通関士試験とは?科目・日程・合格基準の全体像

通関士試験の科目・日程・合格基準の全体像を扱う記事のアイキャッチ

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通関士を目指そうと思ったものの、『通関士試験って、いつ何をどう受けるの?』と全体像がつかめていない方も多いですよね。

結論から言うと、通関士試験は毎年1回、10月上旬の日曜日に3科目をまとめて受ける国家試験です。

申込みは夏、合格発表は11月で、3科目すべてで合格基準を満たすと合格になります。

この記事では、試験の概要と、申込みから合格証書までの1年の流れをカレンダーにして確かめられるようにしました。

目次

通関士試験とは?税関が行う国家試験の概要

先に結論

通関士試験は、通関士として必要な知識と能力があるかを判定する国家試験です。財務大臣が決める問題で各税関長が行い、学歴や年齢、国籍などの制限なく誰でも受けられます。

第60回の受験案内では、試験の目的は「通関士として必要な知識及び能力を有するかどうかを判定することを目的として行われます」とされています(税関「通関士試験」)。

税関の案内では、通関士試験は「財務大臣が決定する問題により各税関長が行う試験で、昭和42年以来毎年1回実施」されています(カスタムスアンサー8002)。

つまり、各地の税関が受付から実施までを担う、通関士の資格試験なんです!

項目内容
目的通関士として必要な知識と能力があるかを判定する
行う機関財務大臣が決める問題で、各税関長が行う
回数毎年1回(昭和42年から)
受験資格学歴、年齢、経歴、国籍などの制限なし
科目通関業法、関税法等、通関実務の3科目
方式各科目とも筆記(マークシート方式)
合格3科目すべてで合格基準を満たすこと

受験資格については通関士試験の受験資格で詳しく見ています。

合格しただけでは通関士にならない

『通関士試験に受かれば、その日から通関士?』と思う方もいるかもしれませんね。

実は、通関士として働くには、通関業者に勤めて、会社の申請に基づく財務大臣の確認を受ける必要があります(通関業法第31条)。

試験は通関士になるための入口で、合格後に勤務先で確認を受けて、はじめて通関士として仕事ができるんです。

税関の案内では、令和8年4月1日現在で全国の通関士は8,372人です(カスタムスアンサー8101)。

合格後の確認の流れは通関士になるまでで詳しく見ています。

3科目の内容と時間・配点

通関士試験は、1日で3科目を続けて受けるテストです。

第60回(令和8年)の受験案内では、科目と時間、配点は次のとおりでした。

科目時間出題の形式と配点
通関業法9:30〜10:20(50分)選択式41点(13問)、択一式4点(4問)で計45点
関税法、関税定率法その他関税に関する法律及び外国為替及び外国貿易法11:00〜12:40(100分)選択式49点(17問)、択一式11点(11問)で計60点
通関書類の作成要領その他通関手続の実務13:50〜15:30(100分)申告書20点(2問)、選択式10点(5問)、択一式3点(3問)、計算式12点(6問)で計45点
通関士試験の3科目と、時間・配点の関係を示した図解

各科目でどんなことが問われるか

『科目名が長くて、何を勉強すればいいのか分かりにくい』という方もいますよね。

ざっくり言うと、次のように考えると分かりやすくなります。

科目主に問われること
通関業法通関業の許可、通関業者と通関士の義務、通関士試験や確認の決まり
関税法等輸出入の申告から許可までの手続、保税、関税の計算の決まり、外為法の一部
通関実務申告書の作成、関税の計算、実務での手続の判断

