輸入通関の流れ|申告から許可・引取りまでの手順と書類

輸入通関の流れを解説する記事のアイキャッチ。港のコンテナヤードと書類を確認する手元

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初めて海外から商品を仕入れることになり、輸入通関で何をすればいいのか分からない。そんな不安を抱えている方は多いですよね。

結論から言うと、輸入通関は書類を揃える・申告・審査と検査・納税・許可と引取りの5段階で進みます。どの段階で止まりやすいかを知っておくと、先回りして準備ができます。

この記事を読むと、輸入通関の手順と書類、段階ごとにつまずきやすい点と、その防ぎ方が分かります。

目次

輸入通関とは?まず流れを先に見ておきましょう

先に結論

輸入通関は、外国から着いた貨物を税関に申告し、審査や検査を受け、税金を納めて輸入の許可を受けるまでの手続です。許可が出ると、保税地域から国内に貨物を引き取れます。

税関の案内(カスタムスアンサー1101)では、この一連の手続を「輸入通関手続」と呼んでいます。輸出入通関のうち、日本に物を入れる側の手続です。

貨物が日本に着いてから引き取るまでの流れは、税関の案内(カスタムスアンサー1102)をもとにすると次のようになります。

到着から引取りまでの流れ
  1. 船会社・航空会社・フォワーダーから到着通知(Arrival Notice)が届く
  2. 船荷証券などの運送の書類を受け取る
  3. 仕入書などと一緒に、保税地域を管轄する税関に輸入申告をする
  4. 税関が書類を審査し、必要なら貨物を検査する
  5. 関税などの税金を納め、輸入の許可を受ける
  6. 輸入許可書を保税地域の担当者に見せて、貨物を引き取る

ここが大事なところです。外国から着いた貨物は、輸入の手続が終わるまで保税地域に置かれます。許可が出るまでは、たとえ自分の商品でも自由に動かせないんです。

『そもそも通関って何?』というところから知りたい方は、通関とは?を先に読んでみてください。

5段階で見る、止まりやすい原因と先回りできること

『輸入通関の手順は分かったけど、どこで止まるのかが知りたい』という方も多いはずです。そこで、輸入通関を5つの段階に分けて、止まりやすい原因と輸入者が先にできることを表にしました。

段階主にすること止まりやすい原因輸入者が先回りできること
1. 書類を揃える仕入書・包装明細書・船荷証券などを集める書類が足りない、記載が貨物と合わない出荷前に売手と書類の中身をすり合わせる
2. 申告品名・数量・価格などを税関に申告する品目の分類や課税価格の計算に迷う運賃や保険料の内訳を先に手に入れる
3. 審査と検査税関が書類を見て、必要なら現物を確かめる検査に回る、他の法律の手続が済んでいない予備審査制を使う、他法令の手続を先に済ませる
4. 納税関税・消費税・地方消費税を納める納付が確かめられるまで許可が出ない納付の方法と資金を事前に決めておく
5. 許可と引取り輸入許可書を見せて貨物を引き取る引取りの手配が遅れて保管が長引く国内の運送の手配を許可前に済ませる

この表は、税関の公開情報をもとに編集部がまとめたものです。全部の貨物がすべての段階で止まるわけではありません。

輸入通関を書類・申告・審査と検査・納税・許可と引取りの5段階に分け、各段階で止まりやすい原因と先回りできることを示した図解

一番効くのは、1段目の書類です。書類がそろっていて中身が貨物と合っていれば、2段目以降の待ちもぐっと減ります。

通関で止まる理由をもっと詳しく知りたい時は、通関が遅いのはなぜ?も参考にしてみてください。

個人の荷物の輸入通関は、手続の進み方が違います

ここまでは会社が貨物を輸入する場合の流れです。海外通販で買った物など個人の荷物は、送り方によって手続の進み方が変わります。

送り方誰が手続を進めるか税金の決まり方
国際郵便(課税価格20万円以下)税関が郵便物を確かめる税関が税額を決めて通知する
国際郵便(課税価格20万円を超える)原則として受取人が輸入申告をする受取人が申告して納める
国際宅配便通常は宅配便の事業者が代行する事業者を通じて納めることが多い
一般の貨物受取人か、依頼を受けた通関業者申告して納める

