうえで、勤務先の申請に基づく財務大臣の確認が要ります。

依頼する側として通関会社を調べているうちに、『ここで働くのってどんな仕事なんだろう』と気になった方もいるかもしれません。

税関の案内では、通関士とは、通関士試験に合格した人のうち、勤務先の通関業者の申請に基づく財務大臣の確認を受けて通関業務に従事する人とされています(カスタムスアンサー8001)。

令和8年4月1日現在、全国の通関士は8,372人、通関士以外の通関業務従業者は8,573人で、合計16,945人です(カスタムスアンサー8101)。

立場主な役割必要なこと
通関士通関書類の内容を審査し、記名する通関士試験の合格と財務大臣の確認
通関業務の従業者書類の準備や税関とのやり取りを担う勤務先の通関業者での業務
営業や手配の担当荷主との窓口、輸送や倉庫の手配会社ごとの役割分担による

通関会社での1日の流れは通関士の仕事内容で、合格後の確認の流れは通関士になるまでで紹介しています。

通関の知識を仕事にしたいなら

依頼する側として通関の仕組みを知ると、それ自体を仕事にしたいと思う方もいます。

その場合は、国家資格の通関士を目指すのが一つの道です。

独学で進めるか、講座を使うかは、生活のリズムや得意な学び方で選んでかまいません。

市販のテキストと過去問で自分のペースを作れる人なら、独学でも十分に進められます。

一方で、通関実務の計算問題や申告書の問題の解き方を解説してほしい人、法改正の情報を追うのが大変な人、仕事が忙しく勉強時間が限られる人には、講座が役立つ場面が多いです。

迷った時は、通関士の講座の選び方と独学の進め方を見比べてみてください。

通関ドットコム

通関士を目指すなら、講座を比べてみませんか

実務の申告書問題や計算問題の解説、法改正への対応など、独学では用意しにくい部分だけでも講座を使うと準備が進めやすくなります。学び方の比べ方と、資料請求で講座を選ぶ時のチェックポイントをまとめました。

講座の選び方通関士の講座の選び方を見る

当サイト内の解説ページに移動します。講座の内容・料金・受講期間は各講座の公式案内でご確認ください。

通関会社のよくある相談

先に結論

通関会社についての相談は、「荷物の表示が止まった」「働く時の資格の扱い」「入ってみたら仕事が違った」の3つが目立ちます。

Yahoo!知恵袋でよく見られている相談を要約して、答えていきます。

『通関会社から配送業者への引渡し待ちのまま、表示が動かない』

海外通販の荷物で、通関が終わった後の表示のまま更新されないという相談です。

この表示なら、税関の手続は終わっていて、国内の配送の段階で止まっている可能性があります。

まずは追跡番号で、国内の配送業者のページに切り替わっていないか見てみましょう。それでも分からない時は、販売した店や配送業者の窓口に聞くのが早いです。

止まる理由の全体は通関が遅い時に荷物が止まる理由で詳しく説明しています。

『派遣で通関会社に勤めていても、通関士の確認は受けられる?』

通関士の確認は、勤務先の通関業者の申請に基づいて財務大臣が行う仕組みです。

雇用の形でどう扱われるかは、勤務先の通関業者や受験地の税関に確かめるのが確実です。

『会社が手続してくれるはず』と思い込まず、合格した段階で勤務先の担当者に聞いておきましょう。

『通関部に配属されたら、イメージと全然違った』

通関会社の仕事は、申告書を作るだけではありません。

荷主や運送の担当者との連絡、書類の不足の確認、税関とのやり取りなど、調整の仕事も多いんです。

イメージと違って戸惑うのは自然なことです。まずは仕事の流れを全体で知っておくと、自分が今どこを担当しているかが見えやすくなります。

通関会社に依頼する前に確かめるチェックリストの図解

よくある質問

通関会社と通関業者は同じ意味ですか?

現場では同じ意味で使われることが多いです。法律上の呼び方は通関業者で、財務大臣の許可を受けて通関業を営む会社を指します。

通関会社に頼まないと輸入できませんか?

いいえ。輸入申告は貨物を輸入する人自身が行えます。通関会社に頼むのは、その代理や代行を任せる形です。

通関会社の料金はどこで分かりますか?

通関業者は料金の額を営業所に掲示することになっています。インターネットで掲示している場合もあるので、見積もりと合わせて確かめてみてください。

通関会社で働くのに通関士の資格は要りますか?

通関士以外の通関業務の従業者も働いています。ただ、通関書類の審査と記名は通関士の役割なので、資格があると任される仕事の幅が広がります。

まとめ

この記事の要点
  • 通関会社は、他人の依頼で税関への手続を代わりに行う会社で、財務大臣の許可が要る
  • 仕事の範囲は申告の代理だけでなく、書類の作成や関連業務まで広い
  • 通関書類は通関士が審査し、記名する
  • 依頼の前に、申告できる税関、品目の経験、他法令の代行、AEO、料金表を確かめる
  • 輸入申告は自社で行うこともでき、通関会社に頼むかは選べる

通関会社に頼む前に、まずは自社の貨物と取引条件を書き出しておきましょう。通関の流れ全体は通関とはでまとめています。

通関ドットコム

通関ドットコム 編集部

輸出入の通関手続の流れと用語、個人輸入や国際郵便の通関、通関士の仕事と通関士試験の科目・日程・勉強法、講座や転職の考え方までを整理している通関の情報サイトです。 公式サイト

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