BP通関とは?輸入許可前に貨物を引き取る承認の仕組み

BP通関で輸入許可の前に貨物を引き取る仕組みを扱う記事のアイキャッチ

当サイトの記事は編集部が財務省・税関など公的機関の公開情報を調べて独自に執筆しています。記事内に資格講座・転職サービスへの案内(広告)を含みます。

仕事で「この貨物はBPで出します」と言われて、何のことか分からず戸惑っていませんか。

結論から言うと、BP通関は、輸入の許可が出る前に、関税などの相当額の担保を出して税関長の承認を受け、貨物を先に引き取る仕組みです。

この記事を読めば、通常の輸入との違いと、BPの後に行うIBP通関までの流れがつかめます。

目次

BP通関とは?許可前引取承認のこと

先に結論

BPは「Before Permit」の略で、税関の案内では「許可前引取承認制度」と呼ばれます。関税などに相当する担保を税関に出し、税関長の承認を受ければ、輸入の許可前でも貨物を引き取れます。

ふだんの輸入通関では、輸入申告をして、審査や検査を受け、税金を納めてから輸入の許可が出ます。

許可が出るまでは、貨物を保税地域から国内に引き取れないんです!

ところが、価格が決まっていないなどの事情で、許可までに時間がかかる貨物もあります。

そんな時に使うのがBP、つまり輸入許可前引取承認です(カスタムスアンサー1113)。

根拠は関税法第73条で、関税額に相当する担保を提供して税関長の承認を受けなければならない、と定められています。

通関の全体の流れから知りたい方は通関とは?を先に読んでみてください。

BP承認を受けた貨物の扱い

関税法第73条第3項では、承認を受けた貨物は原則として内国貨物とみなす、とされています。

外国貨物のまま保税地域に置いておく必要がなくなり、国内で使い始められるということです。

通常の輸入許可とBP承認はどう違う?

『先に引き取れるなら、いつもBPにすればいいのでは?』と思う方もいるかもしれません。

実は、BPは担保を出す手間がかかり、使える場面も限られています。

通関ドットコム編集部で、通常の輸入許可とBP承認を4つの目線で並べました。

比べる点通常の輸入許可BP承認(許可前引取)
引き取れる時期輸入の許可を受けた後税関長の承認を受けた後(許可の前)
税金の納め方原則として納付を確かめてから許可数量・価格が決まった後、輸入の許可を受ける段階で
担保原則として要らない関税などに相当する担保が要る
使える場面一般の輸入貨物価格が決まらない、早く引き取る必要があるなどの事情がある貨物

通常の流れはカスタムスアンサー1101、BPは1113が出典です。

通常の輸入許可とBP承認を、引き取れる時期・納税・担保・使える場面で比べた図解
AEOの特例輸入者との違い

特例輸入者(AEO輸入者)は、輸入申告と納税申告を分けて、納税申告の前に貨物を引き取ることができます(カスタムスアンサー1901)。こちらは税関の承認・認定を受けた事業者向けの制度で、貨物ごとに担保を出すBPとは仕組みが別です。

BP通関が使われるのはどんな場面?

BPは、税関の案内に利用例が挙げられています。

BPを使うことがある場面
  • 貴重品や危険物、変質や損傷のおそれがある貨物
  • 展示会に出品する貨物
  • 関税の分類を決める分析に日数がかかる貨物
  • 原産地証明書の提出が遅れる貨物(提出猶予の承認を受けた場合に限る)
  • インボイスがプロフォーマで、課税価格を決めるのに日数がかかる貨物

出典はカスタムスアンサー1113です。

例えば、生鮮品のように傷みやすい物は、許可を待つ間に品質が落ちてしまうことも。

こうした「早く引き取りたいけれど、許可までに時間がかかる」場面で、BPが選ばれるんです!