課税価格の合計額が1万円以下なら、関税と消費税は免税です(カスタムスアンサー1006)。ただし革製のカバンやニットの衣類などは免税にならないので、気をつけておきましょう。

個人で使う物の手続や免税の考え方は、個人輸入の通関で詳しく見ています。

1段目:輸入通関の書類を揃える

『何の書類を用意すればいいの?』というのが、最初につまずくところですよね。税関の案内(カスタムスアンサー1107)で挙げられている書類をまとめると、次のとおりです。

書類中身どんな時に要るか
仕入書(インボイス)品名・数量・価格・取引条件など基本的に毎回
包装明細書(パッキングリスト)梱包ごとの中身・重さなど貨物に応じて
船荷証券・海上運送状海上輸送の運送の書類船で運ぶ時
航空貨物運送状航空輸送の運送の書類飛行機で運ぶ時
運賃明細書・保険料明細書運賃や保険料の額課税価格の計算に使う
契約書・価格表取引の条件や価格の根拠必要に応じて
他法令の許可・承認証など食品・医薬品などの手続の書類対象の品目だけ
特恵原産地証明書などEPA税率などを使うための書類低い税率を使う時

それぞれの書類の中身と、品目ごとに増える書類は通関に必要な書類で詳しく見ています。

申告書に書く項目も確かめておきましょう

輸入申告では、輸入者の住所・氏名、品名・数量・価格、原産地や積出地、船舶や航空機の名前、蔵置場所などを申告します(カスタムスアンサー1106)。

令和7年10月12日からは、国内運送先、通信販売の貨物に当たるかどうか、プラットフォームの名称なども申告の項目に加わりました。通販の商品を輸入する方は、こうした情報も手元にそろえておきましょう。

書類を揃える時のチェック
  • 仕入書の品名が、何の物か分かる具体的な書き方になっている
  • 仕入書・包装明細書・船荷証券の数量や個数が合っている
  • 取引条件と、運賃・保険料の扱いが分かる
  • 食品や化粧品など、他の法律の手続が要る品目でないか確かめた
  • EPA税率を使うなら、原産地の証明書類を用意した

他の法律の手続は、先に済ませておくのが基本です

食品や医薬品、化粧品などは、関税法とは別の法律で許可や届出が要ることがあります。これを通関の現場では「他法令」と呼んでいます。

税関の案内(カスタムスアンサー1801)では、他法令の許可などを受けて税関に証明しないと「輸入は許可されません」とされています。また、税関は他法令に当たるかどうかの照会には答えられない、とも書かれています。

例えば販売するための食品を輸入する時は、検疫所に「食品等輸入届出書」を出す必要があります。届出済の書類を税関に出してから、輸入の許可へ進む流れです。

よくある失敗

貨物が日本に着いてから他法令の手続に気づくと、その間ずっと保税地域で待つことになります。品目が決まった時点で、どの法律に関わるかを所管の役所に確かめておきましょう。

申告から許可・引取りまでの進め方

書類がそろったら、いよいよ申告です。2段目から5段目まで、それぞれの段階で気をつけたいことを見ていきます。

2段目:輸入申告は、原則として保税地域に入れてから

輸入申告は、原則として貨物を保税地域に入れた後にします。関税法第67条の2第3項に「輸入申告は、その申告に係る貨物を保税地域等に入れた後にするものとする」とあります。

