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1回で届いた荷物のうち、急ぎの分だけ先に引き取りたくて、『分けて申告ってできるの?』と調べている方もいるはずです。
結論から言うと、分割通関は1つのインボイスの貨物などを何回かに分けて申告することで、場面によっては役立ちますが、税の判定では分けても合計で見られる点に気をつける必要があります。
この記事では、分割通関を使う場面と、その時に確かめることをお話しします。
分割通関とは?分けて申告するということ
分割通関は、1つのインボイス(仕入書)に載っている貨物を、何回かに分けて輸入申告するやり方のことを指して使われる言葉です。税関の案内でも「1インボイスに係る貨物を分割して申告した場合」という書き方が出てきます。
輸入申告は、原則として貨物を保税地域に入れたあとに行います。
外国貨物は、輸入の手続が終わるまで保税地域に置かれるのが基本です(カスタムスアンサー1102)。
つまり、保税地域に置いたまま、必要な分から順に申告していくイメージですよね。
通関の全体の流れは通関とは?と輸入通関の流れで確かめられます。
1回でまとめて申告する場合との違い
ふだんは、届いた貨物をまとめて1回で申告することが多いはずです。
| 比べる点 | まとめて1回で申告 | 分けて申告(分割通関) |
|---|---|---|
| 申告の回数 | 1回 | 2回以上 |
| 引き取れる時期 | 全部が許可されてから | 許可された分から順に |
| 書類の手間 | 1回分 | 申告ごとに用意する |
| 1万円以下の免税の判定 | その申告の合計 | 1インボイスの全部の合計 |
分けると引取りの自由度は上がりますが、手間は増えるんです。
どんな時に分けて申告する?場面と確かめること
ここがこの記事でいちばん伝えたいところです。
分割通関が考えられる場面を、通関ドットコム編集部で3つに分けてみました。
| 場面 | よくある状況 | 確かめること |
|---|---|---|
| 一部だけ急ぐ | 一部の商品を先に販売や生産に回したい | 先に引き取る分の書類がそろっているか |
| 一部が他法令待ち | 他の法律の許可や届出がまだの品目が混ざっている | どの品目が手続待ちか、その手続の窓口はどこか |
| 保税地域から少しずつ引き取る | 保税蔵置場に置いて、必要な分だけ引き取りたい | 蔵置できる期間と、蔵入承認が要るか |

一部だけ急ぐ時
『全部の書類がそろうのを待っていたら、販売に間に合わない』という場面はよくありますよね。
先に引き取りたい分だけ申告して、許可を受けて引き取るという考え方です。
ただし、申告ごとに品名や数量、価格をきちんと分けて書く必要があります。
例えば、10種類の部品のうち3種類だけ先に工場に回したい、といった場面です。
先に出す3種類について、インボイスのどの行に当たるかを通関業者と一緒に確かめておくと、申告がスムーズに進みます。
一部が他法令の手続待ちの時
他の法律で許可や承認が必要な貨物は、それを受けて税関に証明しなければ輸入は許可されません(カスタムスアンサー1801)。
1つのインボイスにそうした品目が混ざっていると、手続待ちの分に引っ張られて全体が止まることがあります。
その時に、手続が済んでいる品目だけ先に申告する、という分け方が考えられます。
『全部そろうまで待つしかない』と思い込んでいると、手続が済んだ品目まで倉庫で止まったままになってしまいます。
どの品目が手続待ちなのかを一覧にしておくだけでも、分けて進められるかの判断がしやすくなりますよ。
他法令の調べ方は他法令と通関で詳しくまとめています。
税関の案内では「税関では、他法令の該非に係る照会について、お答えできません。」とされています。どの法律が関わるかは、その法律を受け持つ役所に確かめてみてください。
保税地域から少しずつ引き取る時