関税法等の「その他関税に関する法律」には、関税暫定措置法やATA条約の実施に伴う特例法、NACCS法などが含まれます。

外為法は、同法の第6章に関する部分に限られています。

通関業法と関税法等では、TIR条約や経済連携協定などの条約は出題範囲の外で、認定通関業者に関する出題は含まれます。

出題範囲は「7月1日現在の法令」

第60回の出題範囲は、法律・政令・省令・告示・通達で、令和8年7月1日現在で施行されているものでした。

法改正があった年は、テキストが新しい内容に対応しているかを確かめておきましょう。

通関実務では電卓を使う

電卓が使えるのは、通関実務の時間だけです。

計算機能だけの電卓に限られ、関数電卓やプログラムを入力できる電卓は使えません。

申告書の問題は、NACCSを使って行う輸出申告と輸入申告の各1問という形で出されます。

3科目それぞれの出題形式は通関士試験の内容で詳しく見ています。

「選択式」と「択一式」の違い

受験案内では、選択式は空欄に当てはまる語句を選ぶ形式、または五肢から正しいもの(誤っているもの)を複数選ぶ形式とされています。過去の問題で、両方の形式に慣れておきましょう。

申込みから合格証書までの1年カレンダー

ここが大事なところです。

通関士試験は、申込みから合格証書が届くまでに半年近くかかります。

通関ドットコム編集部で、第60回(令和8年)の日程をもとに、時期ごとにやることを1枚のカレンダーにしました。

時期試験の動き(第60回の予定)この時期にやること
1月〜6月次の回の公告を待つ時期3科目の勉強を進め、過去の問題を解き始める
7月7月1日に公告。申込みは7月21日(火)から8月4日(火)まで受験案内を読み、出願の方法(郵送かNACCS)を決める
8月郵送は8月4日消印有効。受験票は8月25日までに届く予定受験票が届かなければ、提出先の税関へ連絡する
9月試験会場は税関ホームページと受験票で知らされる時間を計って3科目を通しで解く練習をする
10月10月4日(日)が試験日当日は9時までに集合。試験後は合格発表を待つ
11月11月10日(火)に合格発表、11月20日(金)に官報掲載税関ホームページで受験番号を確かめる
12月合格証書が郵送される(12月4日(金)までに届かなければ問い合わせ)通関業者での確認の手続に向けて準備する
申込みから合格証書までの通関士試験の1年を月ごとに示したカレンダーの図解

今日(2026年10月8日)の時点では、第60回の試験は10月4日に終わり、合格発表を待っている時期です。

第61回(令和9年)の日程はまだ発表されていません。

第59回・第60回とも7月1日に公告が出ているので、例年7月ごろに税関ホームページで受験案内が出ると考えておきましょう。

日程の詳しい見方は通関士試験の日程にまとめています。

試験当日の流れ

試験当日は、朝から夕方までの長丁場です。

時刻内容
9:00まで試験場に集合(各科目の開始15分前から注意事項の説明)
9:30〜10:20通関業法
11:00〜12:40関税法等
13:50〜15:30通関実務(電卓はこの時間だけ使える)

各科目とも、開始後30分と終了前10分は退出できません。

時計は通信や計算の機能がないものに限られ、スマートウォッチなどは使えません。

試験場に時計がないこともあるので、腕時計を用意しておくと安心です。

電卓の条件と持ち物は通関士試験の電卓と持ち物で詳しく見ています。

よくある失敗

申込期間は2週間ほどしかありません。第60回では、郵送で出す場合はできる限り7月31日ごろまでに発送するよう案内されていました。7月に入ったら、税関ホームページをこまめに見ておきましょう。

出願の方法は郵送かNACCS

第60回から、書面での出願は原則として郵送だけになりました。

受験願書は税関ホームページからダウンロードでき、受験票は税関の各官署などで手に入れます。

NACCSで出願することもでき、受験手数料は書面の場合よりNACCSのほうが少し安くなっています。

書面で出す場合は収入印紙で納め、現金や切手、収入証紙は使えません。

一度納めた受験手数料は、試験を受けなくても返ってこないので、日程を確かめてから出願しましょう。

金額は受ける年の受験案内で確かめてみてください。申込みの詳しい手順は通関士試験の申込み方法で見ています。

合格基準と合格率

『何点取れば合格なの?』は、いちばん気になるところですよね。

結論から言うと、合格基準は事前には公表されず、合格発表の時に公表されます。

これまでに公表された合格基準は次のとおりです。

回(実施年)通関業法関税法等通関実務
第57回(令和5年)満点の60%以上満点の60%以上満点の60%以上
第58回(令和6年)満点の60%以上満点の55%以上満点の60%以上
第59回(令和7年)満点の60%以上満点の60%以上満点の60%以上