通関業者との間では、こんな相談から始まることが多いです。

「価格がまだ決まらないんですが、展示会に間に合わせたいんです」

「それならBPを検討しましょう。担保の準備をお願いできますか?」

早く引き取りたい時の手段を比べる

『急ぎの貨物なら、とりあえずBPを相談すればいい?』と考える方もいますよね。

ただ、早く引き取るための手段はBPだけではありません。

状況ごとに、検討しやすい手段を並べてみました。

こんな状況検討しやすい手段ポイント
書類は全部そろっていて、許可を早めたい予備審査制到着前に書類を出し、審査や検査の扱いを先に知らせてもらう
価格や数量がまだ決まらないBP(許可前引取承認)担保を出して承認を受け、確定後に許可を受ける
原産地証明書が間に合わないBP、提出猶予提出猶予の承認を受けた場合に限りBPの利用例に入る
継続して輸入する事業者で、手続を軽くしたい特例輸入者(AEO)税関の承認が要る。納税申告の前に引き取れる

予備審査制はカスタムスアンサー1108で、全ての輸入貨物が対象とされています。

書類がそろっているなら、まず予備審査制で間に合わないかを考えてみるのも一つの方法です。

担保を出す前に確かめておくこと

BPを使うと決めたら、社内で次の点を先に確かめておくと慌てずに済みます。

BPの準備チェック
  • 関税と消費税の見込み額がどのくらいになるか
  • 担保をどの形で出すかを通関業者と決めたか
  • 価格や数量が確定する見込みの時期を把握したか
  • 確定した資料を誰が集め、誰が通関業者に送るか

BPの後のIBPが遅れると、担保を出したままの状態が続きます。

価格が決まる時期の見通しを、取引先とも共有しておきましょう。

EPAの原産地証明が間に合わない時

EPAの特恵税率を使う時は、原則として輸入申告の際に原産地証明書などを出します。

輸入許可前引取の承認を受けた場合は、事後に提出できる場合があるとされています(カスタムスアンサー1524)。

EPAの手続はEPAと通関で紹介しています。

BP通関とIBP通関の流れ

BPで引き取った貨物は、そのままでは終わりません。

後日、輸入の許可を受ける手続が必要で、これを現場ではIBP通関と呼ぶことがあります。

BPからIBPまでの流れ
  1. 輸入申告をし、許可前引取の承認を申請する
  2. 関税などに相当する担保を税関に出す
  3. 税関長の承認を受け、貨物を引き取る
  4. 未定だった数量や価格が決まったら、資料を税関に出す
  5. 輸入の許可を受ける(IBP)

税関の案内でも、BP承認の後に数量や価格が確定したら、資料を税関に出して輸入許可を受けるよう書かれています。

BPで貨物を引き取ってから、IBPで輸入の許可を受けるまでの流れを示した図解

申告書に出てくるBPとIBPの符号

輸入申告書の記載要領では、BPは「許可前引取」、IBPは「輸入許可前引取貨物の輸入」を表す符号です(輸入申告書の記載要領)。

同じ一覧に、ふつうの輸入を表すICもあります。

符号記載要領での意味現場での呼び方の例
IC直輸入IC通関
BP許可前引取BP通関
IBP輸入許可前引取貨物の輸入IBP通関

IC通関とBP通関の違いや、ほかの符号はIC通関・IS通関とは?と通関の申告種別と略語一覧で説明しています。

よくある勘違い

ICを「課税の輸入申告」と説明しているページもありますが、記載要領の原文は「直輸入」です。符号の意味は、記載要領で確かめておきましょう。

よくある相談|BPとIBPで迷った時

BP通関については、実務の人からも試験勉強中の人からも相談が寄せられています。

よくある3つを取り上げます。

相談1:BPの後、IBPで何をすればいい?