本船扱いの承認や、搬入前申告の承認、特例輸入者などの申告といった例外もあります。

申告先

申告は、貨物を置いている保税地域を管轄する税関の官署に出します。輸入者が自分で申告することも、通関業者に代わりに申告してもらうこともできます。

『着く前に何かできることはないの?』と思いますよね。そんな時に使えるのが予備審査制です。

3段目:審査と検査は「予備審査制」で前倒しできます

予備審査制は、貨物が日本に着く前でも申告書類を税関に出して、審査を受けられる制度です(カスタムスアンサー1108)。対象は、すべての輸入貨物です。

税関からは、審査や検査の扱いについて事前に通知が来ます。通知の種類は次の3つです。

事前通知の種類どういう意味か輸入者がすること
簡易審査扱い書類の審査が簡単に済む扱い到着後の手続をそのまま進める
書類審査扱い税関が書類をくわしく見る扱い追加の書類を求められたらすぐ出せるようにする
検査扱い貨物の現物を税関が確かめる扱い検査の場所や日程、運送の手配を考えておく
予備審査制で税関から届く3種類の事前通知と、輸入者がそれぞれですることを示した図解

『検査に回ったら、何か悪いことをしたの?』と心配になる方もいますよね。検査は「税関の検査が必要とされる貨物」について行われるもので、検査に回ったからといって問題があるとは限りません。

税関が指定した場所で検査を受ける場合、税関に納める手数料などはかかりません(カスタムスアンサー1112)。

ただし、検査のための運送や、開けて詰め直す費用は輸入者などの負担です。検査に回った時の費用も、あらかじめ見込んでおくと安心です。

4段目:税金を納める

税関は原則として、輸入者が関税などを納めたことを確かめてから輸入を許可します。税額は、課税価格・関税・消費税と地方消費税の順に計算していきます。

計算の流れは通関でかかる関税と消費税で3段の表にしています。MPNやダイレクト方式で納めると、納付と同時に輸入が許可されます(カスタムスアンサー1301)。

5段目:輸入許可書を見せて引き取る

輸入の許可が出るまで貨物が置かれる保税地域の倉庫の様子

許可が出ると、輸入許可書が交付されます。税関の案内では「この輸入許可書を保税地域の担当者に示すことにより、貨物を保税地域から国内に引き取ることができます」とされています。

先に引き取りたい時は

価格がまだ決まらないなど、許可までに時間がかかる事情がある時は、関税等に相当する担保を出して税関長の承認を受け、許可の前に貨物を引き取れる「許可前引取承認(BP)」という仕組みもあります(カスタムスアンサー1113)。

AEOの特例輸入者なら、さらに早くなります

税関から承認を受けた特例輸入者(AEO輸入者)は、輸入申告と納税申告を分けて、納税申告の前に貨物を引き取れます(カスタムスアンサー1901)。継続して輸入する会社なら、こうした制度があることも知っておきましょう。

輸入通関でよくある相談に答えます

ここでは、ネットのQ&Aサイトで閲覧の多かった輸入通関の相談を要約し、税関の公開情報をもとに答えます。

取り上げる相談
  • 追跡に「輸入通関異常あり」と出て止まった。放っておけば届く?
  • 仕入書の輸出者と、船荷証券の荷送人の会社名が違うけれど通関できる?
  • DAPの仕入書なのに、課税価格はどう考えればいい?

「輸入通関異常あり」と出て止まった。放っておけば届く?

『このまま待っていればいいのかな』と迷いますよね。結論から言うと、放っておくより、配送を担当する事業者に一度問い合わせる方が早く解決しやすいです。

通関で止まる時は、書類の中身が足りない、税関の検査に回った、税金の確認待ち、などの理由が考えられます。追跡番号と注文の内容が分かる画面を用意して聞いてみてください。

仕入書と船荷証券で、会社名が違うけれど通関できる?

会社の輸入でよく出てくる相談です。取引の流れによっては、売手と実際に荷物を出す会社が違うこともあります。

大事なのは、なぜ違うのかを書類で説明できることです。申告の前に、取引の契約書などと一緒に通関業者に見てもらい、どう申告するかを相談しておきましょう。

DAPの仕入書なのに、課税価格はどう考えればいい?