60%が目安になっていますが、回によって変わることもあると分かりますね。

合格率の推移

合格率は、財務省(税関)の公表値で次のとおりです。

回(年)受験者数合格者数合格率
第55回(令和3年)6,961人1,097人15.8%
第56回(令和4年)6,336人1,212人19.1%
第57回(令和5年)6,332人1,534人24.2%
第58回(令和6年)6,135人759人12.4%
第59回(令和7年)6,322人954人15.1%

第59回を受験した科目の数で分けると、全科目の受験者は13.9%、2科目は10.3%、1科目は67.2%でした(第59回通関士試験の結果について)。

第58回も、全科目は11.2%、2科目は10.4%、1科目は61.3%でした。

1科目の受験者は、実務経験で2科目が免除されている人たちです。

全科目を受ける人にとっては、3科目すべてをそろえることの大変さが数字にも表れていますね。

合格率は年によって上下があるので、1つの年の数字だけで判断しないようにしておきましょう。

第59回の試験地別では、東京が受験2,195人・合格361人で16.4%、大阪が1,095人・152人で13.9%、愛知が746人・111人で14.9%でした。

ちなみに、第1回は昭和42年で、受験者3,913人・合格者795人、合格率は20.3%でした。

合格発表の確かめ方

合格発表の日には、税関ホームページに合格者の受験番号が掲載されます。

第60回では、税関の各官署での掲示はしないと案内されています。

その後、官報にも合格者の受験番号が載り、合格証書は郵送で届きます。

発表の確かめ方は通関士試験の合格発表と合格基準で詳しく見ています。

難しく感じる理由は通関士試験は難しい?で詳しく見ています。

合格に向けた準備の進め方

試験の全体像がつかめたら、あとは準備の進め方です。

試験の問題と正答は、税関のホームページで回ごとに公表されています(第59回通関士試験)。

準備の流れの一例
  1. 受験案内で科目、時間、出題範囲を確かめる
  2. 通関業法から始め、関税法等の基本の流れを押さえる
  3. 通関実務の計算問題を、電卓を使って少しずつ解く
  4. 過去の問題を、本番と同じ時間で通しで解く
  5. 間違えた問題の根拠を、テキストや条文で確かめ直す
受験前に確かめておきたいこと
  • 受験票に貼る写真(縦4cm×横3cm、1年以内の撮影)を用意した
  • 出願の方法(郵送かNACCS)を決めた
  • 使う電卓が、計算機能だけのものか確かめた
  • 試験地と、申込先の税関を確かめた
  • 実務経験による科目免除の対象かを確かめた

勉強時間の配分を考える

配点を見ると、関税法等が60点と一番大きく、時間も100分あります。

ただ、3科目すべてで基準を満たす必要があるので、どれか1科目に偏るのは危険です。

『得意な科目でカバーすればいい』と考えたくなりますが、通関士試験ではそれができないんです!

苦手な科目ほど早めに手をつけて、3科目をそろえて基準に届かせることを目標にしてみてください。

勉強の順番は通関士の勉強法で詳しく見ています。

実務経験で科目が免除される

通関業者の通関業務などに通算5年以上携わった人は、通関実務の科目が免除されます。

通算15年以上なら、関税法等と通関実務の2科目が免除になります(カスタムスアンサー8009)。

申請の方法は通関士試験の科目免除で詳しく見ています。

試験地は全国の税関ごとに決まっている

第60回の試験地は、北海道、新潟、東京、宮城、神奈川、静岡、愛知、大阪、兵庫、広島、福岡、熊本、沖縄でした。

試験地ごとに申込先の税関が決まっていて、窓口は各税関の通関業監督官です。

独学で進めるか、講座を使うか

準備の流れが決まったら、独学で進めるか、講座を使うかも考えておきましょう。

市販のテキストと問題集で独学する人もいて、自分のペースで進められるのは独学のよさです。

一方で、次のような場面では講座が役立つことがあります。

  • 通関実務の申告書や計算問題の解説がほしい
  • 法改正の情報を自分で追いかけるのが大変
  • 仕事をしながらで、勉強時間が限られる
  • 分からないところを質問できる相手がいない