保税蔵置場は、外国貨物を長く置いておける保税地域で、蔵置期間は2年(延長可能)です(カスタムスアンサー9203)。
置いたまま、必要な分だけ輸入申告して引き取ることができます。
申告書の略号符号には「IS(蔵入れ)」「ISW(蔵出輸入)」という区分もあります。
保税蔵置場に3か月を超えて置く時は、税関長の蔵入承認が要る点も覚えておきましょう(関税法第43条の3)。
残りを置いておける期間は、保税地域の種類で変わります。
| 保税地域の種類 | 主な機能 | 蔵置期間 |
|---|---|---|
| 指定保税地域 | 積卸、運搬、一時蔵置 | 1か月 |
| 保税蔵置場 | 積卸、運搬、長期蔵置 | 2年(延長可能) |
| 総合保税地域 | 長期蔵置、加工・製造、展示など | 2年(延長可能) |
出典はカスタムスアンサー9203です。
残りの分を長く置きたいなら、どこに置かれているかを最初に確かめておきましょう。
保税地域の仕組みは保税と通関で詳しく説明しています。
分割通関の注意点|1万円以下の免税は合計で見る
分割通関でいちばん気をつけたいのが、税金の判定です。
『分けて申告すれば、1回ごとの金額が小さくなるのでは?』と考える方もいるかもしれません。
課税価格の合計額が1万円以下の物品は関税と消費税が免税になりますが、1インボイスに係る貨物を分割して申告した場合は、そのインボイスに記載されたすべての貨物の課税価格を合計して判定されます(カスタムスアンサー1006)。
つまり、免税の判定のためにインボイスを分けて申告しても、結果は変わらないということなんです。
税関の判断基準を並べると、こうなります。
| 輸入の形 | 1万円以下かどうかの判定 |
|---|---|
| 一般の貨物 | 1申告に係る輸入貨物の課税価格の合計額 |
| 1インボイスを分割して申告 | そのインボイスのすべての貨物の課税価格の合計 |
| 郵便物 | 1つの包装に梱包された輸入貨物の課税価格の合計額 |
分けると増えるもの
分割通関は便利な反面、手間も増えます。
- 申告ごとに書類を用意する手間をかけてもよいか
- 通関業者に頼む場合、申告ごとの費用がどうなるか
- 残りの貨物を、いつまで保税地域に置けるか
- 先に申告する分の品名、数量、価格を正しく分けられるか
通関業者への費用は事業者ごとに違うので、見積もりの段階で確かめてみてください。
分けて申告する時も、品名、数量、価格は実際の取引どおりに書くのが大前提です。分け方に迷ったら、自分で判断せずに通関業者や税関に相談してみてください。
分割して申告する時の流れ
目安として、分けて申告する時の流れを並べます。
- インボイスの品目を、先に引き取る分と後の分に分ける
- 先に引き取る分に、他法令の手続が要らないかを確かめる
- 先に引き取る分の輸入申告をして、許可を受ける
- 残りの分は保税地域に置いたまま、蔵置期間を確かめる
- 準備ができたら、残りの分を申告して引き取る
例えばこんな場面を考えてみましょう。
「今月の販売分だけ先に出したいんです。残りは来月でいいです」
「では今月の分の品名と数量を分けて申告しますね。残りは倉庫に置ける期間を確かめておきます」
急ぎの理由が一部の品目だけなら、こうした分け方が助けになります。
逆に、全部の品目が同じくらい急ぎなら、分けずにまとめて申告した方が手間は少なく済みます。
分けるかどうかは「急ぎの品目がどれだけあるか」で決めるのが分かりやすい基準です。
待てない時のもう一つの方法
分けて申告しても、急ぎの分の許可がすぐに下りない場面もあります。
その時の選択肢が、担保を出して輸入許可の前に引き取る承認(BP)です。
仕組みはBP通関とは?で説明しています。
荷物がなかなか動かない理由は通関が遅いのはなぜ?でまとめています。
よくある相談|分けて申告する時の疑問
分割通関は、通関士試験の勉強をしている方や、個人輸入をしている方からも質問が多いテーマです。
よくある3つを取り上げます。
相談1:1つの仕入書の貨物を分割して申告できる?