課税価格は、実際に支払う価格に、含まれていない輸入港に着くまでの運賃や保険料などを足して計算するのが原則です(カスタムスアンサー1403)。

DAPのように売手が運送の費用を負担する条件では、仕入書の価格に運賃が含まれていることがあります。運賃の内訳を売手から手に入れて、課税価格の扱いを通関業者や税関に確かめておきましょう。取引条件の考え方はインコタームズと輸入通関で見ています。

輸入通関は自分でする?通関業者に頼む?

輸入申告は、貨物を輸入しようとする人が自分ですることができます。一方で、財務大臣の許可を受けた通関業者に代わりに頼むこともできます。

通関業者に頼む
  • 申告書の作成と申告を代わりに進めてもらえる
  • 通関士が申告書の中身を審査してくれる
  • 品目の分類や課税価格の計算を相談できる
自分で申告する
  • 依頼の料金はかからない
  • 品目の分類や計算を自分で確かめる必要がある
  • 慣れるまで時間がかかりやすい

初めての輸入や、品目や書類が複雑な時は、通関業者に頼む方が安心な場面が多いです。依頼先を選ぶ時のポイントは通関業者とは?でまとめています。

輸出の手続との違いを知りたい方は、輸出通関の流れも合わせて読んでみてください。

輸入通関の知識を仕事にするなら

輸入通関の流れを追っていくと、申告書を作って審査する仕事に興味がわく方もいるかもしれません。通関の知識を仕事にしたい人には、国家資格の通関士という道があります。

第60回(令和8年)の通関士試験では、通関実務の科目にNACCSを使う輸入申告の問題が1問出されました。仕事の中身は通関士とは?で詳しく見られます。

通関ドットコム

通関士を目指すなら、講座を比べてみませんか

実務の申告書問題や計算問題の解説、法改正への対応など、独学では用意しにくい部分だけでも講座を使うと準備が進めやすくなります。学び方の比べ方と、資料請求で講座を選ぶ時のチェックポイントをまとめました。

講座の選び方通関士の講座の選び方を見る

当サイト内の解説ページに移動します。講座の内容・料金・受講期間は各講座の公式案内でご確認ください。

よくある質問

輸入通関にはどんな書類が要りますか?

基本は仕入書(インボイス)と船荷証券などの運送の書類で、貨物に応じて包装明細書や運賃明細書、保険料明細書などを出します。品目によっては他の法律の許可書類や、原産地の証明書類も要ります。

貨物が着く前に輸入申告はできますか?

輸入申告は原則として保税地域に入れた後ですが、予備審査制を使えば、着く前に書類を出して審査を受けられます。税関から検査の扱いなどについて事前に通知が来ます。

税関の検査に費用はかかりますか?

税関が指定した場所での検査なら、税関に納める手数料などはかかりません。ただし検査のための運送や、開けて詰め直す費用は輸入者などの負担です。

輸入の許可が出たら、すぐに引き取れますか?

輸入許可書を保税地域の担当者に見せれば、貨物を国内に引き取れます。国内の運送の手配を先に済ませておくと、すぐ動かせます。

輸入通関と輸出通関は、同じ人に頼めますか?

通関業者は輸出入通関のどちらの申告も代わりに行えるので、同じ通関業者に頼むこともできます。輸出は保税地域に入れる前でも申告できるなど流れが少し違うので、依頼の時にどちらの手続かを伝えておきましょう。

まとめ

この記事の要点
  • 輸入通関は、書類・申告・審査と検査・納税・許可と引取りの5段階
  • 一番効く先回りは、出荷前に書類の中身を売手とすり合わせること
  • 申告は原則として保税地域に入れた後、予備審査制で前倒しもできる
  • 他の法律の手続は、貨物が着く前に済ませておく
  • 慣れないうちは通関業者に頼むと安心
通関ドットコム

通関ドットコム 編集部

輸出入の通関手続の流れと用語、個人輸入や国際郵便の通関、通関士の仕事と通関士試験の科目・日程・勉強法、講座や転職の考え方までを整理している通関の情報サイトです。 公式サイト

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