『BPで引き取った後、IBPって具体的に何をするの?』という相談です。

BPの時点で決まっていなかった数量や価格が確定したら、その資料を税関に出して輸入の許可を受けます。

これがIBPの手続です。

社内では、こんなやりとりになることがあります。

「価格が確定したので、IBPの準備をお願いします」

「確定した価格の資料を通関業者に送って、輸入の許可まで進めますね」

相談2:BPの時の申告に漏れがあった

BPで引き取った後に、課税価格に入れるべき費用の申告漏れに気付いた、という相談です。

課税価格には、輸入港に着くまでの運賃や保険料などが含まれます(カスタムスアンサー1403)。

どの段階でどう直すかは事情で変わるので、気付いた時点で通関業者や税関に早めに相談してください。

許可の後の訂正の考え方は輸入申告を間違えたら?でまとめています。

相談3:BP承認を受けた貨物は内国貨物になる?

通関士試験の勉強中の人からの相談です。

関税法第73条第3項では、承認を受けた貨物は原則として内国貨物とみなされます。

「原則として」とある点がポイントで、例外は条文で確かめておきましょう。

試験の勉強では、BPを「担保」「承認」「内国貨物とみなす」の3つの言葉とセットで覚えておくと、選択式の問題でも迷いにくくなります。

過去の試験問題と正答は税関ホームページの各回のページで公開されているので、条文と照らし合わせて読んでみてください。

通関の仕事に興味が出てきた方へ

BPのような制度を知って、通関の仕事に興味を持つ方もいます。

BPの承認申請は、通関業法の上で通関手続に含まれます(カスタムスアンサー9105-2)。

通関の知識を仕事にしたい人には、国家資格の通関士という道もあります。

どんな資格かは通関士とは?仕事内容と国家資格としての役割で紹介しています。

通関ドットコム

通関士を目指すなら、講座を比べてみませんか

実務の申告書問題や計算問題の解説、法改正への対応など、独学では用意しにくい部分だけでも講座を使うと準備が進めやすくなります。学び方の比べ方と、資料請求で講座を選ぶ時のチェックポイントをまとめました。

講座の選び方通関士の講座の選び方を見る

当サイト内の解説ページに移動します。講座の内容・料金・受講期間は各講座の公式案内でご確認ください。

よくある質問

BP通関とは何ですか?

輸入の許可前に、関税などに相当する担保を出して税関長の承認を受け、貨物を先に引き取る仕組みです。正式には許可前引取承認といいます。

IBP通関とは何ですか?

BPで引き取った貨物について、数量や価格が確定した後に輸入の許可を受ける手続のことです。申告書の符号ではIBPは「輸入許可前引取貨物の輸入」です。

IC通関とBP通関の違いは?

ICは記載要領で「直輸入」を表す符号で、BPは「許可前引取」を表す符号です。BPは担保を出して許可前に引き取る点が違います。

BPにはどんな担保が要りますか?

関税などに相当する額の担保を税関に出します。具体的な出し方は税関や通関業者に確かめてください。

BPの承認申請は通関業者に頼めますか?

頼めます。BPの承認申請は、輸入申告から許可を得るまでの手続なので、通関業法の上で通関手続に含まれるとされています。自分で手続したい時は、管轄の税関に進め方を確かめてください。

BPは通関士試験にも出ますか?

BPは関税法第73条の制度なので、関税法等の科目の範囲に入ります。出題の傾向は、税関ホームページで公開されている過去の試験問題で確かめてみてください。

まとめ

この記事の要点
  • BP通関は、担保を出して税関長の承認を受け、輸入の許可前に貨物を引き取る仕組み
  • 承認を受けた貨物は原則として内国貨物とみなされる
  • 価格が決まらない、傷みやすいなど、許可まで待てない事情がある時に使う
  • 数量や価格が確定したら資料を出し、IBPとして輸入の許可を受ける
  • 申告書の符号はBPが許可前引取、IBPが輸入許可前引取貨物の輸入
通関ドットコム

通関ドットコム 編集部

輸出入の通関手続の流れと用語、個人輸入や国際郵便の通関、通関士の仕事と通関士試験の科目・日程・勉強法、講座や転職の考え方までを整理している通関の情報サイトです。 公式サイト

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

コメント

コメントする

目次