『通関士試験の勉強で、1つの仕入書にかかる外国貨物を分割して輸入申告できるのか迷った』という相談です。
税関の案内にも「1インボイスに係る貨物を分割して申告した場合」という書き方があり、分けて申告する場面があることが前提になっています。
そのうえで、1万円以下の免税の判定は、インボイスのすべての貨物の合計で見るというルールです。
試験では、こうした判定の仕方とあわせて覚えておくと頭に入りやすいはずです。
関税法や関税定率法は、通関士試験の科目「関税法等」の範囲に入っています。
条文の言葉と、税関の案内の判断基準をセットで読むと、選択肢の言い回しに迷いにくくなります。
相談2:日を分けて同じ住所に送ったら関税はどうなる?
『国際郵便で、日を分けて同じ住所に送ってもらったら、1回ごとに判定されるの?』という質問もあります。
郵便物は、1つの包装に梱包された輸入貨物の課税価格の合計額で、1万円以下かどうかを見るのが税関の判断基準です。
ただし、実際の扱いは税関が判断します。
心配な時は、注文の前に税関の相談窓口で確かめておくと安心です。
相談3:1週間後に同じ商品をもう一度注文した
『同じお店で、1週間後に同じ商品をもう一度注文した。合算されるの?』という相談です。
判定は申告や包装、インボイスの単位で行われるので、注文の仕方だけで決まるものではありません。
個人輸入の税金の考え方は個人輸入の通関で詳しく説明しています。
注文の控えや支払いの記録は、荷物が届くまで残しておくと、税関から問い合わせがあった時にも落ち着いて答えられます。
通関の仕事に興味がある方へ
貨物の分け方ひとつで税の判定や引取りの時期が変わる、奥の深い仕事だと感じた方もいるかもしれません。
通関の知識を仕事にしたい人には、国家資格の通関士という道もあります。
どんな資格かは通関士とは?仕事内容と国家資格としての役割で紹介しています。
通関ドットコム
通関士を目指すなら、講座を比べてみませんか
実務の申告書問題や計算問題の解説、法改正への対応など、独学では用意しにくい部分だけでも講座を使うと準備が進めやすくなります。学び方の比べ方と、資料請求で講座を選ぶ時のチェックポイントをまとめました。
講座の選び方通関士の講座の選び方を見る当サイト内の解説ページに移動します。講座の内容・料金・受講期間は各講座の公式案内でご確認ください。

よくある質問
分割通関とは何ですか?
1つのインボイスに載っている貨物などを、何回かに分けて申告することを指して使われる言葉です。許可された分から順に引き取れるのが特徴です。
分けて申告すれば1万円以下の免税になりますか?
なりません。1インボイスに係る貨物を分割して申告した場合は、そのインボイスに記載されたすべての貨物の課税価格を合計して判定されます。
分割通関はどんな時に使いますか?
一部だけ急いで引き取りたい時、一部の品目が他法令の手続待ちの時、保税蔵置場から少しずつ引き取りたい時などが考えられます。
分割通関をすると費用は増えますか?
申告の回数が増えるので、書類の手間や通関業者への費用が増えることがあります。費用は事業者ごとに違うので、依頼前に確かめておきましょう。
残りの貨物はどこに置いておくのですか?
輸入の許可を受けるまでは保税地域に置きます。保税蔵置場の蔵置期間は2年(延長可能)で、3か月を超えて置く時は蔵入承認が要ります。
まとめ
- 分割通関は1つのインボイスの貨物などを何回かに分けて申告すること
- 一部だけ急ぐ時、他法令待ちの時、保税地域から少しずつ引き取る時に考えられる
- 1万円以下の免税は、分けてもインボイス全部の合計で判定される
- 分けると申告ごとに書類と手間が増える





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