独学の進め方は通関士は独学で合格できる?、講座の比べ方は通関士の講座・スクールの選び方にまとめました。

勉強の進め方に迷ったら、講座を比べてみるのも一つの方法です。

通関ドットコム

通関士を目指すなら、講座を比べてみませんか

実務の申告書問題や計算問題の解説、法改正への対応など、独学では用意しにくい部分だけでも講座を使うと準備が進めやすくなります。学び方の比べ方と、資料請求で講座を選ぶ時のチェックポイントをまとめました。

講座の選び方通関士の講座の選び方を見る

当サイト内の解説ページに移動します。講座の内容・料金・受講期間は各講座の公式案内でご確認ください。

よくある相談:通関士試験のQ&A

通関士試験について、よく見かける相談を3つ取り上げます。

相談1:受験票の請求の仕方がよく分からない

『受験票はどこで手に入れるの?』という相談です。

第60回の受験案内では、受験願書は税関ホームページからダウンロードでき、受験票は税関の各官署などで手に入れる形でした。

NACCSで出願する場合も、受験票は書面で出す必要があります。

分からない時は、試験地の申込先の税関(通関業監督官)に問い合わせてみてください。

相談2:1科目だけ合格基準に届かないかもしれない

『関税法だけ点数が足りないかも。基準が下がることはある?』という声もあります。

第58回では関税法等の合格基準が満点の55%以上だったことがありますが、基準は合格発表の時まで分かりません。

3科目すべてで基準を満たす必要があるので、まずは11月の合格発表を待ちましょう。

正答は合格発表の後に公表されるので、自己採点の進め方は通関士試験の正答と自己採点を見てみてください。

相談3:通関業者で働きながら、毎年独学で受けている

『仕事をしながら何年か受けているけれど、なかなか届かない』という相談です。

実務の経験がある人は、通関実務の考え方には慣れていても、関税法等の細かい条文で点を落とすことがあります。

過去の問題を解き直して、どの科目のどの分野で点を落としているかを書き出してみてください。

「毎年同じ分野で間違えている」と分かれば、次の1年でやるべきことがはっきりします。

補足

通関業務の経験が通算5年を超えている人は、通関実務の科目免除の対象になるかも確かめておきましょう。機械的な入力の作業などは期間に含まれないので、受験案内の説明を読んでおくと安心です。

よくある質問

通関士試験とはどんな試験ですか?

通関士として必要な知識と能力があるかを判定する国家試験です。財務大臣が決める問題で各税関長が行い、毎年1回、通関業法・関税法等・通関実務の3科目で行われます。

通関士試験はいつ行われますか?

第60回(令和8年)は10月4日(日)に行われました。次の回の日程は未発表なので、例年7月ごろに出る税関ホームページの受験案内で確かめてみてください。

合格基準は何点ですか?

合格基準は事前に公表されず、合格発表の時に公表されます。第59回は3科目とも満点の60%以上でした。

誰でも受験できますか?

できます。受験案内では、学歴、年齢、経歴、国籍などの制限はないと案内されています。

合格したらすぐ通関士になれますか?

合格後、通関業者に勤めて、会社の申請に基づく財務大臣の確認を受けてから通関士として働けます。

まとめ

この記事の要点
  • 通関士試験は、財務大臣が決める問題で各税関長が行う年1回の国家試験
  • 通関業法(50分)、関税法等(100分)、通関実務(100分)の3科目をマークシートで受ける
  • 第60回は7月に申込み、10月4日に試験、11月10日に合格発表の予定
  • 合格基準は合格発表の時に公表され、第59回は3科目とも満点の60%以上
  • 実務経験が通算5年以上・15年以上なら科目免除がある
通関ドットコム

通関ドットコム 編集部

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